この間の日本とインドネシアの国防機関の交渉後、両国は世界に向け中国に対する自らの意向についてメッセージを発することで合意した。ジャパン・タイムズ紙によれば、両国は、地域の海域において緊張のエスカレートを引き起こすおそれのある中国のあらゆる行動に対し、断固とした発言を行なうことを確認した。
そして、日本とインドネシアの国防機関代表による交渉と彼らの対中国での世界に向けたメッセージは、おそらく、こうした流れにおける断固とした措置の1つだといえる。その際、今後もフォーマットに地域の他の国が加わる可能性は高い。QUADはアジアにおける北大西洋条約機構(NATO)の類似機構となる可能性が十分あり、米国はさらに韓国を参加させようとしているとルジャニン教授は予想する。
しかし、今のところ韓国は、中国との関係(多くの他のアジア各国と同様)に関しては同国の経済が中国政府の巨額の投資と結びついているという点から「反中国のトラック」とは距離を置いている。
インドネシアは反中国を準備?
日本とインドネシア政府による交渉は、地域における中国抑止での菅政権のはじめての外交成果といえる。セルゲイ・ルジャニン教授によれば、しかし、インドネシアは米国と中国の間で、さらに非常に長く日和見的で中間的なポジションに留まることになるという。
中国政府は2013年からこのメガプロジェクトに取り組みはじめ、効率の向上とトランジットの強化のために数千億ドルの投資を行なった。まずはじめに数千マイルにおよぶルート上で、数百ではないとしても数十の港湾や拠点、その他の通信手段のインフラの近代化が対象となった。
ルジャニン教授は、「南海のみならずアフリカ沿岸、欧州へのすべてのルートの出口が含まれる。そして、比喩的に言えば、完全なプログラムに沿って急回転し始め、スピードに乗っていることから、世界的な『中国のローラー』を止めることは不可能だ」と強調した。また、同教授は、「これはおそらく日本政府と米国政府の大きな苛立ちと懸念を引き起こしている。しかし、彼らは同じ様な何らかの効果的手段によって(中国のこのメガプロジェクトに)対抗することはできない。残っているのは中国の軍事的抑止だけだ」と語った。
そのため、中国に対抗する日本と米国の試み(地域の他の国々を巻き込んだ)は、今のところ広がりを見せていない。そして、これは世界に向けた日本とインドネシアのメッセージで見せたように、より宣言的だといえる。
中国はそれでも不安要因を抱えている?
インドネシアから始まる偉大な海のシルクロードは、地域における中国の経済的影響を保つ最高の保障となることは疑いようがない。しかし、マラッカ海峡(中国の海上貿易の80%がこの海峡を通過)の軍事的安全保障問題が経済的構成に加わることから、この戦略は脆弱性を有している。
そのため中国政府は自国の海軍力の増強を継続している。また、セルゲイ・ルジャニン教授は、米国とその同盟国が軍事演習を行なっているだけに、この地域でロシアと中国の海軍が演習を実施する可能性を排除していない。
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