バイデン米大統領が就任すると、北朝鮮はすでにミサイル発射を再開。これを米国はバイデン氏への最初の煽動とみなした。北朝鮮の指導者金正恩氏の妹の与正氏などは遠慮の欠けらもなく、ホワイトハウスの高官らを名指しした痛烈な発言を行い、周囲を驚かせている。米軍の地域演習への不満を表し、バイデン政権が「この先4年、安眠したいならむさぼりたいなら、悪臭をふりまかないようにすることだ」と厳しい警告を行った。
ロシア科学アカデミー極東研究所、朝鮮調査センターのアレクサンドル・ジェビン所長は米国へのレトリックが再び強硬になったのは、北朝鮮がバイデン政権に対朝路線の柔軟化を求めているからと見ている。だが新政権のブリンケン国務長官、オースティン国防長官の訪日、訪韓は米国が対朝姿勢を和らげるのではないかという北朝鮮の期待を吹き消してしまったとして、次のように語っている。
「米国は北朝鮮の非核化を図る姿勢を明確に打ち出した。トランプ・金正恩首脳会談(2018年シンガポール)で両者は朝鮮半島の非核化を目指すと発言したが、これが韓国にも言及していた点とは根本的に異なる。北朝鮮の元々の交渉のポジション理解とは大きな違いだ。 それに米国が前政権の義務を拒絶したことは、北朝鮮にとっては多くを変えてしまう。なぜなら公式的には韓国領内には核兵器は存在していないことになっているからだ。だが韓国の港湾部に米国の原子力空母も原子力潜水艦も定期的に入港していることは周知の事実だ。演習時には上空を核ミサイルを搭載できる米軍機が旋回している。このため北朝鮮の原則的な姿勢は朝鮮半島全体の非核化で、米国がトランプ氏までのレトリックに戻ることなのだ。」
バイデン政権では北朝鮮に対する制裁の柔軟化もまた期待できない。この他、米国は先日マレーシアからの北朝鮮国籍の男の身柄引き渡しを成功させている。米新政権のとるこうしたすべのアプローチを北朝鮮は極めて否定的に評価し、朝鮮半島に新たな緊張を煽動するものとみなしている。