CNBCは「中国は五輪ボイコットを行おうとする諸国を政治制裁や貿易上の報復という手段で罰するだろう。選手がボイコットした場合は厳格さはさらに増すだろう」と指摘し、政治リスクコンサルティング企業のユーラシアグループの見解を例に引いて、「五輪ボイコットを行わない企業は、西側社会の市場で消費者の評判を落とすことになる。だがボイコットすれば中国市場から締め出されるリスクを負う」と報じている。
人権擁護団体は、チベット自治共和国、新疆ウイグル自治区で少数民族の権利を蹂躙し、香港の政治的自由を剥奪し、台湾の自治に敵対的態度をとる中国を罰するべきと主張し、ボイコットの形態として3つのパターンを想定している。
外交のボイコット
このパターンはシナリオとしてはドラマ性に最も欠けるが、起きる確率としては最も高い。実現の方法は五輪の参加する政府代表団のメンバーが減るか、または一切出席しないために代表団の派遣自体行われないというもの。専門家らはこの形態のボイコットには米国、カナダ、英国、豪州のほか欧州数か国が参加しうるとみている。日本、韓国、インドといったアジアにおける米国の連合国は中国とはより緊密な関係を有しているため、このボイコットには迎合しないものとみられている。
選手と観客がボイコット
五輪は参加する選手自身もボイコットすることができる。だが、このシナリオは専門家らいわく、信憑性が低い。この場合、自国の選手に五輪参加を禁ずる国がでてくることはありうる。 経済上のボイコットも可能だ。例えば米国は自国の観客、ジャーナリスト、スポンサーらに五輪参加を禁じている。政治学者らは、こうしたボイコットは無視ことはより困難であり、中国からはさらに大きな反発を招く。こうなれば事は外交関係の凍結、西側ブランドの製品のより広範な不買運動にまで至るだろう。
突如の緊張緩和
ただし中国と西側諸国間の緊張がゆるんだ場合は五輪についての声明の類は行われるだろうが、それはソフトな内容で、公式的なボイコットは行われない。だがこのシナリオとなる確率は政治学者らは最も低いとみている。
一方でビジネス界はなんとか均衡を保とうと必死だ。中国の人権状況への危惧感は示しつつも、中国の大型市場から締め出されるという行政処分は免れたい。専門家らの大半は、ビジネスは五輪ボイコット自体を拒否するとみている。中国市場を失った場合に蒙る潜在的な損害は、西側世界でのイメージダウンより悪く、イメージを損ねたとしてもそれは短いスパンで済むとCNBCは指摘している。
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