ボリショイ劇場って、スタイル抜群は当然で、それプラス技術や才能がある人が行くところ。身体条件に恵まれない僕があそこで踊れたのは、自分の努力があったからだと思うんです。努力すれば何でもできる。若いときに僕は自分が努力したっていう自信があるので、絶対に後進のダンサーを育てられると思いました。
でも、これまでの指導経験から言って、自分がこうなりたいっていうイメージがない人には、いくらやってもダメでした。僕が教えることは、僕がすごい指導者たちから教わってきたことです。そういうことって本に書いてない。それを自分の決まったやり方にそぐわないから、と言って取り入れない人はどうしようもない。今の劇場のダンサーは真面目で、成長したい、勉強して自分のものにしたいという視点がある。だから、充実していて、喜びがあります。ダンサーは肉体的にも精神的にも大変な仕事ですが、ここのダンサーは自分たちの職業について「人に喜びを与えられるすごい仕事」だと話しています。