日本外務省の公式HPによると「(日本)政府としては四島(編注:南クリル諸島)交流事業の重要性に鑑み、可能な限り早期に事業を実施できるよう、新型コロナウイルス感染症をめぐる状況を見極めつつ、日露政府間および双方の実施団体間で協議を継続していく考え」としている。
ビザなし交流事業は両国の相互理解促進、平和条約締結問題の解決を目的として露日政府間合意にもとづき1992年に開始。交互の行き来は自国の身分証明書および「挿入紙」をもとに、ビザなしで実施されている。2017年10月には日本から南クリル諸島へチャーター便を利用した初の空路訪問が実現した。それまで双方のビザなし訪問団の行き来は海路のみで行われていた。
交流事業には墓参、専門家交流、南クリル住民の日本における治療・病院受入れも含まれている。
平和条約の欠如は長年、露日関係に影を落としてきた。日本は1855年に締結された貿易と国境についての日露和親条約を基盤としてクナシル(日本では国後)、イトゥルプ(同択捉)、シコタン(同色丹)、ハボマイ(同歯舞)群島を請求している。日本政府はクリル諸島返還を、第二次世界大戦終結時に調印されずに終わったロシアとの平和条約締結の条件とした。
ロシア政府の立場としては、南クリルは第二次世界大戦の結果ソ連の一部となり、南クリルへの適切な国際法的手続きを踏んだロシアの主権に疑いはないというものだ。
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