ワシントンポスト紙の情報筋によれば、タイ代表は通商代表部内でこうした発言を行ったが、その一方でまだ情報収集にあたっている。先週、タイ代表は米国立アレルギー感染症研究所所長で同国の感染症対策を率いるアンソニー・ファウチ氏とこの問題を討議している。その際ファウチ氏はこうした措置をとることにより発展途上国におけるワクチン生産を加速できると指摘していた。
一方で通商代表内では特許権に違反した場合、米国の競争相手が米国の知的財産権を取得するなどの否定的な結果を招くのではないか懸念の声も上げられている。
フィナンシャルタイムズ紙はこれより前、米製薬会社らが米政府に対し、コロナウイルス治療薬の特許権の規制を一時停止した場合、開発技術がロシアや中国に渡る懸念があるとして、これを支持しないよう呼び掛けたと報じている。コロナウイルス治療薬の特許権の効力の一時停止を求める呼び掛けは2020年にインド、南アフリカから世界保健機関(WHO)に寄せられていた。世界のおよそ60か国が支持を示した提案はトランプ前米大統領に断固として拒否されたが、今回タイ代表が再度立ち戻っていことが明るみになった。
コロナウイルス治療薬の特許権の規制の一時停止をめぐっては、ワクチン接種の普及率では先進国は発展途上国を数段上回っていることに対し、WHO内で危惧感が高まっていることからその可能性が論議されている。