ノースカロライナ大学のマーク・ガブラド教授は、すでに宇宙における戦争は始まっていると指摘し、その証拠は衛星通信の妨害、衛星へのレーザー照射、衛星システムを破壊する可能性を有した衛星システムの探査などを例に挙げれば十分だとしている。ガブラド教授はまた世界の主要な大国が、すでに宇宙軍を創設し、「宇宙戦争」という用語が広く用いられているのには理由があると指摘する。一方、教授は、宇宙空間で敵対する主な大国として、大規模な核の潜在力を持ち、世界の核兵器の安全に脅威をもたらす米国、ロシア、中国を挙げている。しかしながら、教授は、宇宙空間における軍事紛争が実際に勃発する可能性はないとも指摘し、なぜなら、どの国もそれがどのような危険性を孕んでいるのかを理解しているからだとしている。
コブ氏は、第一に、他国の衛星を破壊すれば、新たな宇宙デブリを発生させることになり、それが攻撃した側の衛星をも破壊するリスクがあること、また加速しつつある宇宙の商業化と、宇宙システムに対する世界経済の依存により、宇宙戦争にはあまりにも膨大な資金が必要となることをその理由に挙げている。
さらに米海軍大学で国家安全保障問題を専門とするジョアン・ジョンソン=フリーズ教授は、最近、宇宙を軍事化に関する話し合いが頻繁に行われるようになってきている点を指摘し、現在、宇宙に打ち上げられる衛星の大部分が二重の目的を持つものである、すなわち軍事的な目的でも利用できるようになっていることを考えれば、これは驚くべきことではないと述べている。そして、宇宙戦争を回避するためには、「宇宙外交」を行う必要があるとの確信を示している。その目的は、主要な大国間の行動を透明なものにし、信頼を強化することであるとジョンソン=フリーズ教授は述べている。
米国が近年、1967年にソ連と米国の間で署名された、宇宙空間への核兵器の配備を禁止し、世界秩序のもっとも重要な柱の1つである宇宙条約で規定された条項を遵守しなくなっていることについては、「スプートニク」の過去の記事からお読みいただけます。
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