しかし、これだけでも中国の新規開発UAVについて分かることは非常に多い。
垂直離着陸ドローン
このUAVのプロトタイプの写真と別の中国製UAVを比較すると、新たなUAVがおそらくSD-40の改良型であることが分かる。SD-40は中国企業Xiamen Hanfeiying Aviation Technologiesが中国海軍に納入している。このUAVの初飛行は2017年7月に実施され、2019年2月に海軍の軍事演習に参加している。
SD-40は駆逐艦に配備され、風浪階級4までなら艦上で垂直離着陸できる。スペックもかなり正確に分かっている。速度は時速90~144キロメートル、飛行高度は最大5000メートル、最大積載重量約6キログラム、ペイロード重量6キログラムでの飛行時間は6時間である。
計算すると戦闘行動半径は最大430キロメートルになる。
初期モデルは偵察用で、胴体の下にビデオカメラが設置されていた。現在はブームとブームの間、胴体の下に小型UAVの入ったコンテナを搭載できる改良モデルもある。
小型ドローンは遠くまで飛ぶ
中国企業は小型ドローンについては何も発表していないが、おおよその性能は特定できる。コンテナの総重量は約6キログラムで、9機の小型ドローンが入っている。強固なコンテナの重量は、プラスチック製であったとしても、約1.5キログラムは必要だ。ここから計算すると、小型ドローン1機あたりの重量は500~720グラムということになる。このようなドローンに載せられる爆薬の量は250~360グラムとなる。
というわけで、本体のUAVの戦闘行動半径が最大432キロメートル、小型ドローンが約40~45キロメートルであるから、合計の戦闘行動半径は460~470キロメートルに達する。かなり広いと言えるだろう。
地対艦ミサイルシステムを攻撃
爆薬の重量が360グラムであれば、破片による危害半径は約30メートルに達する可能性がある。砲弾に相当する爆薬で400キロメートル先にある何を攻撃するのか?標的になるものはある。
それはこの兵器の使用が想定される中国海軍の仮想敵である。日本であれば、まずこのドローンの標的になるのは12式地対艦ミサイルだ。琉球諸島に配備されており、中国海軍にとっては非常に危険な障壁である。海上の艦船とは違い、地上に配備されているものは上手くカモフラージュされていれば発見して攻撃するのは困難だ。
しかし、中国の新型UAVであればこの課題を遂行することができる。UAVは複数でひとつの編隊をつくる。1機が光学カメラ、赤外線カメラ、サーモカメラを備えた偵察機で、他のUAVは攻撃用となる。発射装置が発見されると、すぐに攻撃を行う。小型ドローンが1機でも直接命中すれば、発射装置を破壊するのには十分だ。
ドローンはミサイル防衛システム、レーダー、空軍基地、迫撃砲と砲員、火砲陣地、軽装甲車など、あらゆる標的を攻撃することができる。島への上陸作戦では、ドローンが上陸部隊の有効な火力支援となり得る。
このUAVには大きな作戦戦術的意義がある。このようなドローンの支援があれば、海兵隊と陸上部隊が島や上陸地点をめぐる戦闘に勝利できる可能性は高まるのだ。
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