中国政府の打ち出した選挙制度改革は「愛国者が香港を統治する」と言う名称を得た。今後、政権は、愛国心に欠け、国家安全保障を脅かすと判断した市民を選挙に参加させない権限を有すことになる。
地方自治体の選挙法改正は、香港立法会における議員数と議席配分にも関係してくる。香港立法会の議員数は現行の70人から90人へと増やされる一方で、直接投票により選出される小選挙区から出馬できる議員数は35人から20人に減らされる。現行の法律では議会での「拒否権」に必要とされる票数は31票であることから、この改正は中国政府にとっては極めて重要だ。さらに40の委任状の配分は、中国政権が牛耳る香港選挙委員会の裁量に任せられ、30人の議員は、中国当局の言うことを聞く労働組合から推薦される。タイム誌はこの選挙法改革で香港市議会には野党の入る隙が無くなるとの見方を示している。
タイム誌は、2019年夏に香港で体制への抗議行動が盛んになった後、中国は中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法を採択した。同法はテロ、分離主義的活動、国家転覆および外国の勢力との陰謀対策とうたわれている。中国にとって今回の選挙制度改善条例は、国家の統制システムに反中国分子の潜入を阻止するためのさらなる一歩となる。
スプートニクは、日本外務省が出した2021年版外交青書の中で香港の人権状況に対する憂慮を表したと報じている。