飼い主の話によれば、事のはじめは人間の怠け心だった。ムルチクを散歩に連れ出すたびに彼女は小さなビニール袋にムルチクの「おトイレ」を拾ってはゴミ箱に捨てていた。だがある時、特に冬、雪だまりを歩いてこの清掃作業をしないで済むように、彼女は名案を思い付いた。ムルチクが自分の「おトイレ」を自分でゴミ箱に捨てることを仕込んだのだ。
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そんなことをしているうちに、ムルチクは他のゴミも喜んで集め、しかも分別まですることがわかった。感心した飼い主はムルチクに犬用の紫外線防止(ゴミ防止でもある)特殊眼鏡を買ってやり、1人と1匹は散歩のたびに住み慣れたバラシハの町を清掃にいそしむようになった。このタンデムにムルチクの飼い主の別のペットも加わった。2匹の清掃犬は飼い主と連れ立って、ロシアの町々をめぐり、一緒に清掃をして回った。ムルチクはロシアのマスコミに大きな注目を浴び、たくさんの記事が書かれ、ムルチク自身のアカウントのインスタグラムは多くのフォロワーを獲得した。
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そんな仲の良い家族に突如、悲しみが襲った。この春、ムルチクがガンに罹っていることがわかったのだ。飼い主はなんとかムルチクの命を救おうと懸命に戦った。検査、コンピュータートモグラフィーを重ね、ロシア一評判のいい動物病院にムルチクを連れて行き、化学療法を施した。ムルチクは最後の日まで必死で戦ったが、病には勝てなかった。
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今、飼い主はムルチクのためにバラシハの町に記念碑をたてようとしている。生前、ムルチクの偉業を知った市民から、犬は銅像をたてるに値すると言われた時は、彼女はそんな必要はないと思ったそうだ。でもムルチクはそれだけの価値があると思う。みんなに愛された犬だった。飼い主には記念碑を立てるだけの資金はあるという。でもこれに賛同したい、ムルチクのために力を貸したいという人が一人でも多く事業に加わってくれることを望んでいる。