正恩氏は6月に行われた朝鮮労働党の総会後にコンサートを観覧した。北朝鮮の国営テレビは、このコンサートを鑑賞した約20人に8分間のインタビューを行い、市民は痩せた最高指導者の姿に涙をこらえることができなかったと語っていた。
平壌在住の男性は、「痩せ細った敬愛する同志の姿に、人々は心を痛めた。皆、涙が自然と出てきたと話している」とインタビューで語っている。
同通信社によると、金正恩氏の体重減少は、かなり以前から北朝鮮と世界が注目していた。6月、約1ヶ月ぶりに公式の場に登場した正恩氏は以前より明らかに痩せていた。北朝鮮当局は、このテーマに関するコメントを国民に許可することで、最高指導者が自分の身の危険を冒してまで国民の幸せを考えているという演出を試みている。
米スティムソン・センターの北朝鮮専門家であるレイチェル・ミンヨン・リー氏は、「正恩氏は何が原因で痩せたのか、健康状態がどうなのかは分からないが、今はそれをすべてプロパガンダに利用している。国民の生活水準を向上させるために正恩氏の勤勉さと自己犠牲を知らせるという目的で利用されているのだ」と説明している。
ブルームバーグは、新型コロナウイルスのパンデミック対策、外国との貿易の縮小、国際的な制裁の中で北朝鮮の経済が衰退し、金正恩氏は本当に支援を必要としている可能性があると指摘している。また、2020年に北朝鮮を襲った台風が一部の農作物に壊滅的な被害を与えたことも、状況を悪化させている。
6月初め、金正恩氏は朝鮮労働党の総会で、「食糧事情がますます厳しくなっている」と指摘し、経済成長の必要性を訴えた。
国営テレビの映像からは正恩氏が弱々しかったり、体調が悪いという様子は見えない。しかし、海外メディアは正恩氏が公の場に登場する頻度やその様子を注意深く観察している。北朝鮮では、最高指導者の健康状態は最も厳重に守られている秘密の1つ。
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