シェフチェンコさんはもともと、サーカスで演技するプロの体操選手として活躍しており、学生のときから各地の公演にひっぱりだこだった。中でも日本とは縁が深く、半年の間に3回も招聘が来たほどだ。日本を頻繁に訪れるうちに、シェフチェンコさんは日本の文化や日本人、風土にすっかり魅了された。
しばらく日本に移り住み、スポーツ関連用品の店を構えていたが、一身上の都合で帰国。その後、日本の衣料品を販売したり、不動産関係の仕事をしたりと、自分の道を模索した。
2017年、「日本こそ私の人生。本当にやりたいことだけをやろう」という結論にたどり着いたシェフチェンコさんは、ジェイリン・グループを創業。当初は日系企業への不動産斡旋を念頭においていたが、日本人のニーズにあわせて、ロシア現地法人設立、官民連携プロジェクトの提案、展示会運営、現地視察や商談アレンジなど、ビジネスコンサルティング分野で活動の幅を広げてきた。さらに観光地としてのロシアの魅力を知ってもらおうと「ロシアへようこそ」プロジェクトを立ち上げ、モスクワ、サンクトペテルブルク、ウラジオストク、ソチの各地の魅力を日本語SNSで紹介している。
ジェイリンも、コロナの影響を大きく受けた。国境が閉じられる直前には、五輪関係の仕事や要人の企業視察、日系企業の人材採用など大きな案件をいくつも抱えていたが、全てキャンセルとなってしまった。最初の半年は日露の人的な往来に依存しないビジネスモデルを模索するのが困難だったが、オンラインのビジネスマッチングを軸に、会社を存続させることができた。
ビジネスや文化交流を手助けし、日露関係の発展に貢献することが、創業当時からのシェフチェンコさんの願いだ。
シェフチェンコさん「優勝という結果がついてきたことで、自分が世の中にとって意義のあることをやっている、という自信と、新しいモチベーションを手に入れることができました。ロシアという国は、情報不足のため、日本から懸念の目で見られ、なんとなく怖がられていると感じていますが、それをなくすために私たちは活動しています。ロシアという国には将来性、大きなポテンシャルがあります。日本の皆さんに対し、日本のスタンダードに可能な限り近づけた、最大限安全で快適なサービスを提供していきます。」
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