研究者らは重水素化阻害剤によるウイルスのプロテアーゼ治療が、ウイルスの複製を予防し、感染時の生存率を増強することを明らかにした。雑誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に研究結果が発表された。
重水素化製薬とは小分子の形をした製薬剤のことで、この薬剤では1つまたはいくつかの酸素原子が、より重い同位元素である重水素に変化する。プロテアーゼ阻害剤は抗ウイルス製薬の一種であり、これらがウイルスのプロテアーゼとの選択的な結合を通じてウイルスの複製を予防する。
研究者らは当初、猫にとって命取りとなるコロナウイルス感染の治療用にプロアテーゼ阻害剤GC376を開発した。
SARS-CoV-2に感染した遺伝子組み換えマウスK18-hACE2に重水素GC376を用いた治療が24時間行われ、その結果、生存率が著しく改善し、肺におけるウイルスの複製化が低減し、体重の減少が抑制された。