トランプ氏の訴えは、これらの企業は、言論の自由を保証する合衆国憲法修正第1条に違反しているというもの。
前大統領は、2021年の初旬に、一連のソーシャルネットワーク上で、自身のアカウントが停止、凍結されたことで、自身の権利が侵害されたとしている。
しかし、トランプ氏は投票権を持つ支持者との交流をやめるつもりはなく、訴訟を通じて、これらIT企業による措置が違憲であることを認めさせる計画である。
トランプ氏は、提訴の計画について発表した中で、「交渉をするつもりはない」と明言し、「今後、どのような展開になるか分からないが、平和的に解決することはないだろう」とした。
トランプ前大統領は、今回の訴訟で、アカウントの凍結解除を求めるとともに、米通信品位法の230条を違憲と認めるよう求めている。この230条は、ユーザーが投稿したコンテンツに対するソーシャルメディア企業の責任を免除するものであり、インターネットサービスの運営社は、第三者の提供した情報の発行者や表現者として扱われないものとすると定められている。トランプ氏は、大統領在任中、この230条の廃止を何度も試みたが、結局、実現することはなかった。
米テネシー州のヴァンダービルト大学法学部のブライアン・フィッツパトリック教授は、CNBCからの取材に対し、トランプ氏がこの訴訟で勝てる見込みはほとんどないだろうと指摘する。また、フィッツパトリック教授は、ソーシャルメディアである被告は、民間企業であり、政府機関ではないため、合衆国修正第1条に関する原告の主張は根拠がないと付け加えている。
さらに教授は、「トランプ氏が起こした訴訟は、マーケティングの一つにすぎないと確信しています。率直に言って、最終的は、このような意味のない訴訟を起こすことを許した弁護士に対し制裁が下される結果に終わったとしても驚きません」と述べている。
一方、ロシアの新聞「ガゼータ・ルー」の取材に応じたオフショアオンラインブローカーAMarkets社分析部門のアルチョム・デーエフ部長も、トランプ氏の訴訟は、実際的な脅威というよりはPR効果を狙ったものだろうとの確信を示している。
「ドナルド・トランプ氏は大統領選の後、政治的な影響力を失い、かつての多くの味方を失いました。長年にわたって、多くの点でトランプ氏の発言によって発展を遂げたTwitterすら、他の多くのソーシャルネットワーク同様、前大統領のアカウントを停止しました。つまり、トランプ氏は有権者と交流を図り、敵対する者に対する批判を行うためのすべての場をほぼ失ったのです。
ホワイトハウスを去る前、トランプ氏は次の大統領選への出馬を示唆していました。支持者の票を獲得するためには、絶えず活動力をアピールし、メディアと有権者の注意を引き続ける必要があるのです。そこで、Facebook、Twitter、Googleに対する訴訟は、お金のかからない宣伝であり、PRであり、政治的野望を示すメッセージなのです」。
一方、B&Cエージェンシーの経営パートナー、マルク・シェルマン氏は、ドナルド・トランプ氏がソーシャルネットワークの活動に対して異議を唱えるのは初めてではなく、これによりトランプ氏をめぐる騒動を、国内外で引き起こしていると指摘している。
「理由なくアカウントを停止、凍結する問題については、かなり以前から議論されていますが、たとえば、facebookなどの企業が訴訟によって、自社の規定を変更するようなことはないでしょう」。
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