デア・シュピーゲル誌は、持続可能な発展分野で国連が目指すもっとも重要な目標の1つ「2030年に向けた飢饉の克服」で、著しい遅れが生じたと指摘する。IMFの経済アナリストのアーウィン・プリフティ氏は、過去のデータを分析し、特に経済成長と人々の実質所得の増加が飢餓人口の削減において決定的な要因となるだけに、パンデミックは人類を数十年前に引き戻すことになるとの結論に達した。また専門家によれば、大規模飢饉が近い将来に社会不安を生じさせるおそれがある。
IMFの専門家らによる分析は、コロナウイルスのパンデミックが引き起こした危機前には、世界中で6億8000万人が十分な栄養のカロリー数を得ることができずにいたことを示している。貧困撲滅の活動に取り組む組織オックスファムの報告によれば、2019年末から2021年6月にかけて世界中で飢餓に見舞われている人の数は約6倍に増加している。
デア・シュピーゲル誌によれば、消費者用の食料品価格の高騰で重要な原因となっているのは世界的そして地域的な要因だという。たとえば、極端な気候変動は収穫率の低下を招き、つまりは、農産物の高騰を引き起こすことになる。一方で、地域的なロックダウンや国境の封鎖、貨物輸送の規制は、食料品輸出の障害となり、食料品の急激な価格高騰の原因となった。その結果、アフリカ各国では、サハラ砂漠から南部にかけ食料品が200%の値上がりとなった。
プリフティ氏によれば、食糧危機とその影響を軽減するには、国家の支出増加という政策、つまり、貧困層への支出が有効だという。しかし、デア・シュピーゲル誌は、貧しい国ほどIMFの専門家のアドバイスを活用できる可能性が低くなると指摘する。
以前、通信社「スプートニク」は、コロナウイルスのパンデミックの影響と天候不良によって、北朝鮮の国民が食糧不足に見舞われていることを報じている。