スプートニク通信は、ロシア女子選手をGPシリーズの各大会に選出する際にどのような原則が採用されたのか、どの大会で最も激しい争いが繰り広げられるかについて専門家に尋ねた。
トップ選手はファイナルでのみ相見えることになる
ロシアフィギュアスケート連盟執行委員会のメンバーであるセルゲイ・スヴィリドフ氏は、GPシリーズに出場する選手を選定する際の大原則について、次のように説明している。「スウェーデンで開催された前回の世界選手権のメダリスト(シェルバコワ、トゥクタミシェワ、トルソワ)は、GPシリーズのファイナルに至るまでの、どの大会でもぶつかってはいけないというのが大原則だ。これは、競争のバランスをとるために必要なことなのだ。GPシリーズに出場する残りの選手は、どの大会にも出させていい」
第1戦のアメリカ大会 マキシマリストのトルソワは自らに高いハードルを課す
ズーリン氏によると、いずれにしても「ロシアのロケット」の優位性は無条件に与えられるわけではない。同氏の考えでは、トルソワは第1戦のアメリカ大会(開催地ラスベガス)に出場するが、その大会でシニアデビューするダリア・ウサチョワは、コンポーネンツが強い。そしてアメリカ大会には、日本の経験豊かな坂本花織(21)と宮原知子(23)も出場する。この3者のそれぞれが、トルソワのアメリカ大会での優勝を阻む可能性を秘めている。
さらに、皆を驚かせる可能性を持つ「ダークホース」のロシアのクセニア・シニツィナ(16)もアメリカ大会に出場する。
どんな新人でも驚かせることができる
GPシリーズの6大会のうち、ロシアのエリザベータ・トゥクタミシェワ(24)、カミラ・ワリエワ、アリョーナ・コストルナヤ(17)、日本の紀平梨花(18)が出場する第2戦のカナダ大会(開催地バンクーバー)の女子シングルは、特に注目が集まっている。
第2戦のカナダ大会 最強クラスの顔ぶれ
バンクーバーで開催されるカナダ大会は、「死のグループ」と呼ばれている。(表彰台を目指す)各選手にはトリプルアクセルという勝利のための「ウルトラC級の武器」が与えられているからだ。
この大会に出場するトゥクタミシェワだけではなく、日本の紀平もオリンピックシーズンには4回転ジャンプも自らの武器にしたいと心に決めている。これが現実のものとなると、バンクーバーで誰が勝つのかという予測は、さらに不透明になる。
とはいえ、カナダ大会では、若いカミラ・ワリエワが最も有力視されている。ワリエワの演技内容は、非常に多くのウルトラC級の技術的な要素で構成されており、最も複雑でバランスがとれたものとなっている。ワリエワは、すでにフリースケーティングでトリプルアクセルと4回転ジャンプの両方を成功させている。この難しい演技内容に、ワリエワは最も美しいスピンとユニークなスケーティングで彩りを与えている。
第3戦の中国大会 ジュニアの躍進は、トップ選手の気を休ませることはない
中国で開催される第3戦には、アンナ・シェルバコワ(17)が出場する。彼女の優勝に疑いの余地はないだろう。シェルバコワには、4回転ジャンプを数種類跳ぶことができるという強みがあり、昨シーズンでの世界選手権とロシア選手権での優勝で気力を充実させている。
しかし、シェルバコワは、同じくトゥトベリーゼ一門でトレーニングを積み、シニアデビューを控えるマイア・フロミフに注意を払う必要がある。フロミフは昨シーズン末、フリースケーティングで2本の4回転ジャンプを完璧にこなし、本人でさえかなり驚くほどの成長をみせた。そして最近のフロミフは、オリンピックシーズンでこの強力な「ウルトラCのスーツケース」を徐々に手放したりすることはないと心に決めている。
GPシリーズの第4戦以降は、第1戦のアメリカ大会(ラスベガス)、第2戦のカナダ大会(バンクーバー)、第3戦の中国大会(重慶) に出場する選手の意気込み次第で結果が大きく変わる。彼女たちの中から、(グランプリ初戦の結果を受けて)成功の足固めをしようとする者もいれば、失敗を修正しようと動く者が出てくるだろう。
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