研究者らが実験対象に選んだのは、ほぼ完全に麻痺した36歳の男性。コードネーム「BRAVO1」と呼ばれるこの男性は20歳の時に脳卒中に罹り、その後、認知機能は変化しなかったにもかかわらず、明確な発話ができない「構音障害」に悩まされるようになった。男性は頭や手足を正常に動かすことができないため、野球帽に装着されたレーザーポインターを頼りにコミュニケーションをとっていた。
新しいデバイスを使った実験では、1分間に最大18単語を平均精度率75%でデコード(復号)することに成功。
実験中、被験者は「元気ですか」「水が欲しいですか」などの問いに「元気ですよ」「いいえ、のどは渇いていません」と答えることができた。
専門家らによれば、話すことができない麻痺者の脳活動に基づいて、完全な単語を直接解読に成功した例はこれが世界でも初めて。