世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長はこれより前、新型コロナウイルスの起源について人工的発生も否定できないとの見解を示していた。
研究者らは、SARS-CoV-2ウイルスは2003年型 SARS-CoVと比較してヒト集団に上手く適応していると指摘。このような適応能力は長期間かけて発達したものと推測されるという。COVID-19は感染が拡大する前にヒト集団において複数の形の進化を遂げたとみられ、それによりこのような適応性に達したとされている。ただし具体的に何がどう起こったのかは現時点で解明されていない。
研究者らは、SARS-CoV-2は大都市の動物市場で発達する可能性は低く、研究室においてはさらに低いと主張している。
「ヒトの介入痕跡をもった変異株が見つかるまで、SARS-CoV-2発生に関連する自然プロセスに焦点を当てることが、より生産的と思われる」と論文では強調されている。
研究所から発生?
この間、コロナウイルスの人工的起源説は積極的に検討がされている。
英国のアンガス・ダルグレイス教授とノルウェーのウイルス学者バーガー・ソーレンセン氏は、中国の研究者らが新型コロナウイルスを創り出し、その後、「痕跡を消そう」としたと確信している。両研究者によれば、武漢の研究者らは、人間の細胞でウイルスが早く増殖するため、より感染力の強い自然起源のウイルスを創り出したかったのだという。そのためにウイルスに新しい「スパイク」が結合された。こうした操作については、ダルグレイス氏とソーレンセン氏が新型コロナウイルスの「スパイク」で発見した4種のアミノ酸からなる配列が証明している。この配列がウイルスで自然発生するとは考えにくい。
ステファン・キー博士とバークリー市のカリフォルニア大学物理学者のリチャード・ミュラー教授は、コロナウイルスに遺伝子的痕跡を発見したが、これらは自然のウイルスにはないものだと強調した。専門家らは、新型コロナウイルスでCGG-CGGの組み合わせの遺伝子配列を発見した。研究者らはしばしばこの組み合わせをウイルスの感染と致死率を強めるために活用している。
中国は、オープンな立場を維持し、コロナウイルスの発生原因の究明で協力する用意があると繰り返し強調した。