バイルズ選手は以前、足を怪我していた。米国体操連盟はバイルズが精密検査を受けたと説明しているものの、バイルズ選手自身は辞退の理由を心理的な問題に結び付けている。
バイルズ不在で勝負した結果、団体総合の金メダルはロシア代表の手に渡り、米国は銀となった。
スポーツコメンテーターのアンドレイ・ヴドヴィン氏は、バイルズ選手が世界アンチドーピング機関(WADA)の正式な許可を得て、精神刺激薬のメチルフェニデートを服用していた事実に注目している。実はバイルズ選手は幼少の頃から注意欠陥・多動性障害(ADHD)を病んでおり、「治療上の例外」を申請していた禁止薬物を服用していた。ヴドヴィン氏をはじめとするスポーツコメンテーターらは、バイルズ選手の精神的問題は、メチルフェニデートの服用(あるいは服用を中止したこと)によって、特有の神経系の副作用が出たことと関係があるのではないかと指摘している。
いずれにしても、バイルズ選手は現在、困難をかこっている。ファンや専門家の中からは、彼女は自分を甘やかしすぎだという厳しい批判が寄せられているからだ。テレビの人気司会者のピアーズ・モーガンはデイリー・メール紙からの取材に次のように語っている。
「あのなぁ、シモーネ、『楽しくないから』という理由で戦いを拒否するのは英雄的でも勇敢でもない。おまえは自分のチーム、ファン、そして国を欺いたんだぞ」
こうした一方でバイルズ選手を励ます声も多い。メンタル啓発の時代らしく特に米国をはじめとする多くの通信社は、バイルズ選手の件をメンタルヘルスの重要性とアスリートが直面する困難を再認識する材料に使った。
また、ロシア人選手の中にもバイルズ選手の擁護に回る人達が出てきた。バイルズの辞退について、東京五輪団体総合優勝のアルトゥール・ダラロヤン選手は次のように述べている。
「ロシアと米国では、気質やメンタリティ、躾けやそれら全てについての考え方が大きく異なることがすぐにわかる。だが、彼女は女の子じゃないか。たとえ信じられないほど難解なジャンプをこなしているとはいっても。ただ米国ではこういうことに対しての見方は違う。その人物がすでにたくさんの五輪金メダルを持っている場合は殊更だ」
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