ESAと米航空宇宙局(NASA)が協力して運用する「ソーラー・オービター」の主なミッションは、太陽の観測および研究。同探査機は600度の高温にさらされるため、耐熱シールドで覆われている。「ソーラー・オービター」は2020年12月、すでに金星の重力を利用して軌道を変えるスイングバイを行っている。
ESAと日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同プロジェクトによる水星探査機「ベピ・コロンボ」は、その33時間後に金星に接近し、金星から550キロメートル離れた地点を通過する見込み。燃料を節約するため、「ベピ・コロンボ」はミッション中にスイングバイを、地球で1回、金星で2回、水星で6回の少なくとも9回実施するという。
「ベピ・コロンボ」に搭載された観測カメラ3台のうち2台は、金星への接近時と遠ざかる際の数日間にモノクロ画像を撮影し、その画像は地球に送信される。また、「ソーラー・オービター」に搭載されている赤外線カメラ「SoloHI」では、金星の夜側を撮影することが可能になるという。
ESAは、この2つのミッションが「金星の環境を異なる地点から同時に研究するユニークな機会を提供する」ことになるとみている。