専門家らの試算によれば、暗号資産の採掘のプロセスと暗号資産の取引上の安全を保障するのには、人口1,100万人のベルギーが消費するのと同じだけの電力が必要だという。しかも、このうち再生可能エネルギーの割合はわずか39%である。また環境学者らは、世界における暗号資産の採掘に費やされる電力のほぼ65%を保障しているのは、依然、炭化水素を主なエネルギー源としている中国である点に懸念を示している。
フィガロ紙は、現在、ビットコイン採掘に対する支持者もいれば、米電気自動車メーカー、テスラ社のCEO、イーロン・マスク氏など反対者もいると伝えている。マスク氏は、テスラはビットコイン採掘による膨大な炭化水素の消費に懸念を抱いており、ビットコインでの決済を停止するとの考えを明らかにしていた。一方、専門家らは環境保護の問題は、採掘にとって壊滅的な脅威となり、仮想通貨市場を環境によりやさしいものに変えるための刺激になる可能性があると指摘している。
フィガロ紙はまた、主要な採掘者らが生き残りのために行っている別の方策についても報じている。たとえば、いくつかの採掘者は、自身が得ている電力を販売したり、逆に他の採掘者が手放そうとしている電力の余剰分を回収するなどして、自らの活動による害を補填しようとしている。また、仮想通貨の取引の安全を保障するための電力消費の少ない別のプロトコルを導入するという方法もあるという。しかしながら、フィガロ紙は、こうしたやり方は取引の安全性を低下させる可能性があると指摘している。さらにプロトコルを変更するには、採掘にかかわる全員が行わなければならず、それは想像すらできないことである。ビットコインを環境によりやさしいものにすることは理論的には可能であるが、これを実際に導入するのは非常に難しいとフィガロ紙は書いている。