ロシア科学アカデミー世界経済国際政治研究所の日本経済政治グループを率いるヴィタリー・シュヴィトコ氏は、このような展開になる可能性は低いと考える。「感染流行期でもパラリンピックは感染拡大になりにくい。オリンピックほど大規模ではなく、人数も少ないからです。出場選手も、それに付き添う関係者もオリンピックよりはるかに少ない。それに、オリンピックに対する日本人の受け止め方も比較的落ち着いたものでした。一般市民の安全性という点では、今年のオリンピックはかなり局所的なイベントであり、選手たちの移動も厳しく制限されていました。」
五輪を研究する奈良女子大の石坂友司准教授(スポーツ社会学)も、パラリンピック中止の決定は障害者に対する差別となりかねないため、中止の可能性は低いと考える。
石坂氏:「パラリンピックは今、開催を中止すべきではないかという意見が出ているのは事実です。ただ、オリンピックを開催してパラリンピックを中止するということになると障害者の人たちに対して差別をしているのではないかという捉え方をされてしまうので、オリンピックに強く反対を叫んでいた人もパラリンピックにはそれほど大きな声で中止は叫べないのではないかと思います。」
それでも、パラリンピックの開催については、詳細な議論を要すると石坂准教授は言う。
また、国内の感染状況だけでなく、極めて苛酷な暑さもパラリンピックの開催を脅かしている。これについて石坂氏は、状況に応じていくつかの可能性を検討する必要があると語る。
石坂氏:「もう一つ重要なのは選手です。炎天下でプレーをしなければいけない、特に外種目の選手たち。それから、感染のリスクがあると危ないと言われている人たちもいるので、そういう人たちの参加をどの程度コントロールするのか、今回自粛して参加をやめるというケースがあってもいいと思いますし、もし開催できないものがあれば別の機会に代替の大会を開くということも検討していいのではないかなと思います。」