五輪終了を前に、日本国内の新型コロナウイルスの感染者総数は1万人を上回った。また、この数日間では、1日の感染者数が連日1万5000人台というかつてない記録が残ることとなった。厳しい規制措置が取られたにも関わらず、五輪の出場選手と関係者の中で430人の感染が確認された。また、特に「デルタ株」においては、ワクチン接種を上回るテンポで感染が拡大した。
現在、日本では高齢者の約80%が予防接種を受けているが、他の年齢層へのワクチン接種は遅れが生じている。日本政府は8月末までに国民の40%が予防接種を完了すると公言したが、コロナ対策としてはより速いテンポとより広い領域への対応が求められている。
こうした中、8月9日に朝日新聞が実施した世論調査によれば、菅内閣の支持率は28%にまで低下した。回答者の54%は、コロナウイルスの感染抑止という点で、菅首相は安全な五輪を開催することができなかったと答えている。一方で56%は五輪を開催してよかったと回答している。
極めて困難で異常な条件のもとでの五輪の価値ある開催に対し、国際オリンピック委員会(IOC)は、2020東京五輪組織委員会の橋本聖子会長と東京都の小池百合子知事、そして菅義偉首相に五輪金メダルを授与すると発表した。菅首相自身、今回の五輪は素晴らしい大会となったと称賛している。コメント欄では、菅首相に感謝を伝える国民がいる一方で、反対の声を無視し、国民の意見に耳を傾けずにIOCの言いなりになったと抗議する者もいる。
菅首相はまもなく政争を闘わなければならない。自民党執行部は9月29日に総裁選挙の実施を予定している。最終決定は8月26日の同党選挙管理委員会の会合で確認される。日本の五輪組織委員会のメンバーらの考えでは、大会の終了とともにウイルスへの勝利が宣言される予定だったが、しかし、現在も感染状況に関しては明るい兆しは見うけられない。日本の第99代首相には、現ポストに留任するチャンスはあるのか、または今年で首相としての任期は終わるのだろうか。
通信社「スプートニク」は、ロシア科学アカデミー極東研究所日本研究センターのオレグ・カザコフ主任研究員にこの問題についてのコメントを求めた。
菅首相の公式サイトのプロフィールには、彼の好きな格言は「意志あれば道あり」であると記されている。現首相が、次の任期に向け自身の道を継続させる意志が確かなものであるかは、時間の経過によって明らかとなる。