厚生労働省は昨年度、労働者の申告などで長時間労働が疑われる日本全国の事業所2万4042か所に立ち入り調査を実施した。
その結果、残業をするために必要な労使協定が交わされていなかったり、労使協定の上限を超えて従業員に残業させたりして違法な時間外労働を課していた事業所は8904か所で、全体の37%に上った。また1か月の残業時間については、2982か所(33.5%)で80時間を、419か所(4.7%)で150時間を超えるケースが確認された。
これについて同省は、昨年度はコロナ禍で労働時間が短縮傾向にあり違法な時間外労働は減ったものの、長時間労働による健康被害は依然として相次いでいると指摘。そのうえで、「今後経済が回復に向かう際、人手不足によって長時間労働となる職場が出るおそれがあるので、引き続き指導を徹底したい」とコメントしている。
日本における長時間労働の是正をめぐっては2018年、働き方改革関連法が施行され、昨年4月から中小企業でも時間外労働を1か月100時間未満にするなどの上限規制が始まっている。