日本の次期首相候補者たちの顔ぶれ
自由民主党総裁の任期満了に伴う選挙は、9月17日に告示、29日に投開票という日程で行われることが決まった。自民党の総裁に選ばれた候補者は、国会で首相に指名されることになる。
菅義偉首相は、次の総裁選には立候補しないと表明し、首相の座を退くことを決めた。その理由については、新型コロナをめぐる政府の対応に対する不満が高まっているためだと指摘されている。

現時点で総裁選への出馬を表明しているのは、岸田文雄前政調会長、河野太郎行政・規制改革相、高市早苗前総務大臣である。この3人の候補者は、どのような政治家なのだろうか?「スプートニク」が、この3人について現在分かっていることをまとめた。
岸田文雄
岸田文雄氏は1957年7月29日、広島県で、政治家一家に生まれた。祖父(岸田正記氏)、父(岸田文武氏)ともに自由民主党元衆議院議員。1982年に早稲田大学法学部を卒業し、同じ年に日本長期信用銀行に入行した。

1987年に長銀を退職し、衆議院議員であった父、岸田文武氏の秘書となる。1993年7月、岸田氏は初めて、第40回衆議院議員総選挙に旧広島1区から自由民主党公認で出馬し、21%の票を獲得し、初当選を果たす。2017年8月に自由民主党政務調査会長となった。

内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、規制改革、国民生活、再チャレンジ、科学技術政策)、外務大臣、防衛大臣を歴任。戦後の外務大臣としては在職期間歴代2位。この間、慰安婦問題を最終的かつ不可逆的に解決することを合意した日韓合意を手がけ、地元・広島におけるG7外相サミットの議長を務めた。

政治信条

2013年に刊行された「外交青書」の中で、岸田氏は日本の外交の優先順位として、第一に日米同盟の強化、第二に中国、韓国、ロシア、ASEAN加盟国など、近隣諸国との協力関係の推進、そして第三に世界経済における日本の役割の強化を挙げている。一方、日本にとっての主な脅威は北朝鮮の核プログラム、そして中国船による領海侵入、中国機による領空侵犯であるとの考えを示している。

外交においては米国や欧州、インド、豪州、台湾など、基本的価値を共有する国・地域と連携し、対話を重視するスタイル。自民党の若返りを図り、「比例73歳定年制」を堅持するとともに、役員任期を「1期1年・連続3期」までとし、権力の集中を防ぎたいと主張している。
高市早苗
高市早苗氏は、1961年3月7日、奈良県大和郡山市生まれ。神戸大学経営学部経営学科を卒業し、その後、松下政経塾に入塾した。

1987年、渡米し、米民主党下院議員の個人事務所に勤務した1989年に帰国し、政治家としてのキャリアをスタートさせる。

高市氏は第一次安倍内閣で、内閣府特命担当大臣(沖縄および北方対策、科学技術政策、少子化・男女共同参画、食品安全、イノベーション担当)に就任した。

2012年の第46回衆議院議員総選挙で当選した後、自民党政務調査会長に就任した。

また2014年9月3日には女性初の総務大臣に任命された。


政治信条

高市氏は、近く、安倍前首相が掲げていた保守政治を継承していくとした内容の著書を発表する。高市氏は、安倍前首相とともに、自民党有志の保守系グループ「保守団結の会」で顧問を務め、その政治信条は安倍氏に近い。

国の究極の使命とは「国土と資源」「国家の主権(独立統治権)と名誉」だと主張。靖国神社参拝を明言し、憲法を改正し自衛隊を国防軍とするよう呼びかける。

選択的夫婦別姓と同姓婚に反対。「中国共産党が日本社会への浸透と工作を仕掛けてくる可能性もある」と対中国リスクを強調し、法制度整備を提案している。
河野太郎
河野太郎氏は1963年1月10日、神奈川県平塚市生まれ。父の河野洋平(1937年生)は自由民主党総裁(1993〜1995年)、衆議院議長(2003〜2009年)、外務大臣(1994〜1996年、1999〜2001年)を務めた。

1981年、河野太郎氏は、慶應義塾大学経済学部に入学するも、翌1982年に渡米、ワシントンD.C.のジョージタウン大学国際関係学部に入学、比較政治学を専攻した。

1985年に同大学卒業。その後、米国で、2年にわたって、リチャード・シェルビー下院議員の下でインターンを務めるなどした。

2015〜2016年には第75代国家公安委員会委員長を務め、2017〜2019年にかけては外務大臣を務めた。2019年9月11日、防衛大臣に就任した。

政治信条

河野太郎氏は米国との戦略的互恵関係を支持している。日米の同盟関係に対しては肯定的な立場に立っているが、在日米軍の地位協定については見直しが必要だと主張している(現在、在日米軍の駐留人数はおよそ47,000人。沖縄をはじめとする日本の各地域では、在日米軍に対する抗議の声が上がっている)。

加えて河野氏は、北朝鮮との関係について、「核兵器を保有しようとしまいと」、対話を行うべきとの立場に立っている。

筆者: ダリヤ・グリバノフスカヤ

写真:Sputnik、REUTERS、AP
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