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モスクワで日本人ふたりが主役を務める「白鳥の湖」公演、バレエ大国ロシアで快挙
モスクワで日本人ふたりが主役を務める「白鳥の湖」公演、バレエ大国ロシアで快挙
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... 2021年9月12日, Sputnik 日本
2021-09-12T22:00+0900
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ロシア・バレエってどんなバレエ団?ロシア・バレエはユニークな歴史をもっている。もともとは1981年に、ボリショイ劇場所属のバレリーナの発案で16人の有志グループとして発足し、モスクワ州や他都市で公演を行っていた。ソ連時代、オペラバレエ劇場は全国に18か所しかなかったため、地方へ出かけていってバレエを啓蒙できる若いグループは貴重な存在だった。その小さなグループを、当時ボリショイ劇場の大スターだったゴルデーエフ氏が引き継いだ。ゴルデーエフ氏は弱冠36歳でソ連人民芸術家の称号を得ており、イタリアやスペインなどヨーロッパ各地からも公演依頼が絶えなかった。バレエ団の規模を拡大するにつれて2度改名し、現在の名称になった。全くバレエには縁がないと思われていたインドや中国への海外公演を実現するなど、常に時代の先駆者であり続けた。その先進性は、外国人を起用したことからもわかる。その第一号が、千野円句さんの母、千野真沙美さんだ。今でこそロシアで活躍する日本人バレリーナは珍しくないが、当時はソ連出身以外の外国人にとって、実力があっても舞台への門は非常に狭かった。ゴルデーエフ氏は国籍に関係なく努力と実力で評価する方針を貫き、真沙美さんは数々の舞台で主要な役を務めた。2019年には自身の50歳の記念公演で円句さんと共演。現在はロシア・バレエで指導を行うとともに、モスクワ在住の日本人の子どもたちにバレエの楽しさを伝えている。日本人の規律正しさはバレエ団に好影響ゴルデーエフ氏は長年、日本におけるバレエコンクールの審査員長を務めた。彼の執務室には市長からの感謝状が飾られている。ゴルデーエフ氏は、日本人のバレエに対する真剣で真面目な姿勢を高く評価する。「創造においても、普段の生活においても規律正しくあるべきだし、バレエ団のメンバーには、責任感をもって自分の仕事をすることを求めています。日本人はとても規律正しい。それだから、日本人は多くを成し遂げました。外国との仕事に優先順位をつけるとしたら、日本とドイツを選びます。この2国は自分の言葉に責任を持っているので、合意したら、ちゃんとその通りになります。うちのバレエ団にはたくさんの日本人がいます。彼らは信頼のおけるダンサーだし、指導者から注意されたことを受けとめ、それを改善しようと真剣に取り組んでいます。」7日の公演は在ロシア日本大使館、ジャパンクラブ、日本センターが実施するフェスティバル「日本の秋」の一環として開催された。とは言え、ゴルデーエフ氏は、条件が揃わなければ、日本人ふたりを同時に主役にすることはなかったと断言する。「彼らには踊る権利がある。だからフェスティバルに参加すべきでした。権利がなければ、どんなフェスティバルもコネクションも、助けにはなりません。現在ロシアには数組の、優れた日本人ペアがいますが、彼ら全員に白鳥の湖をキャスティングできるかというとそうではありません。他の演目なら良いのですが、白鳥の湖に関しては、手足の長さや身長など身体的な条件が整っていることが不可欠なのです。」ロシア・バレエに所属する福田汐里さん。日本でのコンクールに出演した際に踊った黒鳥のヴァリエーションがきっかけで、ゴルデーエフ氏の目にとまり、ロシア行きを打診された。現在入団8年目で、白鳥の湖ではすでに何度も主役を踊り、海外公演にも参加している。福田さんの目下の目標は、「眠れる森の美女」で主役を踊ることだ。福田さん「今回はいつもと違うパートナーと踊ることでたくさんの発見があり、とても楽しかったです。ロシア・バレエはアットホームなバレエ団で、毎回舞台のたびにメンバーが応援してくれるし、何か問題があっても励まし合える居心地の良い環境です。これからも毎回、頂く公演を一つずつしっかり踊っていきたいと思います。」千野円句さんはロシアの名門・ボリショイ劇場のダンサーで、今回の公演にはゲストとして参加。184センチの長身で気品ある王子を演じた。舞台を終えて「夢が叶って幸せ。すごく早く終わってしまったので、もっと踊りたい気持ち」と振り返った。開演直前まで入念に準備をしていた円句さん。「ここ(ロシア・バレエ)の振り付けはパントマイム、演技の部分が豊富で、そこを確認していました。踊りだけでなく演技も極めないと。今回は初めて王子役で舞台に立っただけあって、やりたかったことを全部できたわけじゃないので、もっと踊りたかったです。」今秋、ボリショイ劇場に所属して5シーズン目を迎える。3シーズン目は、怪我とコロナの影響でほとんど舞台に立てなかった。ボリショイ劇場はロシアバレエの最高峰として数多くのダンサーを抱えている。その中で主要な役を得るのは、大変なことだ。今シーズンの目標については「まだコールドバレエなので、できるだけ多くの役を練習して、踊らせてもらえるように頑張るしかない」と話す。すでにボリショイ劇場の白鳥の湖では、ロットバルト(悪魔)を踊った経験がある。いつかはボリショイの大舞台で、王子を踊るのが夢だ。関連記事
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モスクワで日本人ふたりが主役を務める「白鳥の湖」公演、バレエ大国ロシアで快挙
2021年9月12日, 22:00 (更新: 2022年4月27日, 22:53) 7日、バレエ大国ロシアの首都モスクワで、福田汐里(ふくだ・しおり)さんと千野円句(ちの・まるく)さんが主役を務める「白鳥の湖」の舞台公演が行われた。ダンサーの層が厚いロシアで、男女とも日本人が主役を踊ることはきわめて稀だ。しかも古典の代表作・白鳥の湖となるとなおさらである。二人の共演を実現させたモスクワ州アカデミー劇場「ロシア・バレエ」のヴャチェスラフ・ゴルデーエフ芸術監督に話を聞いた。
ロシア・バレエはユニークな歴史をもっている。もともとは1981年に、ボリショイ劇場所属のバレリーナの発案で16人の有志グループとして発足し、モスクワ州や他都市で公演を行っていた。ソ連時代、オペラバレエ劇場は全国に18か所しかなかったため、地方へ出かけていってバレエを啓蒙できる若いグループは貴重な存在だった。
その小さなグループを、当時ボリショイ劇場の大スターだったゴルデーエフ氏が引き継いだ。ゴルデーエフ氏は弱冠36歳でソ連人民芸術家の称号を得ており、イタリアやスペインなどヨーロッパ各地からも公演依頼が絶えなかった。バレエ団の規模を拡大するにつれて2度改名し、現在の名称になった。全くバレエには縁がないと思われていたインドや中国への海外公演を実現するなど、常に時代の先駆者であり続けた。
その先進性は、外国人を起用したことからもわかる。その第一号が、千野円句さんの母、千野真沙美さんだ。今でこそロシアで活躍する
日本人バレリーナは珍しくないが、当時はソ連出身以外の外国人にとって、実力があっても舞台への門は非常に狭かった。
ゴルデーエフ氏は国籍に関係なく努力と実力で評価する方針を貫き、真沙美さんは数々の舞台で主要な役を務めた。2019年には自身の50歳の記念公演で円句さんと共演。現在はロシア・バレエで指導を行うとともに、モスクワ在住の日本人の子どもたちにバレエの楽しさを伝えている。
ゴルデーエフ氏は長年、日本におけるバレエコンクールの審査員長を務めた。彼の執務室には市長からの感謝状が飾られている。ゴルデーエフ氏は、日本人のバレエに対する真剣で真面目な姿勢を高く評価する。
「創造においても、普段の生活においても規律正しくあるべきだし、バレエ団のメンバーには、責任感をもって自分の仕事をすることを求めています。日本人はとても規律正しい。それだから、日本人は多くを成し遂げました。外国との仕事に優先順位をつけるとしたら、日本とドイツを選びます。この2国は自分の言葉に責任を持っているので、合意したら、ちゃんとその通りになります。うちのバレエ団にはたくさんの日本人がいます。彼らは信頼のおけるダンサーだし、指導者から注意されたことを受けとめ、それを改善しようと真剣に取り組んでいます。」
7日の公演は在ロシア日本大使館、ジャパンクラブ、日本センターが実施するフェスティバル「日本の秋」の一環として開催された。とは言え、ゴルデーエフ氏は、条件が揃わなければ、日本人ふたりを同時に主役にすることはなかったと断言する。
「彼らには踊る権利がある。だからフェスティバルに参加すべきでした。権利がなければ、どんなフェスティバルもコネクションも、助けにはなりません。現在ロシアには数組の、優れた日本人ペアがいますが、彼ら全員に白鳥の湖をキャスティングできるかというとそうではありません。他の演目なら良いのですが、白鳥の湖に関しては、手足の長さや身長など身体的な条件が整っていることが不可欠なのです。」
ロシア・バレエに所属する福田汐里さん。日本でのコンクールに出演した際に踊った黒鳥のヴァリエーションがきっかけで、ゴルデーエフ氏の目にとまり、ロシア行きを打診された。現在入団8年目で、白鳥の湖ではすでに何度も主役を踊り、海外公演にも参加している。福田さんの目下の目標は、「眠れる森の美女」で主役を踊ることだ。
福田さん「今回はいつもと違うパートナーと踊ることでたくさんの発見があり、とても楽しかったです。ロシア・バレエはアットホームなバレエ団で、毎回舞台のたびにメンバーが応援してくれるし、何か問題があっても励まし合える居心地の良い環境です。これからも毎回、頂く公演を一つずつしっかり踊っていきたいと思います。」
千野円句さんはロシアの名門・ボリショイ劇場のダンサーで、今回の公演にはゲストとして参加。184センチの長身で気品ある王子を演じた。舞台を終えて「夢が叶って幸せ。すごく早く終わってしまったので、もっと踊りたい気持ち」と振り返った。
開演直前まで入念に準備をしていた円句さん。「ここ(ロシア・バレエ)の振り付けはパントマイム、演技の部分が豊富で、そこを確認していました。踊りだけでなく演技も極めないと。今回は初めて王子役で舞台に立っただけあって、やりたかったことを全部できたわけじゃないので、もっと踊りたかったです。」
今秋、ボリショイ劇場に所属して5シーズン目を迎える。3シーズン目は、怪我とコロナの影響でほとんど舞台に立てなかった。ボリショイ劇場はロシアバレエの最高峰として数多くのダンサーを抱えている。その中で主要な役を得るのは、大変なことだ。
今シーズンの目標については「まだコールドバレエなので、できるだけ多くの役を練習して、踊らせてもらえるように頑張るしかない」と話す。すでにボリショイ劇場の白鳥の湖では、ロットバルト(悪魔)を踊った経験がある。いつかはボリショイの大舞台で、王子を踊るのが夢だ。