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アレクサンドラ・トルソワ:4回転女王の演技が安定しないのはなぜなのか?
アレクサンドラ・トルソワ:4回転女王の演技が安定しないのはなぜなのか?
Sputnik 日本
... 2021年9月28日, Sputnik 日本
2021-09-28T13:20+0900
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トルソワが安定感に欠ける理由はなんなのか。「スプートニク」はスポーツ心理学者に話を聞くことにした。ロシア体育・実践心理学研究所および国立生物医学スポーツ研究所の専門家であるオリガ・チウノワ氏が取材に応じてくれた。スプートニク:もっとも期待されている選手(アレクサンドラ・トルソワを含め)が、トレーニングでは完璧な演技をしているのに、大会では予想に反して、文字通り、見事に崩れてしまうのは何故なのでしょうか。たとえば、今回でいうと、トルソワは、トレーニングでは、まさに「ナッツが弾けるように」次々とウルトラCのトリプルアクセル(トルソワもすでに習得済み)と4回転を決めていたわけですが。オリガ・チウノワ氏:期待されているようなよい結果が出ないときというのは、いくつもの理由が重なっていることが多いのですが、もっともよくあるのは、年齢的な成長、そしてジュニアからシニアに移ったことで直面する新たな課題の難しさによるものです。さらにこれまでは効果があった心理的なサポートが機能しなくなってくるということもあります。たとえば、ジュニアだったつい最近までは、「あなたならやれると信じている」とか、「すべてうまくいく」とか、「絶対できる」とかいう言葉をかけるだけで、自信を持つことができていたのに、大きな成功を収めると、その後、コーチからのプレッシャーや周囲(家族やチームメイト)からの過剰な期待が大きくなってくることが多いのです。こうしたことが若い選手に大きな心理的プレッシャーとなり、新たな成功を収めるのではなく、逆に結果を出せなくなったりするのです。スプートニク:人にはそれぞれの性格によって、内向的、外交的、ロマンティスト、神経質などいろいろなタイプがあると思うのですが、スポーツ選手もそのようなタイプに分けることはできますか?たとえば、目標をうまく達成できる選手、人一倍努力をし、疑いない才能があってもなかなか成果を出せないタイプなどです。オリガ・チウノワ氏:わたしたちがロシアの代表選手たちを対象に行なっている研究では、今のところ、『勝利者』のタイプというものは特定できていません。しかし実際、このことはインスピレーションを与えてくれるものでもあります。というのは、(年齢、社会層、人生経験を問わず)誰でも勝利者になれるということは証明されているからです。そしてただ一つはっきりしているのは、それぞれの選手に独自のアプローチ法が必要だということです。スプートニク: しかし、アレクサンドラ・トルソワには、トレーニングにおいて、独自のアプローチをしていないとはけして言えず、練習では素晴らしいコンディションで、大会に向け、完璧な準備が整っていることを証明しています。彼女が抱える問題とは一体なんだと思いますか?5本の4回転を跳ぶという衝撃的な演技を、大会でも見せることができるようにするために「ロシアのロケット」を助ける方法はあるのでしょうか?オリガ・チウノワ氏:大会を前に、自分自身を調整するということに慣れていないのが原因かもしれませんが、もう一つ、ライバルの力を過大評価することによる心理的なプレッシャーも否定できません。正確な原因を知るには、大会でどのような心理状態にあるのかをトルソワ選手本人から聞く必要があります。そして問題解決に向けて、心理学者と選手とコーチが一緒に取り組まなければなりません。レベルの高いスポーツ選手というのは、概して、練習だけでなく、心理的なトレーニングも大切だということを理解していますから、ほとんどの場合は専門家にかかることに拒否感はありません。そしてスポーツ心理学者からのアドバイスに忠実に従うようになります。スプートニク:コーチが、スポーツを指導しつつも、自分が教える生徒にとっての心理学者的な役目を果たすことはできますか?それとも、コーチは指導に専念すべきなのでしょうか?オリガ・チウノワ氏:コーチは、選手に心の準備をさせるもっとも重要な人物であり、この役割を長年うまく果たしているコーチもいます。しかし、誰もがそうなれるわけではありません。心理的なサポートには特別な知識と安定した精神が必要だからです。コーチも人間ですから、常に自制心を保つということができないこともあります。ですから、選手の心理的な部分を支えてくれる良いスポーツ心理学者を持つということは、選手にとっても、コーチにとっても、非常に有益なことなのです。関連ニュース
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フィギュアスケート, アレクサンドラ・トルソワ
アレクサンドラ・トルソワ:4回転女王の演技が安定しないのはなぜなのか?
最近チェリャビンスクで行われたテストスケートで、世界で初めて4種類5本の4回転ジャンプを決め、大きな話題を呼んだアレクサンドラ・トルソワ。しかし、今のところ、この衝撃的な演技を大会で披露するには至っていない。すでにメディアでは、この溢れる才能を持ちながら、トルソワはトレーニングだけの「4回転女王」に終わってしまうのではないかとの懸念の声が上がっている。
トルソワが安定感に欠ける理由はなんなのか。「スプートニク」はスポーツ心理学者に話を聞くことにした。ロシア体育・実践心理学研究所および国立生物医学スポーツ研究所の専門家であるオリガ・チウノワ氏が取材に応じてくれた。
スプートニク:もっとも期待されている選手(
アレクサンドラ・トルソワを含め)が、トレーニングでは
完璧な演技をしているのに、大会では予想に反して、文字通り、見事に崩れてしまうのは何故なのでしょうか。たとえば、今回でいうと、トルソワは、トレーニングでは、まさに「ナッツが弾けるように」次々とウルトラCのトリプルアクセル(トルソワもすでに習得済み)と4回転を決めていたわけですが。
オリガ・チウノワ氏:期待されているようなよい結果が出ないときというのは、いくつもの理由が重なっていることが多いのですが、もっともよくあるのは、年齢的な成長、そしてジュニアからシニアに移ったことで直面する新たな課題の難しさによるものです。さらにこれまでは効果があった心理的なサポートが機能しなくなってくるということもあります。たとえば、ジュニアだったつい最近までは、「あなたならやれると信じている」とか、「すべてうまくいく」とか、「絶対できる」とかいう言葉をかけるだけで、自信を持つことができていたのに、大きな成功を収めると、その後、コーチからのプレッシャーや周囲(家族やチームメイト)からの過剰な期待が大きくなってくることが多いのです。こうしたことが若い選手に大きな心理的プレッシャーとなり、新たな成功を収めるのではなく、逆に結果を出せなくなったりするのです。
スプートニク:人にはそれぞれの性格によって、内向的、外交的、ロマンティスト、神経質などいろいろなタイプがあると思うのですが、スポーツ選手もそのようなタイプに分けることはできますか?たとえば、目標をうまく達成できる選手、人一倍努力をし、疑いない才能があってもなかなか成果を出せないタイプなどです。
オリガ・チウノワ氏:わたしたちがロシアの代表選手たちを対象に行なっている研究では、今のところ、『勝利者』のタイプというものは特定できていません。しかし実際、このことはインスピレーションを与えてくれるものでもあります。というのは、(年齢、社会層、人生経験を問わず)誰でも勝利者になれるということは証明されているからです。そしてただ一つはっきりしているのは、それぞれの選手に独自のアプローチ法が必要だということです。
スプートニク: しかし、アレクサンドラ・トルソワには、トレーニングにおいて、独自のアプローチをしていないとはけして言えず、練習では素晴らしいコンディションで、大会に向け、完璧な準備が整っていることを証明しています。彼女が抱える問題とは一体なんだと思いますか?5本の4回転を跳ぶという衝撃的な演技を、大会でも見せることができるようにするために「ロシアのロケット」を助ける方法はあるのでしょうか?
オリガ・チウノワ氏:大会を前に、自分自身を調整するということに慣れていないのが原因かもしれませんが、もう一つ、ライバルの力を過大評価することによる心理的なプレッシャーも否定できません。正確な原因を知るには、大会でどのような心理状態にあるのかをトルソワ選手本人から聞く必要があります。そして問題解決に向けて、心理学者と選手とコーチが一緒に取り組まなければなりません。レベルの高いスポーツ選手というのは、概して、練習だけでなく、心理的なトレーニングも大切だということを理解していますから、ほとんどの場合は専門家にかかることに拒否感はありません。そしてスポーツ心理学者からのアドバイスに忠実に従うようになります。
スプートニク:コーチが、スポーツを指導しつつも、自分が教える生徒にとっての心理学者的な役目を果たすことはできますか?それとも、コーチは指導に専念すべきなのでしょうか?
オリガ・チウノワ氏:コーチは、選手に心の準備をさせるもっとも重要な人物であり、この役割を長年うまく果たしているコーチもいます。しかし、誰もがそうなれるわけではありません。心理的なサポートには特別な知識と安定した精神が必要だからです。コーチも人間ですから、常に自制心を保つということができないこともあります。ですから、選手の心理的な部分を支えてくれる良いスポーツ心理学者を持つということは、選手にとっても、コーチにとっても、非常に有益なことなのです。