ロシア初、プロが演じる紙芝居に子供も大人も笑顔 モスクワの名門人形劇場が紙芝居文化の会に入会
2021年12月22日, 14:23 (更新: 2021年12月22日, 17:10)
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin紙芝居
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
サイン
12月7日「世界KAMISHIBAIの日」にロシア・モスクワにある、セルゲイ・オブラスツォフ記念国立アカデミー中央人形劇場で、日本の紙芝居文化が紹介されるとともに、劇場制作の紙芝居がプロの俳優によって演じられ、好評を博した。今年、オブラスツォフ人形劇場は、ロシアで初めて日本の「紙芝居文化の会」(IKAJA)の海外会員となった。同会の海外会員は、世界56の国と地域に広がっている。
オブラスツォフ人形劇場は、1931年に創立された歴史ある劇場で、劇場内に工房や博物館を有し、ロシアの数ある人形劇場の中で最も中心的な役割を果たしている。創立当初は観客が入れるスペースがなかったので、公園や路上、学校など、まさに紙芝居のスタイルと同じように、どこででも公演を行った。1970年にモスクワ中心部に移転し、現在に至っている。オブラスツォフ人形劇場の代表作のひとつ「An Unusual Concert」は、世界一観客を動員した人形劇としてギネスブックに登録されている。
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre Alexandr Ivanishin 紙芝居をロシアに紹介した俳優マキシム・クストフさん
紙芝居をロシアに紹介した俳優マキシム・クストフさん
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre Alexandr Ivanishin
ロシア初の紙芝居の発起人となったのは、オブラスツォフ人形劇場に所属する若手俳優のマキシム・クストフさん。人形劇というレトロな芸術ジャンルを専門としながらも、常に役者として新しい表現を模索していく中で、紙芝居にめぐりあった。
クストフさん「ロシアではまだ、日本独特の劇場スタイルである紙芝居はほとんど知られていません。私たちの人形劇場は国の中央劇場として、啓蒙活動を行うというミッションもあります。ここで紙芝居を見てくれた人が、家庭や学校、幼稚園などで、自分の紙芝居が作りたくなるようになればと願っています。」
この日、クストフさんと、女優のエカテリーナ・マレチナさんが演じた紙芝居は、少年が人形劇場の中を探検し、様々な秘密に触れる物語。ストーリーは、コロナ禍で一時期、劇場が閉鎖されたとき制作したコミックスを発展させたもので、43枚の絵は劇場の美術担当者によって新しく制作した。
二人の演技に加え、木琴の生演奏、拍子木や銅鑼の音、紙でできた龍の登場、照明など会場の全てが一体となり、観客は子供も大人も紙芝居の世界に引き込まれていった。場面展開のスピードが速く、全く飽きさせなかった。
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin紙芝居
1/3
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin紙芝居
2/3
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
3/3
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
1/3
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
2/3
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
3/3
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre / Alexandr Ivanishin
紙芝居
クストフさん「人形劇でも紙芝居でも、時代の変化や進歩と共に、観客も変わっていきます。昔、あるリズムで演じていた演目が、今では違うリズムで演じられるようになっている。現代の観客は、短時間の情報を受け止めるのに慣れ、長時間の情報を受け止めるのが難しくなっています。ですから、私たちも変わっていきます。」
次なる目標は、モスクワが春を迎えたら、劇場の中庭にある公演で紙芝居を演じることだ。日本の民話「鶴の恩返し」をアレンジしたストーリーで、人形劇と紙芝居を組み合わせた新しい表現、より面白い演技を追求していく。クストフさんは「紙芝居は伝統的に外でやるもの。今回の紙芝居は、春に向けた新しい劇を作るための初めの一歩と捉えています」と話している。