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火山灰が地球を覆う トンガ沖の火山噴火にはどのような危険があるのか?
火山灰が地球を覆う トンガ沖の火山噴火にはどのような危険があるのか?
Sputnik 日本
1月14日、トンガ王国近くにある海底火山フンガトンガ・フンガハアパイで大規模な噴火が始まった。噴煙高度は20キロにも達し、津波は日本、ハワイ、南米にまで到達した。このトンガ沖の火山噴火がどれほど深刻な影響を及ぼすのか、「スプートニク」がまとめた。 2022年1月19日, Sputnik 日本
2022-01-19T13:47+0900
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災害・事故・事件
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1月14日、トンガ王国近くにある海底火山フンガトンガ・フンガハアパイで大規模な噴火が始まった。噴煙高度は20キロにも達し、津波は日本、ハワイ、南米にまで到達した。このトンガ沖の火山噴火がどれほど深刻な影響を及ぼすのか、「スプートニク」がまとめた。火山の冬火山の噴火は粉砕された岩石や固化したマグマの放出を伴う。噴煙高度が高ければ高いほど、大気が汚染される期間は長くなる。たとえば、1883年にインドネシアで発生したクラカタウ大噴火で発生した火山灰雲は、地面に落ち着くまでに地球を2周した。1815年に同じくインドネシアで発生したタンボラ火山の史上最大規模の噴火による火山灰は、数千キロの範囲に広がり、また40キロの高さにまで上った噴煙は2年もの間、大気中に留まった。汚染された大気は太陽光を反射しやすくすることから、地球上の温度は1〜3℃、地域によっては5℃低下した。翌1816年、ヨーロッパは「夏のない年」と呼ばれる状態となり、7月半ばまで寒さが続いた。これは火山の冬と呼ばれるもので、火山爆発指数(VEI)6〜8のレベルの噴火が発生した後に起こる現象である。ちなみにタンボラ噴火のVEIは7、クラカタウ噴火では6であった。今回のトンガの大噴火については、当初は2とされていたが、現在は5のレベルにまで引き上げられている。専門家の評価によれば、火山からはすでに数立方キロメートルにおよぶ火山砕屑物が放出されたという。そして現在、火口縁の上には幅5キロメートル、高さおよそ260キロメートルの噴煙が上がっている。研究者らは、今回の噴火の爆発は、マグマと火山の割れ目から地殻に入り込んだ海水との相互作用によるもの、また火口に上昇したマグマ中のガス成分が膨張したことによると考えている。津波は水面に広がった波と海底の地すべりによるものである。「火山灰が建物、庭、インフラを覆う」フンガトンガ・フンガハアパイ火山は、海底からの高さが1,800メートル、半径はおよそ20キロメートル。カルデラは幅およそ6キロメートル、深さは150メートルである。2014年から2015年にかけて起こった噴火では、初期の火山活動の結果として、水面からおよそ100メートル上の場所に円錐型の灰が放出されたことにより、フンガトンガとフンガハアパイという2つの小さな島がつながれ、新しい島が形成された。火山は1912年、1937年、1988年、2009年、2014〜2015年に噴火している。ニュージーランド、オークランド大学の研究者チームによる研究では、ここでは大規模な噴火が1000年に1度発生するとされている。しかし専門家らは噴火の予測については慎重な見方を示す。オークランド大学で地球科学を専門とするシェイン・クローニン教授は、「フンガトンガ・フンガハアパイでは、数週間、あるいは数年に及ぶ大規模な噴火が起こる可能性がある」とも指摘している。またオーストラリアの火山学者であるクリス・ファート氏は次のように述べている。取り消された災害一方、ロシア科学アカデミー極東支部火山学および地震学研究所の所長と務めるアレクセイ・オゼロフ地質学・鉱物学博士は、フンガトンガ・フンガハアパイの大噴火は過去30年で最大規模のものであると認められているものの、地球にとって深刻な被害を残す可能性は少ないと指摘する。研究者らに与えられた課題は、地震を正確に予測し、それによって起こりうる被害の危険性や大きさを評価し、地方の自治体や住民、航空および海上の輸送機関に時宜良く警告を発することである。今回のフンガトンガ・フンガハアパイの大噴火では、総じて、研究者はこの課題をうまく処理することができた。噴火を昨年末に予測し、火山の様子は宇宙からも、また地上の地球物理学上の機器でも観測が続け、もっとも危険な地区に住む住民たちを前もって避難させていたのである。
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1月14日、トンガ王国近くにある海底火山フンガトンガ・フンガハアパイで大規模な噴火が始まった。噴煙高度は20キロにも達し、津波は日本、ハワイ、南米にまで到達した。このトンガ沖の火山噴火がどれほど深刻な影響を及ぼすのか、「スプートニク」がまとめた。
火山の噴火は粉砕された岩石や固化したマグマの放出を伴う。噴煙高度が高ければ高いほど、大気が汚染される期間は長くなる。たとえば、1883年にインドネシアで
発生したクラカタウ大噴火で発生した火山灰雲は、地面に落ち着くまでに地球を2周した。
1815年に同じくインドネシアで発生したタンボラ火山の史上最大規模の噴火による火山灰は、数千キロの範囲に広がり、また40キロの高さにまで上った噴煙は2年もの間、大気中に留まった。汚染された大気は太陽光を反射しやすくすることから、地球上の温度は1〜3℃、地域によっては5℃低下した。翌1816年、ヨーロッパは「夏のない年」と呼ばれる状態となり、7月半ばまで寒さが続いた。
これは火山の冬と呼ばれるもので、火山爆発指数(VEI)6〜8のレベルの噴火が発生した後に起こる現象である。ちなみにタンボラ噴火のVEIは7、クラカタウ噴火では6であった。今回のトンガの大噴火については、当初は2とされていたが、現在は5のレベルにまで引き上げられている。専門家の評価によれば、火山からはすでに数立方キロメートルにおよぶ火山砕屑物が放出されたという。そして現在、火口縁の上には幅5キロメートル、高さおよそ260キロメートルの噴煙が上がっている。
研究者らは、今回の噴火の爆発は、マグマと火山の割れ目から地殻に入り込んだ海水との相互作用によるもの、また火口に上昇したマグマ中のガス成分が膨張したことによると考えている。津波は水面に広がった波と海底の地すべりによるものである。
フンガトンガ・フンガハアパイ火山は、海底からの高さが1,800メートル、半径はおよそ20キロメートル。カルデラは幅およそ6キロメートル、深さは150メートルである。2014年から2015年にかけて起こった噴火では、初期の火山活動の結果として、水面からおよそ100メートル上の場所に円錐型の灰が放出されたことにより、フンガトンガとフンガハアパイという2つの小さな島がつながれ、新しい島が形成された。
火山は1912年、1937年、1988年、2009年、2014〜2015年に噴火している。ニュージーランド、オークランド大学の研究者チームによる研究では、ここでは大規模な噴火が1000年に1度発生するとされている。
しかし専門家らは噴火の予測については慎重な見方を示す。
オークランド大学で地球科学を専門とするシェイン・クローニン教授は、「フンガトンガ・フンガハアパイでは、数週間、あるいは数年に及ぶ大規模な噴火が起こる可能性がある」とも指摘している。
またオーストラリアの火山学者であるクリス・ファート氏は次のように述べている。
「フンガトンガ・フンガハアパイ島が遠く離れた場所に位置し、また無人島であったことは幸いでした。そうでなければ犠牲者ははるかに多くなっていたでしょう。しかしそれでも、噴火の影響は太平洋全体に及びました。津波はカリフォルニアにまで達しています。近隣の島にも数センチメートルの灰が降り、建物、庭、インフラなどを覆い、食糧供給に困難を来たし、水源を汚染しました」。
一方、ロシア科学アカデミー極東支部火山学および地震学研究所の所長と務めるアレクセイ・オゼロフ地質学・鉱物学博士は、フンガトンガ・フンガハアパイの大噴火は
過去30年で最大規模のものであると認められているものの、地球にとって深刻な被害を残す可能性は少ないと指摘する。
「しかし、火山灰の噴煙というものは、狡猾で、予測不能なものです。2010年にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトルで起こったそれほど強力でない火山が、ヨーロッパ全土、クリミアに至るまでを火山灰で覆ったことは記憶に新しいところです」。
研究者らに与えられた課題は、地震を正確に予測し、それによって起こりうる被害の危険性や大きさを評価し、地方の自治体や住民、航空および海上の輸送機関に時宜良く警告を発することである。今回のフンガトンガ・フンガハアパイの大噴火では、総じて、研究者はこの課題をうまく処理することができた。噴火を昨年末に予測し、火山の様子は宇宙からも、また地上の地球物理学上の機器でも観測が続け、もっとも危険な地区に住む住民たちを前もって避難させていたのである。