モスクワで紙芝居「鶴の恩返し」初演 ロシア人にとって新しい日本文化を紹介
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre Evgenia Arzamaztseva鶴の恩返し
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© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre Evgenia Arzamaztseva
サイン
5月28日、緑があふれるモスクワ南部の森林公園の中で、日本民話「鶴の恩返し」をモチーフにした紙芝居「つる」が上演された。当日は大雨であいにくの天気だったが、会場となった「日本の小屋」は観客でいっぱい。紙芝居と人形劇を融合させた熱演に、鑑賞した地元住民たちからは「新しい日本の文化を知ることができた」「すばらしい演技」と声が上がった。
日本文化や日本食はロシアで人気が高いが、紙芝居に関してはほとんど知られていない。このユニークな文化を伝えようと紙芝居プロジェクトを立ち上げたのは、オブラスツォフ記念国立アカデミー中央人形劇場の俳優、マキシム・クストフさんと女優のエカテリーナ・マレチナさん。二人は昨年12月、オリジナル台本によるロシア初の本格紙芝居を劇場で上演。今回で紙芝居は二作品目だ。
クストフさんは、人形劇というレトロな芸術ジャンルを専門としながら、日本文化にインスピレーションを受け、能を研究するなど役者として新しい表現を模索していく中で、紙芝居にめぐりあった。
今回は、日本人なら誰でも知っているストーリーを紙芝居にしたいと考え、「鶴の恩返し」を研究。もともとこの民話は、主人公が老夫婦だったり、働き者の若い青年だったりと、様々なバージョンがある。ロシア語に翻訳されたものは5種類ほどあり、それぞれに内容が異なっている。そこに自分達のアレンジも加え、ハッピーエンドにすることを前提にマレチナさんとともに脚本を作り上げた。紙芝居は人形劇場の芸術スタッフ、アナスタシア・ポドポリナさんとエゴール・トゥクマチェフさんが製作した。
クストフさん:
「定番のストーリーでないことはわかっているのですが、愛と幸福を表現したくて、貧しい青年のもとに、つるが嫁入りにやってくるというバージョンを選び、ハッピーエンドになるようにアレンジを加えました。今、世界で色々なことが起こっているこんな時代ですけれど…人は、何か良いもの、良いことのために生きるべきです。愛というのは、生きたい、生きなければという気持ちを呼び起こさせる、大きな感情であり、人生において最も大事なもののひとつです。この紙芝居を通して、人々がその大事な気持ちを思い出してくれることを願っています。」
© Sergei Obraztsov Puppet Theatre Evgenia Arzamaztseva鶴に姿を変えて飛び立つふたり
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鶴に姿を変えて飛び立つふたり
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挿入音、楽器にもこだわり
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre Evgenia Arzamaztseva美しい布を安く買おうとする市場の商人
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美しい布を安く買おうとする市場の商人
© 写真 : Sergei Obraztsov Puppet Theatre Evgenia Arzamaztseva細部まで精巧な紙芝居
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細部まで精巧な紙芝居
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鶴に姿を変えて飛び立つふたり
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挿入音、楽器にもこだわり
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美しい布を安く買おうとする市場の商人
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細部まで精巧な紙芝居
ところどころ日本語のセリフも交えながら、紙芝居はドラマティックに展開する。物語のクライマックスでは、青年はつるを追い、時間がゆっくりと流れる海の底の国「常若(とこわか)の島」へと漕ぎ出していく。青年はそこでつると再会し、ふたりは再び結ばれる。
迫真の演技に加え、拍子木、銅鑼、太鼓、自転車と一体化させた楽器「チャイム」、クストフさんが自分で作った名前のない木製楽器など、様々な音楽技術を駆使し、観客は笑いあり、涙ありの「つる」の世界に引きこまれていった。
© 写真 : Asuka Tokuyama初演にはたくさんの地元住民が訪れた
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初演にはたくさんの地元住民が訪れた
© 写真 : Asuka Tokuyama
昨年、オブラスツォフ人形劇場は、ロシアで初めて日本の「紙芝居文化の会」(IKAJA)の海外会員となった。同会の海外会員は、世界56の国と地域に広がっている。紙芝居「つる」は、近日中に人形劇場内でも上演を予定している。
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