https://sputniknews.jp/20220609/11498946.html
日本 海自護衛艦「いずも」が出港
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日本の海上自衛隊の護衛艦「いずも(DDH-183)」が出港した。同艦は6月13日から10月28日まで各種演習に参加する予定で、一連の演習の中には米海軍が主催する世界最大の海軍訓練「環太平洋合同演習(RIMPAC・リムパック)」も含まれている。2022年6月1日現在、26カ国がリムパックに参加することが分かっている。 2022年6月9日, Sputnik 日本
2022-06-09T16:59+0900
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同艦は、この大規模演習の他に、米国、オーストラリア、韓国、インド、フィリピンと共同で「パシフィック・パートナーシップ 2022」、「パシフィック・ヴァンガード2022」、「JIMEX」、「カカドゥ2022」、「Sama Sama/Lumbas」の演習に参加する。戦闘機を持たない護衛艦「いずも」は、戦闘機「F-35B」の搭載にむけた改修工事の第一弾を終えて出航した。この改修では甲板に耐熱処理加工が施されたが、これは戦闘機のエンジン排気熱から甲板を守るためのもの。また、弾薬庫や、飛行甲板での訓練、弾薬供給に関して改編が行われた。飛行甲板の燃料供給システム、エレベーターの設計、強い嵐で格納庫内の戦闘機が動くことがないように固定するためのユニットの設置などもおそらく行われた。日本はまだF-35Bを保有しておらず、この工事は改修の第一段階となる。日本は2020年に同戦闘機を6機、21年に2機の代金を支払い、2022年には4機の代金を支払う予定だ。「いずも」が武装するのに必要な戦闘機の数は全部で12機。同戦闘機は2024年度に6機、25年度に2機納入される予定。「いずも」にはF-35Bの他に、同戦闘機の整備・修理に必要な機器も納入される。このプロセスは、改修の第二段階になるとみられている。したがって「いずも」は現在、独自の航空団を持たず、他の艦艇からF-35Bの提供を受ける可能性がある。それが実質的に確認されたのは、2021年10月3日のことで、同艦で米海兵隊の「F-35B」2機の発着艦が行われた。以上のことから、「いずも」が演習に参加する目的は、艦隊間の相互運用性の訓練であると思われる。同艦は、他の艦艇の軍用機への給油や補給を担う補助空母としての役割を担うことになる。作戦においても、補助空母の存在は非常に重要だ。同艦は本隊より約1000キロメートル前方に位置し、あらかじめ定めたエリアでの航続距離を飛躍的に伸ばすことができるため、同盟国の主力空母部隊は敵機の射程圏外に配備することが可能となる。これらの演習に参加するもう一つの目的は、おそらくF-35Bに乗り込む自衛隊のパイロットを訓練することだろう。一般的に、パイロットの再訓練プログラムは以下のような段階から構成されている。1段階目は、日本が保有するF-35Aで実施可能なF-35型の訓練。2段階目は、改修済みのSTOVL型(短距離離陸・垂直着陸型)のF-35Bで、陸上の飛行場や訓練場での垂直離着陸の訓練を行う。また、自衛隊のパイロットは2021年10月からイタリアで改修済みの「F-35A」、「F-35B」での訓練を行っている。しかし、それでも、海上における本物のパイロットになることはできない。もう1段階、つまり3段階目の訓練が必要だ。海上での飛行、発着艦、特に荒波の中で行う訓練である。これには特別なスキルが必要とされる。作戦上、軍用機を持たない自衛隊のパイロットは、代替要員として大きな価値がある。米国人パイロットがタスクを終えて休みをとる間、自衛隊のパイロットはその軍用機で発艦することが可能となるためだ。これにより、艦載機の使用強度を大幅に高めることができる。また、海自がこれらの演習に参加することで、F-35Bを数機受領した時点で、空母部隊の戦闘態勢を達成することが可能となる。打撃力が飛躍的に向上護衛艦「いずも」がF-35Bを搭載した場合、哨戒ヘリコプター「SH-60J」のみを搭載していた頃と比べて打撃力が格段に向上する。このヘリは、敵の潜水艦を攻撃するための魚雷や爆雷を搭載した海自のヘリコプターで、最大11kmの射程を持つ「AGM-114ヘルファイア・ミサイル」を使用することも可能。しかし、ヘリは空用標的を攻撃することはできない。同艦の防空装備は、「ファランクス20 mm砲」3門と、射程距離が10キロメートルまでの対艦ミサイル防御装置「SeaRAM」2基と貧弱である。そのため「いずも」は、より強力な防空システムを保有する護衛艦「たかなみ(DD-110)」を伴っている。「たかなみ」は、防空システム「Mk41」32セルを装備し、その「Mk41」の一部には射程距離が50キロメートルの対空ミサイル「ESSM(RIM-162)」を収納している。F-35Bは、それらの装備と比べると本格的な多目的機だ。空中戦、空用標的との交戦(巡航ミサイルなど)、地上・水上標的への攻撃が可能となる。また、同戦闘機には35種類のミサイルや爆弾が搭載されている。12機のF-35Bは、特定の水域での制空権を獲得、敵艦隊への攻撃、海岸への上陸を支援するなど、多くのミッションをこなす本格的な航空団となる。このため、旧型と新型の「いずも」には大きな違いがある。旧型の「いずも」は、自らと他の艦艇を潜水艦から守ることしかできなかった。しかし新型の「いずも」は、自衛だけでなく、あらゆる敵軍を攻撃・撃破することができ、その打撃力は計り知れないほど強力だ。日本は発注分のF-35Bの支払いを終えているが、同戦闘機の納入はやや遅れている。海上自衛隊は同盟国から得た機会や協力を得て、「いずも」の戦闘態勢がこれ以上遅れることがないように、F-35Bの受領に向けて同艦の乗組員やパイロットへの訓練を可能な限り行っている。
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日本 海自護衛艦「いずも」が出港
2022年6月9日, 16:59 (更新: 2022年6月9日, 23:46) 日本の海上自衛隊の護衛艦「いずも(DDH-183)」が出港した。同艦は6月13日から10月28日まで各種演習に参加する予定で、一連の演習の中には米海軍が主催する世界最大の海軍訓練「環太平洋合同演習(RIMPAC・リムパック)」も含まれている。2022年6月1日現在、26カ国がリムパックに参加することが分かっている。
同艦は、この大規模演習の他に、米国、オーストラリア、韓国、インド、フィリピンと共同で「パシフィック・パートナーシップ 2022」、「パシフィック・ヴァンガード2022」、「JIMEX」、「カカドゥ2022」、「Sama Sama/Lumbas」の演習に参加する。
「いずも」は、戦闘機「
F-35B」の搭載にむけた改修工事の第一弾を終えて出航した。この改修では甲板に耐熱処理加工が施されたが、これは戦闘機のエンジン排気熱から甲板を守るためのもの。
また、弾薬庫や、飛行甲板での訓練、弾薬供給に関して改編が行われた。飛行甲板の燃料供給システム、エレベーターの設計、強い嵐で格納庫内の戦闘機が動くことがないように固定するためのユニットの設置などもおそらく行われた。
日本はまだF-35Bを保有しておらず、この工事は改修の第一段階となる。日本は2020年に同戦闘機を6機、21年に2機の代金を支払い、2022年には
4機の代金を支払う予定だ。「いずも」が武装するのに必要な戦闘機の数は全部で12機。同戦闘機は2024年度に6機、25年度に2機納入される予定。
「いずも」にはF-35Bの他に、同戦闘機の整備・修理に必要な機器も納入される。このプロセスは、改修の第二段階になるとみられている。
したがって「いずも」は現在、独自の航空団を持たず、他の艦艇からF-35Bの提供を受ける可能性がある。それが実質的に確認されたのは、2021年10月3日のことで、同艦で
米海兵隊の「F-35B」2機の発着艦が行われた。
以上のことから、「いずも」が演習に参加する目的は、艦隊間の相互運用性の訓練であると思われる。同艦は、他の艦艇の軍用機への給油や補給を担う補助空母としての役割を担うことになる。作戦においても、補助空母の存在は非常に重要だ。同艦は本隊より約1000キロメートル前方に位置し、あらかじめ定めたエリアでの航続距離を飛躍的に伸ばすことができるため、同盟国の主力空母部隊は敵機の射程圏外に配備することが可能となる。
これらの演習に参加するもう一つの目的は、おそらくF-35Bに乗り込む自衛隊のパイロットを訓練することだろう。一般的に、パイロットの再訓練プログラムは以下のような段階から構成されている。1段階目は、日本が保有するF-35Aで実施可能なF-35型の訓練。2段階目は、改修済みのSTOVL型(短距離離陸・垂直着陸型)のF-35Bで、陸上の飛行場や訓練場での垂直離着陸の訓練を行う。また、自衛隊のパイロットは2021年10月から
イタリアで改修済みの「F-35A」、「F-35B」での訓練を行っている。しかし、それでも、海上における本物のパイロットになることはできない。もう1段階、つまり3段階目の訓練が必要だ。海上での飛行、発着艦、特に荒波の中で行う訓練である。これには特別なスキルが必要とされる。
作戦上、軍用機を持たない自衛隊のパイロットは、代替要員として大きな価値がある。米国人パイロットがタスクを終えて休みをとる間、自衛隊のパイロットはその軍用機で発艦することが可能となるためだ。これにより、艦載機の使用強度を大幅に高めることができる。
また、海自がこれらの演習に参加することで、F-35Bを数機受領した時点で、空母部隊の戦闘態勢を達成することが可能となる。
護衛艦「いずも」がF-35Bを搭載した場合、哨戒ヘリコプター「SH-60J」のみを搭載していた頃と比べて打撃力が格段に向上する。このヘリは、敵の潜水艦を攻撃するための魚雷や爆雷を搭載した海自のヘリコプターで、最大11kmの射程を持つ「AGM-114ヘルファイア・ミサイル」を使用することも可能。しかし、ヘリは空用標的を攻撃することはできない。同艦の防空装備は、「ファランクス20 mm砲」3門と、射程距離が10キロメートルまでの対艦ミサイル防御装置「SeaRAM」2基と貧弱である。そのため「いずも」は、より強力な防空システムを保有する護衛艦「たかなみ(DD-110)」を伴っている。「たかなみ」は、防空システム「Mk41」32セルを装備し、その「Mk41」の一部には射程距離が50キロメートルの対空ミサイル「ESSM(RIM-162)」を収納している。
F-35Bは、それらの装備と比べると本格的な多目的機だ。空中戦、空用標的との交戦(巡航ミサイルなど)、地上・水上標的への攻撃が可能となる。また、同戦闘機には35種類のミサイルや爆弾が搭載されている。12機のF-35Bは、特定の水域での制空権を獲得、敵艦隊への攻撃、海岸への上陸を支援するなど、多くのミッションをこなす本格的な航空団となる。
このため、旧型と新型の「いずも」には大きな違いがある。旧型の「いずも」は、自らと他の艦艇を潜水艦から守ることしかできなかった。しかし新型の「いずも」は、自衛だけでなく、あらゆる敵軍を攻撃・撃破することができ、その打撃力は計り知れないほど強力だ。
日本は発注分のF-35Bの支払いを終えているが、同戦闘機の納入はやや遅れている。海上自衛隊は同盟国から得た機会や協力を得て、「いずも」の戦闘態勢がこれ以上遅れることがないように、F-35Bの受領に向けて同艦の乗組員やパイロットへの訓練を可能な限り行っている。