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特殊軍事作戦の義勇兵志願者はどんな訓練をしている? チェチェンのロシア特殊部隊大学に潜入取材
特殊軍事作戦の義勇兵志願者はどんな訓練をしている? チェチェンのロシア特殊部隊大学に潜入取材
Sputnik 日本
... 2022年7月20日, Sputnik 日本
2022-07-20T07:37+0900
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※本稿はロシア特殊部隊大学取材・前後編の前編です。後編(訓練体験記)はこちらをどうぞ。そもそも義勇兵とはプロの軍人ではなく、元々は一般人であるが、限られた期間、自分の意思でロシア国防省と契約を結び、軍事作戦に参加する人たちである。自分の身を守り、現地で必要な技術を身につけるため、ロシア中のあらゆるところから志願者が集まってくる。元職業軍人だったという人から、全く軍事には縁遠かった人まで、実に多様だ。滞在初日、まずは射撃訓練を見学した。インストラクターは一人一人に、構え方、狙う角度などを細かく指導する。筆者は10メートルほど離れたところにいたのだが、長距離射撃の後では、まずは身体が上下するほどの振動があり、火薬のにおいが漂ってから、ようやく「ブン!」という音がし、灰色の煙が立ち上った。中距離射撃では20人以上が横一列になり、構えて撃つまでのプロセス、撃ってからの流れを細かく確認していた。義勇兵の訓練を始めて1週間、という人に話を聞いた。全くの素人だったが、かなりの時間を銃の扱いに費やし、今では頭で考えるよりも先に身体が動くようになったという。それ以外にも、応急手当てや負傷した仲間の助け方などの講習がある。通常の訓練は1日6時間で、それを2週間続ける。その間に技術をうまく習得できなかった場合は、次の新人訓練者のコースに入ってやり直すこともできるし、自分が全く向いていないとわかった場合は、訓練そのものを辞めて帰宅することもできる。初日からたくさんの志願者と会話することができた。年齢層は、下は19歳から上は53歳までと幅広かった。ボルゴグラード出身のアルメニア人男性は、自分は民族的にはアルメニア人だが、ロシア人のメンタリティを理解していて、軍人として働いたこともないが、この状態を黙って見ていられないと義勇兵に応募した。インストラクターの一人は好ましい義勇兵の素質として「チーム精神が大事」と指摘するが、共通の目的で集まっているだけあって、年齢差が大きくてもチームワークに問題はないようだ。クラスノダール出身の53歳の男性は、すでにウクライナに行って戻ってきた19歳の男性のことを「彼のことを男として尊敬している」と話した。この若者は、帰還後2度目の訓練を受けている最中だ。義勇兵になった理由は「現在の状況を座って見ているのが耐えられない、自分も貢献しなくては」という人がほとんどだが、ヴォロネジ出身の23歳の青年は「ロシア人は誇り高く強い精神を持っていると証明したいから」と話した。この人もまた、2度目の訓練中だった。2か月間ウクライナで職務をこなし、上官の命令で戻ってきた。ここでトレーニングをしているのは、義勇兵志願者だけではない。プロの軍隊、主にはロシア国家親衛隊のチェチェン人部隊だ。ピストル射撃の訓練場に行ってみると、先程、義勇兵のインストラクターをやっていた人の姿があった。その人は、腕を鈍らせないため、午後は自分のトレーニングの時間にあてているのだという。15人同時に撃つので、見学していると鼓膜がすごいことになる。また、自動てき弾銃の訓練も見学した。投射機を使用して爆弾を遠くへ飛ばす。2人1組で携帯し、1分以内に組み立てて標的を狙う。まずは角度や気温など、あらゆる要素を考慮して正確に組み立てることを目標にし、それがクリアできたらスピードを追求する。訓練が終わってみると、特殊部隊という名とは裏腹に、とてもフレンドリーな人たちだ。「女性はスナイパーに向いているからどう?」と訓練のお誘いを受けた。もちろんプロとは別だが、冒頭で紹介したように、この大学では民間人も学べ、期間や内容をカスタマイズした「マイコース」も組めるというから、驚きである。筆者が宿泊するホテルは大学の敷地内にあるが、そこにはたくさんの民間人が宿泊していて、実に人気があることがわかる。関連ニュース
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特殊軍事作戦の義勇兵志願者はどんな訓練をしている? チェチェンのロシア特殊部隊大学に潜入取材
2022年7月20日, 07:37 (更新: 2022年7月22日, 19:48) 筆者は現在、チェチェン共和国グデルメスという町にある、ロシア特殊部隊大学という、一風変わった名前の場所にいる。ここはチェチェン共和国のラムザン・カディロフ首長のイニシアティブによって2013年に開校した特別訓練所で、ロシアや友好的な諸外国を対象に、プロの軍人から趣味の民間人まで、様々な分野であらゆるレベルの訓練を行ってきた。現在ここではウクライナにおける特殊軍事作戦に参加するため、いわゆる義勇兵と呼ばれる人たちが訓練をしている。その模様を現地からお伝えする。
※本稿はロシア特殊部隊大学取材・前後編の前編です。後編(訓練体験記)はこちらをどうぞ。 そもそも義勇兵とはプロの軍人ではなく、元々は一般人であるが、限られた期間、自分の意思でロシア国防省と契約を結び、軍事作戦に参加する人たちである。自分の身を守り、現地で必要な技術を身につけるため、ロシア中のあらゆるところから志願者が集まってくる。元職業軍人だったという人から、全く軍事には縁遠かった人まで、実に多様だ。
滞在初日、まずは射撃訓練を見学した。インストラクターは一人一人に、構え方、狙う角度などを細かく指導する。筆者は10メートルほど離れたところにいたのだが、長距離射撃の後では、まずは身体が上下するほどの振動があり、火薬のにおいが漂ってから、ようやく「ブン!」という音がし、灰色の煙が立ち上った。中距離射撃では20人以上が横一列になり、構えて撃つまでのプロセス、撃ってからの流れを細かく確認していた。
義勇兵の訓練を始めて1週間、という人に話を聞いた。全くの素人だったが、かなりの時間を銃の扱いに費やし、今では頭で考えるよりも先に身体が動くようになったという。それ以外にも、応急手当てや負傷した仲間の助け方などの講習がある。通常の訓練は1日6時間で、それを2週間続ける。その間に技術をうまく習得できなかった場合は、次の新人訓練者のコースに入ってやり直すこともできるし、自分が全く向いていないとわかった場合は、訓練そのものを辞めて帰宅することもできる。
初日からたくさんの志願者と会話することができた。年齢層は、下は19歳から上は53歳までと幅広かった。ボルゴグラード出身のアルメニア人男性は、自分は民族的にはアルメニア人だが、ロシア人のメンタリティを理解していて、軍人として働いたこともないが、この状態を黙って見ていられないと義勇兵に応募した。
インストラクターの一人は好ましい義勇兵の素質として「チーム精神が大事」と指摘するが、共通の目的で集まっているだけあって、年齢差が大きくてもチームワークに問題はないようだ。クラスノダール出身の53歳の男性は、すでにウクライナに行って戻ってきた19歳の男性のことを「彼のことを男として尊敬している」と話した。この若者は、帰還後2度目の訓練を受けている最中だ。
義勇兵になった理由は「現在の状況を座って見ているのが耐えられない、自分も貢献しなくては」という人がほとんどだが、ヴォロネジ出身の23歳の青年は「ロシア人は誇り高く強い精神を持っていると証明したいから」と話した。この人もまた、2度目の訓練中だった。2か月間ウクライナで職務をこなし、上官の命令で戻ってきた。
ここでトレーニングをしているのは、義勇兵志願者だけではない。プロの軍隊、主にはロシア国家親衛隊のチェチェン人部隊だ。ピストル射撃の訓練場に行ってみると、先程、義勇兵のインストラクターをやっていた人の姿があった。その人は、腕を鈍らせないため、午後は自分のトレーニングの時間にあてているのだという。15人同時に撃つので、見学していると鼓膜がすごいことになる。
また、自動てき弾銃の訓練も見学した。投射機を使用して爆弾を遠くへ飛ばす。2人1組で携帯し、1分以内に組み立てて標的を狙う。まずは角度や気温など、あらゆる要素を考慮して正確に組み立てることを目標にし、それがクリアできたらスピードを追求する。
訓練が終わってみると、特殊部隊という名とは裏腹に、とてもフレンドリーな人たちだ。「女性はスナイパーに向いているからどう?」と訓練のお誘いを受けた。もちろんプロとは別だが、冒頭で紹介したように、この大学では民間人も学べ、期間や内容をカスタマイズした「マイコース」も組めるというから、驚きである。筆者が宿泊するホテルは大学の敷地内にあるが、そこにはたくさんの民間人が宿泊していて、実に人気があることがわかる。