核兵器のない世界 世界で最も重要な会議でどんな議題が取り上げられるのか?

© AP Photo / Juan Carlos Llorca核兵器
核兵器 - Sputnik 日本, 1920, 01.08.2022
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核不拡散条約(NPT)再検討会議が、米ニューヨークの国連本部で1日から26日にかけて開催される。この会議は、猛威を振るう新型コロナウイルスのパンデミックにより開催を何度も延期されていた。
NPT締結国191カ国の代表団が約1カ月間、ニューヨークに赴く。代表団の任務は、条約の実施について議論し、理想としては、この重要な国際安全保障協定に対するすべての国のコミットメントを示す共同文書を、会議の終盤に採択することである。
NPTは1968年に調印された。この条約は、英国、中国、フランス、ロシア、米国の核兵器の保有を正当化するもので、これ以外の国は、この条約に署名することによって、核兵器を製造または保有する権利を失うことになる。イスラエル、インド、パキスタンはこの条約に加盟していない。2003年1月、北朝鮮はNPTから脱退した。

議論は緊迫した背景で

現在行われている再検討会議は、極めて緊迫した状況の中で行われている。米国とその同盟国は、ウクライナにロシア軍を投入することがNPTの重要な条項を脅かすものになっており、核戦争のリスクを高めるとみている。ロシアはこの非難を否定し、核不拡散体制の維持というただでさえ困難な課題を複雑なものにしないよう呼びかけている。
多くの代表団の意見が両極端に分かれていることから、この会議が成果文書の採択にこぎつけるか、それとも、お互いの不満を表明するにとどまるかどうかについては、まだ明確な答えは出ていない。特に注目されるは、ロシア、英国、中国、米国、フランスの「核保有国5カ国」の発言だ。

再検討会議のプログラム

この会議のプログラムには参加者が具体的に明記されておらず、全日程が「一般討論」と委員会内の作業に当てられている。米国からはアントニー・ブリンケン国務長官が、日本からは岸田文雄首相が参加する。日本の首相がこの会議に出席するのは初めて。多くの国は、自国の外務省や国際機関の代表が出席している。
岸田首相は時事通信に対し、ウクライナ情勢で核兵器使用の懸念が強まる中、会議で核兵器のない世界に向けた行動計画を発表する意向を明らかにした。
岸田首相は、ニューヨークへの出発前に「核兵器にない世界を目指すという国際的な機運が著しく低下している状況に危機感を感じている」と記者団に語った。
中国からは、外交部軍縮局の責任者が代表団を率いて出席する予定。中国外交部の趙力建報道官は、国際舞台で不安定さが増し、核兵器に関連した「深刻な矛盾」が起きていることに懸念を表明した。
ロシアの代表団は、この会議ではNPTの3本柱である核軍縮、核不拡散、原子力の平和利用に関わる問題が議論される予定だと語った。
「これらの分野における傾向、課題、脅威、そしてそれらを克服する方法について検討することになるだろう。我々は、この会議がNPTの目標と課題に対する締結国のコミットメントを確認することを期待している」

ロシアの特別作戦をめぐる相違

最も深刻な相違は、ロシアが2月24日に開始したウクライナでの軍事作戦をめぐって起こることが予想される。
米国をはじめとする西側諸国の代表は、ロシアの行動はNPTの精神と重要な条項に違反するとして、この会議で必ずこの話題を取り上げると事前に明らかにしている。
西側諸国は、ロシア当局がより厳しいレトリックを用いて核戦争のリスクを高めていると非難している。これらの国々は、2月24日にロシアのプーチン大統領がウクライナでのロシアの軍事作戦に介入する国々に向けて「歴史上直面したことのない結果を招く」と威嚇したことを引き合いに出している。
欧米では、これは核兵器を使うという直接的な脅しと受け取られた。
米政権で核不拡散を担当するアダム・シャインマン大統領特別代表は、今週の記者会見で、ロシアのレトリックは「挑発的」であり「NPTの精神に反する」と繰り返し指摘した。
シャインマン氏や他の西側諸国の高官の発言から、この会議でロシアはNPTの3本柱である核不拡散、軍縮、(ウクライナの原子力発電所を危険にさらすといった)原子平和利用に反する行動をとっていると非難されることが予想される。
その一方で同氏は、会議の見通しについて全体として楽観視していると強調した。
「米国はNPTを歴史上最も重要で、おそらく最も成功した国際核安全保証協定の1つとている。(中略)米国は前向きな成果を確立しようとする、あるいは前向きな結果を目指そうとするだろう。我々は、この条約の全締約国の間で一致した合意がなされることを望んでいる」

その他の議題

これよりも前、米ワシントンの在米ロシア大使館は、ロシア政府は、米国とその同盟国が、日和見的な目的よりもNPTの利益を優先する「十分な政治的意思と良識を持っている」ことを望んでいると発表した。
豪・英・米の軍事同盟(AUKUS)の発足は、NPT遵守の観点から疑問を投げかけるものとなっている。この3国間の協定により、オーストラリアは米英の技術を利用して少なくとも8隻の原子力潜水艦を建造する計画で、その第一弾が2036年にオーストラリア海軍に加わる予定。またこの協定には、豪軍に米国の巡航ミサイルを装備させる計画もある。その後、AUKUSの同盟国は、極超音速兵器の開発で協力する意向を表明した。
この会議では、イランの核開発に関する包括的共同行動計画をめぐる深刻な状況も議題になるとみられている。また、北朝鮮のミサイルや核開発計画についても言及があると予想されている。
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