米軍とNATOは壊滅的な敗北 NATOのアフガン撤退を専門家が斬る

© AFP 2023 / Wakil Kohsar米軍とNATOは壊滅的な敗北 NATOのアフガン撤退を専門家が斬る
米軍とNATOは壊滅的な敗北 NATOのアフガン撤退を専門家が斬る - Sputnik 日本, 1920, 01.09.2022
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2021年8月30日から31日にかけての深夜、米軍の最後の部隊がアフガニスタンから撤退し、20年にわたるNATO連合の駐留が終了した。この20年間に、テロの脅威、麻薬の生産と密売、汚職はどのように変化したのだろうか?米国とNATOの撤退後、アフガニスタンのテロ組織の活動はどうなっているのか、また、これらのテロ組織にはどの程度CIS出身者が含まれているのか。スプートニク・アフガニスタン語編集部は、政治・軍事アナリストで、アフガニスタン国家安全保障省の元顧問、在カブール露大使館の元一等書記官、アフガニスタンの国連ミッションで上級政治顧問を務めた経験のあるヴァシリー・クラフツォフ氏に取材した。
クラフツォフ氏は、「米国史上、最長でかつ最大の軍事費を費やした戦争は、米軍と偉大な『司令官』イェンス・ストルテンベルグが率いるNATO連合軍の徹底的で壊滅的な敗北に終わった」と語る。
「文盲で裸足のタリバンが史上最大の軍事同盟を破り、世界の主要な覇権国家と莫大な予算を駆使する、超インテリジェンスな軍隊に大恥をかかせた。
アフガンからの緊急撤退で、世界のリーダーとしての米国の地位に疑問を抱く同盟国 - Sputnik 日本, 1920, 30.08.2021
アフガンからの緊急撤退で、世界のリーダーとしての米国の地位に疑問を抱く同盟国
傀儡政治体制が根本から壊され、イデオロギー、経済、人道、社会、安全保障のそれぞれの分野で固定観念と誤解が一貫的かつ抜本的に壊され始めた。西側諸国は、このような歴史的な敗北を見せつけられた相手のタリバンを決して許しはしないだろう。
西側諸国は今、アフガン紛争について、あたかも戦争も占領もなかった、いずれの紛争当事者も何十万人もの死傷者は出さなかった、NATO占領軍との間で原則的で連続的な公然とした戦争はなかったかのようなふりをしている。タリバンが闇に紛れてカブールに侵入し、政府の主要機関やインフラを強引に占拠したにすぎないという。実際、政権交代は無血で行われ、武力行使すら一切起きていない。だが、欧米人の見方は、これは合法的かつ民主的な政府が謀略集団によって武力で転覆させられたいうことになっている。このため、現地政府は非包括的であり、政府内には「反逆者」はおらず、女性の権利は侵害され、女児は登校できないなどと言われている。
もし欧米がアフガニスタンの真の民主化を望んでいたのであれば、全力を尽くしてこれを擁護しただろうが、そうはならなかった。欧米はここでも自分らの傀儡と共に卑劣な態度に出たからだ
スプートニク:過去20年でアフガニスタンのテロの脅威、麻薬栽培、麻薬密売、汚職といった状況はどう変わったのでしょうか?
クラフツォフ氏:この20年の戦争の間にアフガニスタンには前代未聞、未曾有の規模のイスラム過激派テロが発生している。シリアもリビアも、この点ではアフガニスタンに及ばない。2001年、タリバンにあった指導者の組織はクエッタ・シューラ1つだけだったが、2021年にはシューラは6つに増えている。隅に追いやられていたアルカイダは完全に復活したばかりか、米国の占領が始まった時よりも人員数も大幅に増えている。ダーイシュ(IS、イスラム国)はさんざん苦労し、やっとのことでアピアランスの拡大を図れたが、それでも影響力やポテンシャルは上昇の一途をたどっている。現在、国内には20以上のテロ集団が存在し、地域や民族の原則に従って形成されている。しかし、アフガン情勢の展開に実質的な影響力を持つのはタリバン運動、イスラム国‐ホラーサーン(ISの加盟組織)、アルカイダという、昔から確立された3つだけだ。それ以外は、中東地域の各国の狭い範囲の専門家の興味しか惹かない。
アフガンの麻薬の生産と密売は、NATOの占領時期に40倍に増えた。これは国連が認めた数字だ。1989年、酷い干ばつの夏の後、1990年春からヘルマンド州でアヘンケシの大規模な栽培が始まったことは記憶に新しい。これは穀物の不作が拡大する中で飢饉を避けるために始められた。
ケシ - Sputnik 日本, 1920, 18.08.2021
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麻薬の生産量はその年の穀物の収穫量によって上下した。しかし、NATO連合がアフガンに入ると、占領軍自身があの手この手で地元民に麻薬栽培を奨励し、その密輸に積極的に加わるようになった。
汚職については、タリバン政権の1990年代は(中東諸国ではお決まりの)伝統的な汚職体制はアフガンでは事実上無くなっていた。ところが、NATOが到着するや横行。その規模と深度は、アフガニスタン人が最悪の悪夢でさえ想像だにできなかったほどだった。事実上、欧米が注入した腐敗は、政府の下から上まで、特に軍は小隊長から参謀本部や国防省に至るまで、国の管理システム全体に浸透していた。大規模な現象となったのはアフガニスタン軍によるタリバンへの弾薬、武器、装備の売却で、中でも極めつけは軍が占領した戦闘ポジションまで売却するという事態だった。
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スプートニク:1年前の米国とNATOのアフガニスタンからの逃亡はアフガンと地域の安全保障の状況にどう影響しましたか?
クラフツォフ氏:アフガン国内の主な安全基準は改善された。テロ事件、武力衝突、犯罪率、児童誘拐、盗難、暴力は(米軍とNATOの)占領時代に比べ、ほぼ統計誤差のレベルまで下がった。複合的なテロ攻撃や重火器の無差別的な使用や特務部隊の夜間の襲撃で何十人、何百人の民間人が死亡するという事態は一切無くなった。地域の安全情勢については、主には似たような状況だ。事件が発生しているのは特に国境地帯だが、地域の安全保障の全体的な基準にはほとんど影響しない。地域の巨大経済プロジェクトが実際的に進展しているところを見ると、外交政策、経済協力、相互貿易で(アフガン)政権が適切な行動をとれていることがわかる。
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