https://sputniknews.jp/20221013/13326053.html
ロシアの日産:敗者の戦略か 日本のビジネスの現在と未来の配当金か
ロシアの日産:敗者の戦略か 日本のビジネスの現在と未来の配当金か
Sputnik 日本
日産自動車は、ロシア日産自動車製造会社(ロシア日産)の全株式を、ロシア国営の自動車・エンジン中央科学研究所に譲渡する。なぜ日本の自動車大手の指導部が、このような「苦肉の策」を取ると決めたのか、「スプートニク」が経済専門家にお話を伺った。 2022年10月13日, Sputnik 日本
2022-10-13T19:03+0900
2022-10-13T19:03+0900
2022-10-13T19:16+0900
日産
オピニオン
経済
露日関係
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/07e6/0a/0d/13326181_0:174:3025:1875_1920x0_80_0_0_1b86c00c9728fa0ee1b83d4f138a53a4.jpg
これは絶望からなのか、あるいは、世界的な西側の大企業やブランドがロシアからの撤退によって、数十億の損失を出し、重要な販売市場を失っている今、最終的に、現在の地政学的状況から、「勝者として抜け出る」ためのものなのだろうか。雑誌「エクスペルト」の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、日産は実際、最適な選択をしたと指摘する。しかも双方にとって、この合意は歓迎すべきものであるという。というのも、今回のロシアとの契約における重要な条件の一つに、6年以内に日産が資産を買い戻すことができるというものが含まれているからだとコロリョワ氏は指摘する。というのも、自動車は、長期にわたって使用する製品であり、多くの家族が5年あるいは15年使用するために自動車を購入するものだからである。しかし、ウクライナ紛争が終結すれば、日本の企業は、撤退した地位を再び取り戻そうとするだろう。ただし、日産にとっての大きな問題は、具体的にどのような条件(変わってしまった現実の中で)でそれを成し遂げられるかということである。コロリョワ氏は、なぜなら、ウクライナ危機の間に、日本はロシアの非友好国のリストに含められているからだと指摘する。「ですから日本企業は、ロシアでのビジネスを再開するにあたり、困難に直面する可能性があります。これが、重要な経済部門の日本の企業が、静観の態度をとっている大きな理由の一つです。彼らは企業を維持しようとし、事実上、ロシア政府に譲歩しています。つまり、日本は(ウクライナにおけるロシアの特別作戦に反対であるという)いかなる声明を出そうと、ロシア政府に対し、かなり正しい、注意深い態度をとることを余儀なくされています。これは特に、サハリンのプロジェクトからのエネルギー資源の日本への供給をめぐる状況を見ていても明らかです。この事実から、日本政府は現在、米国や欧州諸国がやっているように、大きな政治的圧力をビジネスに反映させたりはしていません。日本企業は、ロシアに対する制裁の圧力をやや弱める可能性を持っています。少なくとも、少し中断させることができるでしょう。エネルギー分野において、日本政府は最大限にロシアとのパートナー関係を維持しようとしています。日本企業は、この状況を分析しており、日産も同様の路線で、撤退プロセスを少し減速しようとしているのです」。そうでなければ、日産は、ロシア市場からの撤退だけで、莫大な資金を失うことになる。今回のような形で株を国有にすれば、企業は事実上、ロシアの株式を凍結するだけなのだとコロリョワ氏は結論づけている。一方、自社の株を、似たような形で、一時的な使用のためにロシアの国家機関に譲渡したのは、日産が2社目である(1社目はルノー)。というのも、ルノーにとって、ロシア市場は、製造の規模においても、販売台数においても、(フランス市場に次いで)主要なものだからである。日産はルノーの密接なパートナーであることから(ルノー・日産・三菱アライアンス)、日産がルノーと同様の方法を用いることはロシアでも想定されることであった。日産は、工場以外に、モスクワに販売・マーケティング・センターを所有しているが、これも国営研究所に譲渡される。このように、企業は、活動能力、主なコンピテンシー、生産サイクル、そして雇用を維持することができるのである。しかしながら、コロリョワ氏は、(ウクライナ危機による情勢により)機能的な困難は残るだろうと指摘する。「何より、利益の持ち出しに制限が設けられます。これがどのように行われることになるのかはまだわかりませんが、この問題はおそらく解決されるものと思います。というのも、日産との問題は政府レベルで(デニス・マントゥロフ産業貿易相が直接参加して)解決されたからです」。しかしながら、依然、地政学的情勢は複雑なものであり続けており、日本企業はいずれにしても、一定の損失は避けられないだろう。何よりまず、パートナー国に対し、常にロシアへの制裁を強めるよう求める米国から日本への圧力によるものである。他方、日本は、抑制された「アジア式」のやり方で、最低限の損失で、この状況から抜け出そうとしている。ロシアにある日産の工場を維持することはまさに、ロシアから完全撤退した場合に日本と日本経済が被りうる損失を最低限にするための戦略の一部なのである。
https://sputniknews.jp/20221011/13302251.html
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
2022
タチヤナ フロニ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/163/20/1632034_147:0:2295:2147_100x100_80_0_0_ea6e927c9b90ffd7b42585392e2af064.jpg
タチヤナ フロニ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/163/20/1632034_147:0:2295:2147_100x100_80_0_0_ea6e927c9b90ffd7b42585392e2af064.jpg
ニュース
jp_JP
Sputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/07e6/0a/0d/13326181_146:0:2877:2048_1920x0_80_0_0_e69196c0f7944b3fc15a81080008f93b.jpgSputnik 日本
feedback.jp@sputniknews.com
+74956456601
MIA „Rossiya Segodnya“
タチヤナ フロニ
https://cdn1.img.sputniknews.jp/img/163/20/1632034_147:0:2295:2147_100x100_80_0_0_ea6e927c9b90ffd7b42585392e2af064.jpg
日産, オピニオン, 経済, 露日関係
ロシアの日産:敗者の戦略か 日本のビジネスの現在と未来の配当金か
2022年10月13日, 19:03 (更新: 2022年10月13日, 19:16) 日産自動車は、ロシア日産自動車製造会社(ロシア日産)の全株式を、ロシア国営の自動車・エンジン中央科学研究所に譲渡する。なぜ日本の自動車大手の指導部が、このような「苦肉の策」を取ると決めたのか、「スプートニク」が経済専門家にお話を伺った。
これは絶望からなのか、あるいは、世界的な西側の大企業やブランドがロシアからの撤退によって、数十億の損失を出し、重要な販売市場を失っている今、最終的に、現在の地政学的状況から、「勝者として抜け出る」ためのものなのだろうか。
雑誌「エクスペルト」の金融アナリスト、アンナ・コロリョワ氏は、日産は実際、最適な選択をしたと指摘する。しかも双方にとって、この合意は歓迎すべきものであるという。
というのも、今回のロシアとの契約における重要な条件の一つに、6年以内に日産が資産を買い戻すことができるというものが含まれているからだとコロリョワ氏は指摘する。
「日産の決定は、損失を最小限に抑える助けとなるものです。一方、ロシアとロシア経済にとって、これは重要な社会的意義があります。なぜなら、大手企業がロシア国内に残り、雇用を維持することができるからです。一方、別の方法をとっていれば、すべてが日産にとって不利なシナリオになる可能性もありました。それは、株が、もっとも不利な条件で、国有化される、あるいは新たな所有者に譲渡されるというものです。そうなれば、日本側は、急いでロシア市場から撤退した多くの企業のように、はるかに多くを失うことになったでしょう。失うのは企業だけでなく、積極的に他のアジア諸国に奪われつつある巨大な販売市場もです。中国もその一つです。しかも、経済の自動車部門は、もっとも競争が激しいものの一つです。ですから、日産がロシアに戻ってくるとすれば、ロシア市場において自らのシェアを占めるために、大きな努力が必要となります」。
というのも、自動車は、長期にわたって使用する製品であり、多くの家族が5年あるいは15年使用するために自動車を購入するものだからである。しかし、ウクライナ紛争が終結すれば、日本の企業は、撤退した地位を再び取り戻そうとするだろう。ただし、日産にとっての大きな問題は、具体的にどのような条件(変わってしまった現実の中で)でそれを成し遂げられるかということである。
コロリョワ氏は、なぜなら、ウクライナ危機の間に、日本はロシアの非友好国のリストに含められているからだと指摘する。
「ですから日本企業は、ロシアでのビジネスを再開するにあたり、困難に直面する可能性があります。これが、重要な経済部門の日本の企業が、静観の態度をとっている大きな理由の一つです。彼らは企業を維持しようとし、事実上、ロシア政府に譲歩しています。つまり、日本は(ウクライナにおけるロシアの特別作戦に反対であるという)いかなる声明を出そうと、ロシア政府に対し、かなり正しい、注意深い態度をとることを余儀なくされています。これは特に、サハリンのプロジェクトからのエネルギー資源の日本への供給をめぐる状況を見ていても明らかです。この事実から、日本政府は現在、米国や欧州諸国がやっているように、大きな政治的圧力をビジネスに反映させたりはしていません。日本企業は、ロシアに対する制裁の圧力をやや弱める可能性を持っています。少なくとも、少し中断させることができるでしょう。エネルギー分野において、日本政府は最大限にロシアとのパートナー関係を維持しようとしています。日本企業は、この状況を分析しており、日産も同様の路線で、撤退プロセスを少し減速しようとしているのです」。 そうでなければ、日産は、ロシア市場からの撤退だけで、莫大な資金を失うことになる。今回のような形で株を国有にすれば、企業は事実上、ロシアの株式を凍結するだけなのだとコロリョワ氏は結論づけている。一方、自社の株を、似たような形で、一時的な使用のためにロシアの国家機関に譲渡したのは、日産が2社目である(1社目はルノー)。というのも、ルノーにとって、ロシア市場は、製造の規模においても、販売台数においても、(フランス市場に次いで)主要なものだからである。日産はルノーの密接なパートナーであることから(ルノー・日産・三菱アライアンス)、日産がルノーと同様の方法を用いることはロシアでも想定されることであった。日産は、工場以外に、モスクワに販売・マーケティング・センターを所有しているが、これも国営研究所に譲渡される。このように、企業は、活動能力、主なコンピテンシー、生産サイクル、そして雇用を維持することができるのである。
しかしながら、コロリョワ氏は、(
ウクライナ危機による情勢により)機能的な困難は残るだろうと指摘する。
「何より、利益の持ち出しに制限が設けられます。これがどのように行われることになるのかはまだわかりませんが、この問題はおそらく解決されるものと思います。というのも、日産との問題は政府レベルで(デニス・マントゥロフ産業貿易相が直接参加して)解決されたからです」。
しかしながら、依然、地政学的情勢は複雑なものであり続けており、日本企業はいずれにしても、一定の損失は避けられないだろう。何よりまず、パートナー国に対し、常にロシアへの制裁を強めるよう求める米国から日本への圧力によるものである。他方、日本は、抑制された「アジア式」のやり方で、最低限の損失で、この状況から抜け出そうとしている。ロシアにある日産の工場を維持することはまさに、ロシアから完全撤退した場合に日本と日本経済が被りうる損失を最低限にするための戦略の一部なのである。