「岸田氏にとっては大きな教訓となるだろう」 突然のトラス氏の首相辞任を日本はどう受け止めたか

© AFP 2022 / Daniel Leal英国のリズ・トラス首相
英国のリズ・トラス首相 - Sputnik 日本, 1920, 21.10.2022
10月20日、英国のリズ・トラス首相は就任45日目にして、辞任を表明。彼女の首相就任期間は英国史上最短となった。来週には新党首選挙が行われるが、ボリス・ジョンソン前首相も再出馬するかもしれない。新首相の名前は10月31日までには明らかになるものと見られている。
トラス氏は辞任の声明をダウニング街10番地の玄関で行った。トラス氏は市場を崩壊し、2人の重要なポストの閣僚を失い、ほとんどすべての議員に政治的信用を失った。

なぜ起きた、トラス氏の辞任?

英国は、トラス政権が9月末に大規模な減税策を発表した後に政治危機に陥った。英国の株式市場、債券市場はこの減税策に非常に痛烈な反応を示し、ポンドはマーガレット・サッチャー政権以来の最安値に急落。イングランド銀行は介入を余儀なくされ、市場を支えるために650億ポンド(10兆9300億円超)近くを投じて国債を買い占めた。 その結果、トラス氏は自分の打ち出した減税策の事実上、ほぼ完全放棄を迫られ、クワシ・クワーテン財務大臣を解任した。
英国のリズ・トラス首相 - Sputnik 日本, 1920, 18.10.2022
混乱を呼んだトラス政権の税改革、ほぼすべて撤回へ 英財務相が発表
19日、英国では1週間で2人めの閣僚が内閣を去った。辞任したスエラ・ブライバーマン内務大臣は辞任の理由について、個人の電子メールアドレスから公的な文書を送信することで、安全保障上の規則に違反した反したことを挙げたが、その際「辞任の本当の理由は、トラス政権の経済路線に反対だからだ」という英国メディアの憶測が正しいことをほのめかしていた。

自分の懐は節約のトラス氏 笑いものになった訪日

2020年10月、当時外務大臣だったリズ・トラス氏はEU離脱後、英国にとっては初めてとなる日英貿易協定に署名するために訪日。その際、トラス氏は協定署名を両国とって「歴史的瞬間」と呼んだが、将来の英国首相の名を知らしめたのは政治的な功績ではなかった。
トラス氏の訪日後、英国国際貿易省は3日間の出張費を182.74ポンド(3万700円)と発表したが、2カ月後の情報公開でトラスと同僚3人が国庫から2080.44 ポンド(約35万円)を浪費したことが判明。日本では公費での豪華飲食も遠慮しなかったようだ。トラス氏はベトナムやシンガポールへの実務訪問の際にも、同様の実費隠しを行っていた。
ダウニング街 - Sputnik 日本, 1920, 21.10.2022
英国の次期首相 最有力候補はこの人
野党労働党の政策立案機関のエミリー・ソーンベリー司法長官はミラー紙からの取材に、トラス氏の行動パターンは紛れもなく人物性に大きな疑問を投げかけるものだとコメントしている。
「彼女の本能が真実を隠蔽し、この支出請求に誰も疑問を持たないでくれと望むようなものであるなら、他に何をこの人物から期待できるだろうか?」

トラス氏辞任に日本の反応?

岸田文雄首相は21日、トラス首相の辞任表明に際して、英国を「基本的な価値を共有するグローバルな戦略的パートナー」と呼び、英国の今後の動きについて注視していくと述べる一方、辞任については「英国の内政に関わる問題な」として具体的なコメントは控えた。
インターネットのユーザーらもトラス氏の辞任に無関心ではなかった。トラス氏辞職のニュースはYahoo News のコメント数ではトップを占めた。
日本総合研究所の石川智久上席主任研究員は次のようにコメントしている。
「トラス政権の崩壊は、大幅な減税策を提案したことでポンド安が進んだことに見られる通り、金融市場を混乱させたことが背景にあります。今世界では、株安、通貨市場の変動、インフレなど大きな混乱が起きています。こうしたことがあるときは、大規模な政治不安につながることがあります。金融市場や経済の激動が、政治まで波及するリスクに注意していく必要があります。経済面の問題は、経済だけにとどまるのではなく、政治にまで波及し、その結果、国全体が波乱に直面する事は歴史が示しています」
別の、匿名のユーザーはこう書いている。
「この人を選んだらこういう政策を実行するのは、首相になる前からある程度は分かっていたのでは‥。それで、いざ首相になって実行したら八方から批判を浴びる。短すぎる。イギリスにとってもイギリス国民にとっても相当無意味な期間で、事態を悪化させただけだと思うんだけど、次になる人も相当大変。 トラス首相が実行しようとしたトリクルダウンというものだけど、実際理論上はそうなるかも知れないが、現実的にそうなるかはまた別ということだよね。富裕層が慈善家のような人ばかりならまた違うが、格差社会を生むだけだと思うよ。人間のこういうところは世界共通だといえる」
トラス氏に全責任を負わせるべきではないという、別の匿名のコメントもある。
「トラス首相のインフレ時における減税を中心とした経済政策。 従来の財政理論を根本から覆す、言わば逆張りであり、成功すれば確実にノーベル経済賞に値する政策であったが、減税等政策を打ち出しただけで市場は、素直に反応しトリプル安となった。 トラス首相の責任は重いが、彼女は公約とおりに実行しようとした。 したがって、その公約を支持し投票した英国国民もその責任はあると言えます。 日本も他人事と考えるべきではありません」
法政大学大学院の白鳥浩 教授(現代政治分析)は日本政治への示唆を含むコメントを書いている。
「不支持が77%という状況の中で、四面楚歌に陥り、身内の保守党からすら辞任を求める声が上がる中で辞任を余儀なくさせられた。トラス氏の物価高に対する政策の失敗は、岸田氏にとっては大きな教訓となるだろう」
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