【ルポ】花見をテーマにしたフォトコンテストの表彰式、モスクワで開催 ロシア人の感性が光る入賞作品
2022年12月3日, 15:55 (更新: 2022年12月6日, 15:58)
© 写真 : Galina Eberling花見写真コンテスト
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© 写真 : Galina Eberling
サイン
11月26日、モスクワ市内の高層展望台PANORAMA360にて、花見をテーマにしたフォトコンテスト「HANAMI PHOTO AWARDS 2022」の表彰式が行われ、入賞作品を鑑賞しに多くの人が集まった。このコンテストは今春から「sorafest」の一環として行われたもの。ロシア全土の83市町村からプロ・アマチュア合わせて3500点以上の作品が集まり、日本を代表する5人の写真家と、ロシアの写真家が審査にあたった。また、11の植物庭園がプロジェクトを支援している。
日本人にとって花見といえば、桜や弁当、花見団子といった定番の光景が思い浮かぶが、このコンテストの醍醐味は、花や自然、それと共生する人の美しさ、微笑みといったものを、ロシア人の感性とシャッターで表現する点にある。それを評価するのが日本写真文化協会の会長を務めた堀恵介氏、白鳥の写真家として知られる内山アキラ氏、総理大臣付きの写真家だった有賀一彦氏など、個性的なフォトグラファーたちだ。
© 写真 : ByGreen.Org審査員セルゲイ・ボガイツェフ氏
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審査員セルゲイ・ボガイツェフ氏
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ロシア側で唯一審査員となったのが、写真のワールドカップ「WPC」の審査員を務めた写真家セルゲイ・ボガイツェフ氏だ。ボガイツェフ氏は、思いがけず多くの作品が集まり、審査は困難だったと振り返る。
「日本の花見という伝統は日本人のDNAの中に自然に存在するものですが、やはりロシア人はロシアンスタイルの花見を撮るわけで、それらは全く異なる二つの世界です。日本人審査員の皆さんは、それを受け入れ、ロシアの文化や伝統をふまえた上で偉大な仕事をしてくださいました。アマチュア部門の中の数点はプロ部門に出しても良いほどのレベルでした。それだからこそ、ワールドカップ「WPC」で採用されているような厳しくレベルの高い評価方法を採用しました。日本人審査員の皆さんとは以前から親しく、コロナの時もオンラインで連絡を取り合っていました。ですからオンラインで協力して選考作業を行うことは問題がありませんでした。彼らはプロフェッショナルというだけでなく世界に向けてオープンな方達です。この相互の協力関係は、継続し発展しており、今もいくつかのプロジェクトを準備中です。文化に国境はなく、あろうはずがありません。文化的価値を創造する人というのは、相互関係を大切にし、自分の作品や働くことの喜びをシェアできる人です。それは時として、他の全ての橋が破壊されたとき、最後に残る唯一の橋だと言えます」
© 写真 : ByGreen.OrgHANAMI PHOTO AWARDS 2022
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ビデオメッセージを送る有賀一彦氏
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HANAMI PHOTO AWARDS 2022
写真の展示以外にも、空手や居合道をはじめとした武道のデモンストレーション、日本舞踊、琴や三味線による伝統音楽の演奏など、ミニイベントが開催された。展望台からの景色はあいにくの曇り空だったが、コスプレーヤーや着物姿の女性たちが賑やかに行き交い、花で飾られた会場には春の陽気がたちこめていた。ボガイツェフ氏と、モスクワの人気フォトグラファーによる静物写真講座も開講された。
© 写真 : ByGreen.Orgリュドミラ・ミロノワさん(中央)
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リュドミラ・ミロノワさん(中央)
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非常に多くの作品が集まったにも関わらず、複数の部門で入賞した人がいた。そのうちのひとりが、リュドミラ・ミロノワさんだ。アマチュアのルポルタージュ部門で1位、静物写真部門で2位に輝いたミロノワさんは、リャザン市に住む年金生活者だ。カメラに触れたのはごく最近だというが、その作品は花への愛情で溢れている。
「年金生活になって時間ができたので、写真を始めました。それから静物写真にはまっています。とにかく花が大好きで、自分で花を育てて、花に囲まれた大きな家で生活しています。偶然コンテストのことを知って、応募することにしました。まさか二つの部門で賞を頂けるとは思いませんでした。日本は自然、花の美しさを高く評価する国だと思います。私たちロシア人もそうですが、日本人は特に、感じた美を、実に繊細に表現しています。そこは私たちが学ぶべき点です。私の写真が、日本の審査員の方から何かしらの好感を得たのかなと思うと誇らしく嬉しい気持ちです」
© 写真 : ByGreen.Org入賞作品の展覧会 ステパノフさんの作品は右から4番目
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入賞作品の展覧会 ステパノフさんの作品は右から4番目
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驚くべきことに、三つの部門で賞を獲得したのは、アレクサンドル・ステパノフさんだ。普段はプロカメラマンとして文房具などの商品を撮影しているが、何よりも好きなのは風景写真だという。
「母も僕も柔道をやっていたので、日本文化のことはとても身近に感じています。日本文化とは日本の美的感覚そのものであり、対象を理想に近づけようとする動きです。応募作品は純粋に自分のために撮ったもので、花や自然を楽しみ、その瞬間を記憶したいと考えました」
ステパノフさんはポートレート部門の2位を獲得した。そのモデルはモスクワ市内の公園で偶然会った女性だ。女性は、別のカメラマンと一緒に撮影に来ていたが、その人は、自分のカメラのレンズはあまりよくないと愚痴をこぼし、ステパノフさんが持っていたもっと高性能のレンズをうらやましがった。そこでステパノフさんは自分のレンズを貸してあげ、自分はそのカメラマンのレンズを使って写真を撮ることにした。そうして出来上がったのがこの入賞作品である。
ステパノフさんは「機器の性能などはもちろん大事ですが、やはり作品の多くの部分は、フォトグラファーによるもの。だからこそ、この仕事は、技術者ではなくて、芸術家と呼べるものです」と話す。
入賞作品一覧は公式サイトから閲覧できる。コンテストが好評を博したため、2023年度も開催する予定だ。
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