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【解説】ダボス会議開幕 2023年の議題は? 世界をディストピアに導く
【解説】ダボス会議開幕 2023年の議題は? 世界をディストピアに導く
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世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が16日、スイスのダボスで開幕した。世界の政財界のエリートや大富豪が集い、20日までの期間中に様々な課題が議論される。今年はどのようなテーマが議題にあがり、どのような意見が飛び出すのだろうか。スプートニクがお届けする。 2023年1月17日, Sputnik 日本
2023-01-17T06:15+0900
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今年もダボス会議には国際政治、金融、技術など様々な分野の第一人者が参加する。1971年に会議を設立したクラウス・シュワブ氏のほか、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領、99歳のヘンリー・キッシンジャー元米国務長官、クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行総裁、世界通貨基金(IMF)トップのクリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事、米大手銀行「JPモルガン・チェース」のジェームズ・ダイモンCEOらが出席。英俳優イドリス・エルバ氏やチェリストの馬友友(ヨーヨー・マ)氏ら文化・芸術界からの参加者もいる。ここに列挙したのはダボス会議に招待された人々のごく一部だ。会議では主に次のテーマが議題となるとみられる一方、今年は参加しない人もいる。昨年11月に破産申請した暗号資産取引所FTXの元CEOの米国人起業家、サム・バンクマンフリード氏もその1人だ。同氏は詐欺と資金洗浄の疑いで逮捕され、保釈中の身である。昨年、バンクマンフリード氏はダボス会議で登壇したが、今年は主催者側は同氏を会議の「パートナー」から削除している。また、今年はロシアの代表者も参加しない。ロシアの政治家・官僚やビジネスマンの参加が禁じられているからだ。主催者側は3月、ウクライナ情勢を背景に「ロシアの組織とのすべての関係」を凍結している。ダボス会議を受け入れない人々ダボス会議は世界の行く末を左右する人々が集い、国際社会が直面する課題を話し合うことのできる場として、一定層からは称賛の声があがる。一方、保守層、リベラル右派、反リベラル左派の中には会議に対する不信感やいら立ちを覚える人もいる。これにはいくつかの理由がある。まず、会議の参加者がプライベートジェットでダボスに向かい、5つ星ホテルに宿泊して豪華な食事を楽しむと、環境・資源保護や人類が直面するそのほかの差し迫った課題についての議論が重要性を失うからだ。ダボス会議に参加するための費用は28000ドル(360万円)ともいわれている。また、会議自体の「資金管理の不透明性」を批判する声もあがる。さらに、当たり前であるが全ての登壇者の予言が的中するとは限らず、ときには滑稽な状況に陥る。例えば、2016年の会議では世界の石油需要は2030年にピークを迎え、2070年までに1950年のレベルまで下がると予想された。だが、現状のエネルギー危機をみる限り、炭素燃料の需要ピークはまだまだ先になりそうだ。発展途上国は石油とガスの新たな生産計画を立て、西側諸国は石油や石炭の需要を増やしている。また、2019年の会議ではBCG Digital Ventures の創設者ジェフ・シューマッハ氏がビットコインはもうすぐ大暴落しその価値はゼロに近くなると言った。だが、当時1ビットコイン=3600ドルだったのが、その後の急騰で4万、5万、6万とどんどん上がり、現在でも2万ドル台で推移している。さらに、2020年、当時財務相だったドイツのオラフ・ショルツ首相は、米国と欧州連合(EU)の貿易協定は必ず達成されるだろうと述べた。3年経った今、欧州人はエネルギー価格について米国に騙されたと不平不満を言い、米国で製造された電気自動車などに多額の税制優遇措置を与える通称「インフレ抑制法」によって両者の間では深刻な貿易摩擦が起こりつつある。中国が世界の工業製品の約3割を生産していることから「世界のワークショップ」といわれているように、ダボス会議は「ディストピア(反理想郷)のアイデアの世界のワークショップ」と呼ぶことができる。ここ10年、特に新型コロナウイルスの世界的流行の際に盛んにいわれてきた、デジタル認証、拡張現実、皮膚に埋め込まれたスマートフォン、脳の移植、大衆の代用肉としてのカブトムシなどの言説は、作家ジョージ・オーウェルの『1984年』やオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』に登場するようなディストピアに世界を導いているかのようである。
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国際, オピニオン, 政治, 経済, 仮想通貨・暗号通貨, 環境, エネルギー危機, 貿易
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【解説】ダボス会議開幕 2023年の議題は? 世界をディストピアに導く
世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が16日、スイスのダボスで開幕した。世界の政財界のエリートや大富豪が集い、20日までの期間中に様々な課題が議論される。今年はどのようなテーマが議題にあがり、どのような意見が飛び出すのだろうか。スプートニクがお届けする。
今年もダボス会議には国際政治、金融、技術など様々な分野の第一人者が参加する。1971年に会議を設立したクラウス・シュワブ氏のほか、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領、99歳のヘンリー・キッシンジャー元米国務長官、クリスティーヌ・ラガルド欧州中央銀行総裁、世界通貨基金(IMF)トップのクリスタリナ・ゲオルギエワ専務理事、米大手銀行「JPモルガン・チェース」のジェームズ・ダイモンCEOらが出席。英俳優イドリス・エルバ氏やチェリストの馬友友(ヨーヨー・マ)氏ら文化・芸術界からの参加者もいる。ここに列挙したのはダボス会議に招待された人々のごく一部だ。
一方、今年は参加しない人もいる。昨年11月に破産申請した暗号資産取引所FTXの元CEOの米国人起業家、サム・バンクマンフリード氏もその1人だ。同氏は詐欺と資金洗浄の疑いで逮捕され、保釈中の身である。昨年、バンクマンフリード氏はダボス会議で登壇したが、今年は主催者側は同氏を会議の「パートナー」から削除している。
また、今年はロシアの代表者も参加しない。ロシアの政治家・官僚やビジネスマンの参加が禁じられているからだ。主催者側は3月、ウクライナ情勢を背景に「ロシアの組織とのすべての関係」を凍結している。
ダボス会議は世界の行く末を左右する人々が集い、国際社会が直面する課題を話し合うことのできる場として、一定層からは称賛の声があがる。一方、保守層、リベラル右派、反リベラル左派の中には会議に対する不信感やいら立ちを覚える人もいる。これにはいくつかの理由がある。
まず、会議の参加者がプライベートジェットでダボスに向かい、5つ星ホテルに宿泊して豪華な食事を楽しむと、環境・資源保護や人類が直面するそのほかの差し迫った課題についての議論が重要性を失うからだ。ダボス会議に参加するための費用は28000ドル(360万円)ともいわれている。
また、会議自体の「資金管理の不透明性」を批判する声もあがる。
さらに、当たり前であるが全ての登壇者の予言が的中するとは限らず、ときには滑稽な状況に陥る。例えば、2016年の会議では世界の石油需要は2030年にピークを迎え、2070年までに1950年のレベルまで下がると予想された。だが、現状のエネルギー危機をみる限り、炭素燃料の需要ピークはまだまだ先になりそうだ。発展途上国は石油とガスの新たな生産計画を立て、西側諸国は石油や石炭の需要を増やしている。
また、2019年の会議ではBCG Digital Ventures の創設者ジェフ・シューマッハ氏がビットコインはもうすぐ大暴落しその価値はゼロに近くなると言った。だが、当時1ビットコイン=3600ドルだったのが、その後の急騰で4万、5万、6万とどんどん上がり、現在でも2万ドル台で推移している。
さらに、2020年、当時財務相だったドイツのオラフ・ショルツ首相は、米国と欧州連合(EU)の貿易協定は必ず達成されるだろうと述べた。3年経った今、欧州人はエネルギー価格について米国に騙されたと不平不満を言い、米国で製造された電気自動車などに多額の税制優遇措置を与える通称「インフレ抑制法」によって両者の間では深刻な貿易摩擦が起こりつつある。
中国が世界の工業製品の約3割を生産していることから「世界のワークショップ」といわれているように、ダボス会議は「ディストピア(反理想郷)のアイデアの世界のワークショップ」と呼ぶことができる。ここ10年、特に新型コロナウイルスの世界的流行の際に盛んにいわれてきた、デジタル認証、拡張現実、皮膚に埋め込まれたスマートフォン、脳の移植、大衆の代用肉としてのカブトムシなどの言説は、作家ジョージ・オーウェルの『1984年』やオルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』に登場するようなディストピアに世界を導いているかのようである。