【視点】「教え諭す」米国、しかし、この教えに対する実際の対価とはどのようなものなのか?

© AFP 2023 / Vyacheslav Oseledkoロイター:米国はシリア駐留軍を大幅に増やす計画
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NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルク事務総長は、埼玉県にある航空自衛隊の入間基地を訪れ、ウクライナにおける特別軍事作戦でロシアが勝利すれば、「軍事力を行使して目標を達成できるという危険なメッセージになる」と述べた。しかし、NATOと米国は、ベトナム、ペルシャ湾岸、ユーゴスラビア、リビアなどで自らの目的を達成するために、絶えず軍事力を行使している。概して、その目的は一つ。それは、米国にとって都合の悪い政治体制の転換、そして自国の地政学的利益の追求である。
しかしその結果、(米国が介入している)それぞれの国において、紛争当事者らが平和を達成することはなく、まったく逆の効果―つまり状況の深刻化を生み出し、多くの犠牲者を出す戦争に行き着くことも少なくない。
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一方、朝鮮半島の核問題をめぐる協議(中、米、露、北朝鮮、韓国、日本による6カ国協議)について言えば、この交渉は朝鮮半島情勢を緩和する可能性が十分にあった。しかし、米国が北朝鮮に対し、強硬で非現実的な要求を提示したことにより、ここでも成果を達成することはできなかった。
中国・現代アジア研究所朝鮮研究センターの研究員、アレクサンドル・ジェビン氏は、第一に、米国は、北朝鮮の安全保障に関する法的な利益を考慮しようとしなかった、そして
第二に、米国は韓国自身が事実上まだ北朝鮮と平和共存していく用意ができていない点に目をつけた可能性があると指摘する。
「韓国の憲法では今も、韓国の領土は朝鮮半島全体だと規定されており、また、国家安全保障法で、北朝鮮は憲法に反する組織だとされています。つまり韓国は、北朝鮮を違法な存在とし、北朝鮮の市民は韓国市民だとみなしているのです。両国ともに国連に加盟し、この組織の同等なメンバーであるにもかかわらずです」。
韓国領内に置かれた米軍基地も、朝鮮半島における危機打開に向けた平和交渉が成功を阻害するものである。
ジェビン氏は、北朝鮮が核開発を継続している(そして日本や韓国に脅威を与えている)ことに対する責任は米国自身にあると指摘している。
「1990年代、2000年代、米国はユーゴスラビア、イラク、リビアで、自分たちに都合の悪い体制を変えてきました。ちなみに、リビアは、実際には軍事的な性格のものではなかった自国の核プログラムを放棄しました。しかしなお、リビアも壊滅状態となりました。イラクも同じような運命をたどりました。当然、このような出来事を受けて、北朝鮮政府は正当な結論を導き出したのです。つまり、米国にとって都合が悪ければ、国際法も国連安保理も国を守ってくれることはないと。よく知られているように、2002年、当時のジョージ・ブッシュ大統領は、米国自身が作り出したいわゆる「悪の枢軸国」が世界に存在すると公言し、テロリズムやテロリストの手に渡りかねない大量破壊兵器の開発に資金援助している(と米国が考える)国々を名指ししました。この米国の理論の最初の犠牲者となったのがイラクです。イラク戦争で国が壊滅状態となった中、多くの国が、『米国の民主主義輸出』の次の標的となるのはどの国だろうと考えました。そして多くが北朝鮮だろうと考えたのです」。
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ジェビン氏は続けて、事態がこのような展開になると予想していたのは北朝鮮だけではなく、韓国もまた懸念を抱いていたと語っている。
「当時の盧武鉉大統領は、(朝鮮半島が再び戦地となるのを避けるための)対価として、米国を支援するためにイラクに部隊を派遣することにも同意しました。韓国軍は戦闘自体には参加せず、主な活動は平和維持ではありましたが。しかしそれでも盧武鉉大統領は、韓国の他のリベラルな大統領と同様、南北朝鮮問題を、当時はまだ可能であった北朝鮮との協議や協力によって解決することを目指していました。しかし、韓国で米国の指導者よりの保守派が政権に就くと、北朝鮮との協議は強い立場で進めるべきだと考えるようになりました。そして、北朝鮮に対し、絶対に同意することのないような条件が提示されるようになったのです」。
その結果、現在、朝鮮半島では軍拡競争が起き、緊張は高まる一方で、情勢緩和に向けた展望はますます遠のいているとジェビン氏は結論づけている。こうした動きにアジア地域全体が苦しんでいる。そして軍拡競争が高まるなかで、急速に軍事化しているのである。
オースティン米国防長官は、韓国を防衛するために、核兵器や通常兵器を使用する用意があると明言している。米国は平和に向け、そのような手段をより好んでいるようだ。というのも、米国はまさにそのようなやり方(広島、長崎への原爆投下)で、第二次世界大戦の終止符を打ったのである。多くの軍事専門家によれば、日本はすでに降伏する用意があったことから、この原爆による恐ろしい犠牲は回避することができたはずだとしている。しかし、21世紀に入っても、米国はなお、国際紛争の解決を外交手段ではなく、武力に頼ろうとしているように思われる。
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