【ルポ】モスクワでうさぎと猫に会いに行く! 東洋美術館の今年の干支がテーマの展覧会が大人気

© Sputnik / ウリヤナ ロバノワ東洋美術館の今年の干支がテーマの展覧会
東洋美術館の今年の干支がテーマの展覧会 - Sputnik 日本, 1920, 09.02.2023
サイン
2月3日、モスクワの中心の国立東洋美術館で、月暦の旧正月の象徴である猫とうさぎを取り上げた展覧会が始まった。展示されているのは日本、中国、ベトナム、タイ、カンボジアから集められた美術品で、初日から、アジアに熱い興味を抱くの人々の注目を集めた。取材に訪れたスプートニクの記者は、時代によらず国と国の間の文化交流は重要だという事実を再確認した。

今年干支は何を象徴

極東には干支が作られるよりもずっと前からうさぎという象徴は存在していた。月の暗い斑点に、杵を持つうさぎのシルエットを読み取った民族がいたのもその一例で、その一方で中国暦を用いる地域であっても干支の4年目のうさぎ年の代わりに猫年を祝うところもある。

モスクワの展覧会

モスクワの東洋美術館の展覧会には開催初日から大勢の来館者、取材を記者たちがつめかけた。アジア太平洋地域の研究者らは専門的に展示物を吟味し、親に連れられて来ていた子どもたちは、大好きなウサギや猫のかわいい置物、おもちゃ、絵にはしゃいでいた。展示会には著名な日本人、外国人、旧正月の干支を見に来た中国人観光客の一団も加わって、込み合っていた。
展示されたのは16世紀から21世紀にかけて作られた60点以上の作品でいずれも東洋美術館の所蔵品。歌川国芳や20世紀の中国の洋画家、徐悲鴻(じょひこう)の絵、ロシアの民衆版画「ルボーク」、陶磁器、木や骨、石や金属を材料にした美術品など、さまざまなジャンルの作品が並べられた。
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展覧会会場

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展覧会は誰のためか

この展覧会の構想は昨年末に生まれた。短い準備期間にもかかわらず、その実現した展覧会を見ると組織側の仕事に対する愛情が感じられる。ロシアには、アジア各国の文化や伝統に関心を示し、愛する人が本当に多い。それゆえ、東洋美術館の企画の展覧会はそういった人々の心をとらえ、諸国の複雑な関係は脇に置いて、政治的矛盾に文化遺産の交流が左右されてはならないことを示した。

日本への愛

スプートニクの記者は、日本の展示コーナーを詳しく見てまわり、展示物にまつわるエピソードを紹介した。日本のうさぎ像とは、展覧会のキュレーターを務めるオリガ・チェルノワさんが展示物を紹介しながら語ってくれた月に住むうさぎの伝説だ。
「うさぎは、日本美術の中で最も好まれるテーマで、月にいると信じられている月うさぎをかたどった縁起物や形象が多くあります。中国で描かれる伝統的なうさぎ像は茶色の木の下で不老不死の薬のための材料を砕いていますが、日本で継承されているうさぎは臼で餅をついています。今回の展示にはこの餅つきのうさぎ像は2つあります」
チェルノワさんは月のうさぎの伝説を続けて、月をずっと見ていると、ウサギが餅をつく姿が見えると信じられていたと語った。うさぎの姿を見ることができれば、幸せ、繁栄、長寿に恵まれるとされていた。
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日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」

日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」 - Sputnik 日本
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日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」

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日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」

日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」 - Sputnik 日本
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日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」

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日本の伝統的な月に住むうさぎを模したおもちゃ「餅うさぎ」

チェルノワさんが見せてくれたおもちゃは、1980年代に美術館の職員が日本から持ち帰ったもので、後日、職員が美術館に寄贈したため、来館者も見ることができる。
また、19世紀に金沢で作られた九谷焼のウサギの置物も貴重な展示品だ。こうした置物はかつて貴重な贈り物とされていた。
© Sputnik / ウリヤナ ロバノワ九谷焼のウサギの置物
Музей Востока выставка - Sputnik 日本, 1920, 08.02.2023
九谷焼のウサギの置物
猫のコーナーでは、歌川国芳の作品が目を惹いた。これは、東海道五十三次の岡部宿を題材にしたの三連作「猫石の由来」のうちの2枚で、猫が化け猫に変身する様子が描かれている。江戸時代は魚油を使った灯りが家々を照らしていた。その油を舐めにきた化け猫が壁に怪しげな影を落とながら、恐ろしい生き物に変身している。歌川の絵はその変身の過程を描いている。
© Sputnik / ウリヤナ ロバノワ歌川国芳の作品
Музей Востока выставка Утагава Куниёси - Sputnik 日本, 1920, 08.02.2023
歌川国芳の作品
チェルノワさんは、展示作品の数は少ないものの、主催者にとっては1つ1つが金と同じ価値を持つ珠玉の作品であること、また、東洋博物館が今後、日本に関する展覧会をもっと開催できるように願っていると話してくれた。
この願いを、2020年に旭日小綬章を受章した同美術館のタチアナ・メタクサ館長顧問も同じく抱いている。スプートニクの記者はメタクサ氏に取材した。
メタクサさんは日露の文化交流の展望について、「現在の両国の政治状況は厳しいですが、それでも私たちは日本とその文化を変わらず高く評価し、研究し続けている」と語っている。
© Sputnik / ウリヤナ ロバノワ国立東洋美術館のタチアナ・メタクサ館長顧問
Музей Востока выставка Метакса Татьяна Христофоровна - Sputnik 日本, 1920, 08.02.2023
国立東洋美術館のタチアナ・メタクサ館長顧問

東洋美術館の所蔵する稀有な日本

東洋美術館の日本に関連する展示品は今回の特別展覧会の他にも常設展示の日本文化に特化したホールで見ることができる。
東洋美術館は葛飾北斎の版画など、世界的な文化遺産に相当する貴重なコレクションを所蔵している。
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葛飾北斎の版画

葛飾北斎の版画 - Sputnik 日本
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葛飾北斎の版画

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葛飾北斎の版画

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葛飾北斎の版画

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葛飾北斎の版画

また、1896年に日本の明治天皇がロシアの最後の皇帝ニコライ2世に対して戴冠式の祝いとして贈った巨大な象牙の「鷲の彫刻」や絹糸で刺繍された屏風も展示されている。戴冠式の贈り物に鷲が選ばれたのは決して偶然ではない。鷲はロシア帝国の紋章であり、日本でも伝統的に権力や権威を表す象徴だったからだ。
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「鷲の彫刻」

「鷲の彫刻」 - Sputnik 日本
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「鷲の彫刻」

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「鷲の彫刻」

「鷲の彫刻」 - Sputnik 日本
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「鷲の彫刻」

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「鷲の彫刻」

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「鷲の彫刻」

この鷲は1964年、日本でソ連の国立博物館のコレクションから戦後初の展覧会が開催された際に里帰りしたこともある。東洋美術館の話によると、このような鷲は世界に2つあり、1つは東洋博物館が所蔵しており、もう1つはサザビーズのオークションで落札されている。
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