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【視点】「元徴用工問題」 歴史的な妥協点が見出されたのか
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... 2023年3月9日, Sputnik 日本
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なぜ、今、韓国政府が突然、日本政府に対し「妥協案」を提示したのか、また韓国は本当にその支払いを、いわば「自分のポケットから」行う用意があるのか、「スプートニク」が専門家に取材した。まだ今から数年前、韓国政府は日本に対し、労働を強いられた韓国人に対する賠償支払いを強く主張していた。両国関係の慢性的危機の原因は見解の相違ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮モンゴル研究センターのアレクサンドル・ボロンツォフ所長は、この問題は、戦後の日韓関係の急激な悪化を招いたものであると指摘する。その結果、韓国ビジネスに初めて深刻な制限が設けられた。打撃を受けた経済そこで韓国大法院(最高裁)は、日本製鉄や住友金属鉱山などに、第二次世界大戦時の強制労働に対し、賠償金の支払いを命じた。しかし、日本政府はこれは正当なものではないとしてこの請求を却け、その後韓国側は、日本企業の資金売却案を提起した。これを受け、日本の経産省は韓国に対して輸出制限を設け、輸出管理で優遇する「ホワイト国」から韓国を除外すると通告した。さらに、この決定は韓国経済を牽引するIТ企業に対する半導体というきわめて重要な製品をも対象にしたものであった。このように、日本と韓国の対立はかなり長期化していた。近年、日韓関係はかなり「冷え込み」、大規模な貿易戦争にまで発展しかねない勢いであった。個人的要素日本が、賠償支払いについては、今後一切交渉を行う意向はないとの尊大な態度を示したこともあり、日韓関係の正常化はなかなか行われずにここまできた。しかし、ボロンツォフ氏は、新たな大統領はまさにそこに大きな関心を持っていると指摘し、次のように述べている。今回、韓国が提案した計画では、韓国政府傘下の財団が内務省内に設立され、資金は韓国の企業などの寄付金で賄うとされている。つまり、この寄付金は日本企業ではなく、韓国企業から募られることになるのである。いずれにせよ、資金は日本からのものこれに関して、アレクサンドル・ボロンツォフ氏は、ここには非常に重要なポイントがあるとし、それは、韓国企業がこれまでに、1965年の協定に基づいてかなりの恩恵を受けてきたことを指摘している。とはいえ、今回の政府の計画が問題解決に向けて、うまく実現するかどうかはまだ確実ではない。善良な考え方も成功を保証するものではないボロンツォフ氏は、韓国社会がこれをどのように受け止めるかについてはまだ分からないと指摘する。今回の計画は公開討論会で発表され、韓国外務省は原告や遺族らに対する説明会を行ったが、原告や遺族らはすでに、支払いは裁判所の決定に従い日本企業が行うべきものだとして、韓国政府からの支払いに反対している。米国の関心しかしながら、ボロンツォフ氏は、それでも和解案は実現する可能性が高いと述べている。そして主にそれは日本と韓国の二国関係にある「つまづきの石」が原因なのである。しかしそうした中、韓国では尹錫悦新大統領の誕生とともに、保守派が政権に就いたとボロンツォフ氏は指摘する。一方、ボロンツォフ氏は、この日韓の和解に向けた「米国の路線」には、日本より韓国の方が、より大きな熱意や積極性を見せていると指摘している。合意は一つ失敗に終わったしかし、韓国の新大統領の計画は実際に成功し、日韓関係をリセットすることはできるのだろうか。この疑問にはまだ回答は出ていない。いずれにせよ、文在寅前大統領時代には、「慰安婦」問題をめぐる両国の動きは急激に悪化した。韓国政府は2019年、戦時、従軍慰安婦として従事した韓国人に援助を行う日本の和解・癒やし財団を突如、解散させた。これにより、2015年に日本との間で結ばれた慰安婦問題日韓合意も打撃を受けることとなった。韓国と日本の接近は米国の「アキレス腱」である。つまり、日本と韓国の同盟関係において、米国を妨害し、苛つかせる「弱点」なのである。しかし、解決に向けた相互の努力が引き続き行われていくだろうことは疑いようのないことである。
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【視点】「元徴用工問題」 歴史的な妥協点が見出されたのか
2023年3月9日, 19:10 (更新: 2023年3月10日, 21:16) 韓国は第二次世界大戦時に日本が強制的に労働を強いた韓国の犠牲者への賠償支払いに関する解決策を提示した。この解決策は、日本の企業の賠償支払いを、韓国政府傘下の財団が肩代わりするという内容である点が注目されている。この問題が長年にわたって、両国の歴史における大きな「つまずきの石」となっていたことを考えれば、一見、これは日本にとっての成功であり、韓国側がかなり柔軟な姿勢を見せたかのように感じられる。
なぜ、今、韓国政府が突然、日本政府に対し「妥協案」を提示したのか、また韓国は本当にその支払いを、いわば「自分のポケットから」行う用意があるのか、「スプートニク」が専門家に取材した。まだ今から数年前、韓国政府は日本に対し、労働を強いられた韓国人に対する賠償支払いを強く主張していた。
ロシア科学アカデミー東洋学研究所朝鮮モンゴル研究センターのアレクサンドル・ボロンツォフ所長は、この問題は、戦後の日韓関係の急激な悪化を招いたものであると指摘する。
「日本は1965年に結ばれた日韓請求権・経済協力協定を引き合いに、この賠償支払いを断固、拒否していました。この協定は、徴用工の請求権問題は、日本からの無償資金協力によって決着済みとするというものです。このとき、日本は韓国に大規模な資金を供与しています。韓国は日本に対して今後一切の請求を行わないものとして、そこには、韓国の発展に向けた融資も含まれていました。
しかしそれでも、韓国は日本に対し、その後また支払いの請求を行ったのです。日本政府は、すでに行った謝罪をまた繰り返したり、「歴史的な支払い」を再び行う必要はないとの立場を示しました。また両国の間には、まだ『慰安婦問題』に対する日本からの謝罪という大きな問題があります。そこで、韓国が徴用工問題での支払いを求めてきたのに対し、日本は断固これを拒否したのです。それが韓国との急激な関係悪化につながり、経済関係にも大きな影響を及ぼしました」。
その結果、韓国ビジネスに初めて深刻な制限が設けられた。
そこで韓国大法院(最高裁)は、日本製鉄や住友金属鉱山などに、第二次世界大戦時の強制労働に対し、賠償金の支払いを命じた。しかし、日本政府はこれは正当なものではないとしてこの請求を却け、その後韓国側は、日本企業の資金売却案を提起した。これを受け、日本の経産省は韓国に対して輸出制限を設け、輸出管理で優遇する「ホワイト国」から韓国を除外すると通告した。さらに、この決定は韓国経済を牽引するIТ企業に対する半導体というきわめて重要な製品をも対象にしたものであった。このように、日本と韓国の対立はかなり長期化していた。
近年、日韓関係はかなり「冷え込み」、大規模な貿易戦争にまで発展しかねない勢いであった。
日本が、賠償支払いについては、今後一切交渉を行う意向はないとの尊大な態度を示したこともあり、日韓関係の正常化はなかなか行われずにここまできた。しかし、ボロンツォフ氏は、新たな大統領はまさにそこに大きな関心を持っていると指摘し、次のように述べている。
「現在の日韓関係に大きな役割を果たしていることの一つに、尹錫悦大統領の個人的な要素があります。彼の一家は、いわゆる親日家で、多くの家族が日本に留学したり、日本と何らかの関係を持っています。しかしもちろん、もっとも大きな刺激となったのは、できるだけ早期に日本との隣国関係を改善しなければならないという国の指導者としての立場でしょう。
そこで、大統領は積極性を見せました。この問題を最優先事項として、自ら管理し、日本に対し、妥協案を提示しました。つまり、今、韓国は、両国の複雑な歴史的紛争に『目を瞑ろう』としているのです」。
今回、韓国が提案した計画では、韓国政府傘下の財団が内務省内に設立され、資金は韓国の企業などの寄付金で賄うとされている。つまり、この寄付金は日本企業ではなく、韓国企業から募られることになるのである。
これに関して、アレクサンドル・ボロンツォフ氏は、ここには非常に重要なポイントがあるとし、それは、韓国企業がこれまでに、1965年の協定に基づいてかなりの恩恵を受けてきたことを指摘している。
「これらの企業は1965年に日本から多額の経済援助を受け取りました。ですから、今回の賠償支払い計画にこれらの企業が参加するのは、そのときの日本の資金を再分配するものと言えるでしょう。そのお金は、日本が韓国に対する賠償として支払ったのですから、それらの企業はそれを寄付に回すことは十分に可能です。
つまり、事実上、賠償金は韓国経済に対する日本の投資から出ているわけですから、日本もこの計画に関与しているということですたとえば鉄鋼企業のポスコは日本の技術を用いて作られた会社で、その企業の成長には、当時、日本が供与した資金が使われました。そしてこのポスコは現在、大手企業となり、その生産量では、世界でも上位に入っています」。
とはいえ、今回の政府の計画が問題解決に向けて、うまく実現するかどうかはまだ確実ではない。
ボロンツォフ氏は、韓国社会がこれをどのように受け止めるかについてはまだ分からないと指摘する。
「日本との突然の和解はあまりにも急激すぎると感じる人もいるでしょう。またこれに反対する人々の抗議が起こる可能性もあり、計画が別のネガティブな方向に進んでいく可能性もあります」。
今回の計画は公開討論会で発表され、韓国外務省は原告や遺族らに対する説明会を行ったが、原告や遺族らはすでに、支払いは裁判所の決定に従い日本企業が行うべきものだとして、韓国政府からの支払いに反対している。
しかしながら、ボロンツォフ氏は、それでも和解案は実現する可能性が高いと述べている。
「今回の和解案は、国際情勢が急速に激化しているのを背景に可能となったものです。この情勢悪化は、米国にとって、中国やロシアなどの主な競争相手との対立の場所になっている北東アジアにも関係しています。米国は中国「包囲」路線をとり、中国の成長にとって良好と言えない条件を作り出そうとしています。地域では、新たな軍事政治ブロックが活発な動きを見せ、米国主導によってそれらのブロックの発展が強化されています。まさにこの路線において、米日韓の3国による軍事協力というものは米国にとって優先課題の一つです。この3カ国の関係は、かなり以前に創られたものですが、軍事面で安定した強固なものにはなっていないのです」。
そして主にそれは日本と韓国の二国関係にある「つまづきの石」が原因なのである。しかしそうした中、韓国では尹錫悦新大統領の誕生とともに、保守派が政権に就いたとボロンツォフ氏は指摘する。
「この保守勢力は北朝鮮に対してきわめて厳しいアプローチをとることを主張しており、そのためには、米国との同盟関係を強化し、日本との関係を改善する必要があるのです。この目的のために、3カ国での合同軍事演習がすでに実施されています。韓国と日本は米国にとってますます重要なパートナー国となっています。それが、3カ国が、地域においてより効果的な同盟になるために、日本との関係改善に向けた刺激となっています。」
一方、ボロンツォフ氏は、この日韓の和解に向けた「米国の路線」には、日本より韓国の方が、より大きな熱意や積極性を見せていると指摘している。
しかし、韓国の新大統領の計画は実際に成功し、日韓関係をリセットすることはできるのだろうか。
この疑問にはまだ回答は出ていない。いずれにせよ、文在寅前大統領時代には、「慰安婦」問題をめぐる両国の動きは急激に悪化した。
韓国政府は2019年、戦時、従軍慰安婦として従事した韓国人に援助を行う日本の和解・癒やし財団を突如、解散させた。これにより、2015年に日本との間で結ばれた慰安婦問題日韓合意も打撃を受けることとなった。
韓国と日本の接近は米国の「アキレス腱」である。つまり、日本と韓国の同盟関係において、米国を妨害し、苛つかせる「弱点」なのである。しかし、解決に向けた相互の努力が引き続き行われていくだろうことは疑いようのないことである。