露産石油の上限価格引き下げ議論はただのアピール=専門家

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石油掘削機 - Sputnik 日本, 1920, 18.03.2023
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日本を含む西側諸国が設定しているロシア産石油の上限価格の引き下げに関する議論は、ただのPRに過ぎず経済的な意味はない。こうした考えをエネルギー経済研究センター「アンセリム」のマクシム・カニシェフ氏が示している。
G7、EU、豪州は昨年12月5日、海上輸送される露産石油に1バレル=60ドルの上限価格を設定する制裁を発動した。上限を超える額の石油の輸送やそれに対する保険適用が禁止された。これに対し、ロシアは2月1日、契約書に直接的、間接的に上限価格の措置を示している場合、石油の輸出を禁止する対抗措置を発動した。
これまでに米財務省は、主要7カ国(G7)諸国が3月中に、現行1バレル=60ドルとなっている露産石油への上限価格の見直しを検討すると発表していた。欧米メディアの報道によると、G7と同様の制裁を課している欧州連合(EU)では、ポーランドやリトアニアが上限を51.45ドルまで引き下げるよう要求している。一方で米国を含むG7は上限価格を据え置きとする公算となっている。
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カニシェフ氏はこうした西側諸国、特にEU加盟国間での上限価格に関する意見の相違は、EUのまとまりのなさと経済問題における無能力をデモンストレーションしているとみる。そもそも上限価格はロシアへの制裁とともに世界市場でのエネルギー価格を抑えるという建前で発案されたもので、市場価格の95パーセント以下になるはずだった。だが、現行では事実上市場価格より高く設定されており、「上限を修正したり、議論や新たな協定を用意したりというのに経済的意味はなく、時間と労力の無駄だ」と指摘する。

「多くの国が経済的な根拠や現実から目を背けてから久しい。だから、上限価格の引き下げの議論も、自らを忘れられないようにするためのPRにすぎないと言えるだろう」

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