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【ルポ】ロシアの学生と若手研究者は日本の何に興味を持っているのか?日本と協力できる分野を模索する若者たち
【ルポ】ロシアの学生と若手研究者は日本の何に興味を持っているのか?日本と協力できる分野を模索する若者たち
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... 2023年5月5日, Sputnik 日本
2023-05-05T07:03+0900
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高等経済学院3年生のエカテリーナ・クシリャンスカヤさんは、日本人と日本社会に興味があり、人口問題を研究し始めた。「日本に行ったときに一番気に入ったのは人との交流でした。それだからこそ、高齢社会、労働力不足といった問題をどう解決するか、安定した社会構造の構築のために何ができるか考えています。2000年代初頭の日本の少子化対策というのは少しだけ効果がありました。今、少子化の影響がより深刻になっている韓国や中国に比べたら、日本は状況をコントロールしていた、というのが今日の発表の結論です」アベノミクスについての研究を行っている2年生のアルセーニー・ススロフさんは、もともとは日本の建築や仏教文化に魅力を感じ日本を専攻に選んだ。「最近は日本の政治と経済の結びつきに関心があります。アベノミクスについてたくさんの議論がなされていることは知っています。そういうテーマのほうが研究対象として可能性があって面白い」と話す。沖縄の諸問題やシングルマザーの貧困問題について発表した2年生のソフィア・ヴェンスカヤさんは、自分が民族的にロシア人ではなく、様々な民族にルーツをもつため、社会の「多数派ではない人」に対して関心があるという。ヴェンスカヤさんの周りではアニメ「斉木楠雄のΨ難」の影響で沖縄の方言に関心をもったり、沖縄に行ってみたい人が増えたという。「いつか沖縄に行って、海をただ眺めてみたい」というのが彼女の夢だ。ロシア外務省付属外交アカデミーで学ぶオスカル・ラメエフさんは「持続可能な開発」というコンセプトが日本の外交に与えている影響について発表した。ラメエフさんは、環境問題は、昨今の日露関係の悪化の中でも、両国がともに取り組める数少ないテーマだと考えている。日本以外のテーマでは、中国、韓国、北朝鮮、ブータン、ベトナムなどが取り上げられた。韓国がK-POPをはじめとするカルチャーやソフトパワーの活用を進めていることはロシアにいるとよくわかる。留学生を対象とした韓国のサマースクール戦略について調べたウラジオストクの学生は、韓国が、語学留学を目的にした学生に対してテコンドーの授業を無料にするなど、様々な手法で外国人を韓国文化と結びつけようとする様々な試みを行っていることを紹介した。モスクワ大学の学生は、ブータンを研究するにあたって、先行研究が優れている日本とインドの論文を参考にしたと話した。幸せの国という表向きのイメージとは異なり、実際は若者の間で公務員の競争率が高すぎること、自然保護という名目で産業が発展せず、失業問題の解決は困難であると指摘した。高等経済学院で日本の歴史を教えているセルゲイ・グリシャチェフ准教授は「今日は研究発表から、その内容に対して討議することができ、若手研究者らのレベルはじゅうぶんに高い。高等経済学院だけでなく他の大学の参加者もです。東洋研究、特に日本研究において、専門性のレベルがある程度高いレベルで保たれていることは喜ばしい」と締めくくった。関連ニュース
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【ルポ】ロシアの学生と若手研究者は日本の何に興味を持っているのか?日本と協力できる分野を模索する若者たち
4月18日、東洋学が盛んなロシアの名門大学のひとつ高等経済学院で、ロシア全土から学生や若手研究者が集まる東洋研究のカンファレンスが開かれ、各自が研究成果の発表を行った。「アベノミクス」の効果を検証したものや沖縄と本土の格差問題、日本の人口問題を他の東アジア諸国と比較したものなど、幅広い討議が行われた。筆者は政治経済・国際関係のセクションを聴講し、日本を研究する若者に話を聞いた。
高等経済学院3年生のエカテリーナ・クシリャンスカヤさんは、日本人と日本社会に興味があり、人口問題を研究し始めた。「日本に行ったときに一番気に入ったのは人との交流でした。それだからこそ、高齢社会、労働力不足といった問題をどう解決するか、安定した社会構造の構築のために何ができるか考えています。2000年代初頭の日本の少子化対策というのは少しだけ効果がありました。今、少子化の影響がより深刻になっている韓国や中国に比べたら、日本は状況をコントロールしていた、というのが今日の発表の結論です」
アベノミクスについての研究を行っている2年生のアルセーニー・ススロフさんは、もともとは日本の建築や仏教文化に魅力を感じ日本を専攻に選んだ。「最近は日本の政治と経済の結びつきに関心があります。アベノミクスについてたくさんの議論がなされていることは知っています。そういうテーマのほうが研究対象として可能性があって面白い」と話す。
沖縄の諸問題やシングルマザーの貧困問題について発表した2年生のソフィア・ヴェンスカヤさんは、自分が民族的にロシア人ではなく、様々な民族にルーツをもつため、社会の「多数派ではない人」に対して関心があるという。ヴェンスカヤさんの周りではアニメ「斉木楠雄のΨ難」の影響で沖縄の方言に関心をもったり、沖縄に行ってみたい人が増えたという。「いつか沖縄に行って、海をただ眺めてみたい」というのが彼女の夢だ。
ロシア外務省付属外交アカデミーで学ぶオスカル・ラメエフさんは「持続可能な開発」というコンセプトが日本の外交に与えている影響について発表した。ラメエフさんは、環境問題は、昨今の日露関係の悪化の中でも、両国がともに取り組める数少ないテーマだと考えている。
「持続可能な開発というのは国連における主要なテーマです。ロシアにとっても国際関係を考える上でこのファクターは興味深いものですし、このテーマの人気の高まりを感じています。国際関係を専攻する者としては全てのテーマに精通していなければなりませんが、持続可能な開発目標(SDGs)やグリーン経済、日本がそれにどう関わっていくのか、という点に関心を持っています。そして、持続可能な開発を実現するにあたってロシアと日本がどう相互に関わっていけるかということだと思います。政治情勢のせいで積極的な相互関係の発展について話すのは難しいですが、環境問題の重要性は両国とも同じです。ロシアと日本の未来を考え、問題を解決する上で、力を合わせることができるのではないでしょうか」
日本以外のテーマでは、中国、韓国、北朝鮮、ブータン、ベトナムなどが取り上げられた。韓国がK-POPをはじめとするカルチャーやソフトパワーの活用を進めていることはロシアにいるとよくわかる。留学生を対象とした韓国のサマースクール戦略について調べたウラジオストクの学生は、韓国が、語学留学を目的にした学生に対してテコンドーの授業を無料にするなど、様々な手法で外国人を韓国文化と結びつけようとする様々な試みを行っていることを紹介した。
モスクワ大学の学生は、ブータンを研究するにあたって、先行研究が優れている日本とインドの論文を参考にしたと話した。幸せの国という表向きのイメージとは異なり、実際は若者の間で公務員の競争率が高すぎること、自然保護という名目で産業が発展せず、失業問題の解決は困難であると指摘した。
高等経済学院で日本の歴史を教えているセルゲイ・グリシャチェフ准教授は「今日は研究発表から、その内容に対して討議することができ、若手研究者らのレベルはじゅうぶんに高い。高等経済学院だけでなく他の大学の参加者もです。東洋研究、特に日本研究において、専門性のレベルがある程度高いレベルで保たれていることは喜ばしい」と締めくくった。