G7広島サミット - Sputnik 日本, 1920, 16.05.2023
G7広島サミット
2023年、G7の議長国は日本に引き継がれた。G7サミットは19日から21日にかけて、1945年8月6日に米国が原爆を投下した広島県で開催される。主要7か国に加え、オーストラリア、ブラジル、ベトナム、インド、韓国、インドネシア、クック諸島、コモロ諸島が招待された。

【視点】広島G7サミット 大風呂敷の議題と微々たる成果

© AP Photo / Jonathan Ernst広島G7サミット 大風呂敷の議題と微々たる成果
広島G7サミット 大風呂敷の議題と微々たる成果 - Sputnik 日本, 1920, 21.05.2023
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G7首脳らはサミット最終日に成果をまとめたコミュニケを採択した。コミュニケにはほぼすべての国際問題とG7首脳らのそれに対する視点が反映されている。
だが、これらは単なる宣言に過ぎないという感が否めない。核のない世界からウクライナ紛争の平和的交渉まで、課題を効果的に解決するまでには、まだ道のりは長い。
スプートニクは、岸田首相が大きな期待を寄せていた広島サミットの最初の成果について、なぜ「世界の権力者ら」の期待に反して、国際情勢は明らかに悪化し、NATOがすでにアジアに新たな事務所を開設しているのか、その理由について、また情勢をどう判断するかについて、専門家に見解を伺った。
ロシア科学アカデミー、東洋学研究所のドミトリー・モシャコフ教授(史学博士)はサミットの結果はほとんど意味を成していないと指摘している。

「G7サミット実施の効果はセンセーションもなく、ほぼゼロです。初期のころのサミットは『世界の征服者ら』を想起させるもので、実際、国際的に重要な問題が、特に経済問題や危機的状況の解決がなされていました。ところが今、G7首脳の解決する問題の範囲は文字通りすべての問題に広がっているのに、世界に、首脳らの合意に達した問題解決の遂行に対する影響力は逆に非常に低下してしまいました。つまりG7は時間の経過とともに空気の抜けた風船のようになり、事実上、形骸化したわけです。

現在、本来のG7の役割を見事に演じているのはG20のほうです。G20で出される声はG7とは全く異なり、他の国にも関連する、異なる議論がなされています。 G7は基本的に、同じ考えを持つ国による選ばれたクラブに過ぎません。討議される問題はどれも最小限の議論に抑えられ、しかも解決策は常に米国に都合のいいものが採られます。これに対して G20は全く異なる討議の場で、様々な声が出されます。しかも声を出すのは世界においてますます重要な役割を果たしている、中国、インド、ロシア、ブラジルなどの諸国です」

岸田首相 - Sputnik 日本, 1920, 20.05.2023
G7広島サミット
G7広島サミット インド、インドネシア、ブラジル首脳と岸田首相が個別会談
このことは、複数の国の代表がG7首脳から広島に招待された事実からも確認できる。こうした招待の理由はほとんどの場合、G7の決定に従わない場合、二次的制裁を科すという脅しをこれらの国々がしばしば無視するからに他ならない。諸国が無視するのはまず、対露関係でロシアを「罰する」ことに同意を示さない。
モシャコフ教授はこれについて、こうした国々は国際情勢に対する独自の見解を持っているものの、G7のほうが諸国を自分たちの軌道に引き込み、説得することをあきらめていないからだと指摘している。

「だから、G7はこうした国々を招待するのは本格的なサミット参加者としてではなく、世界を支配する者たちの『お隣りに腰掛け』させるためで、つまり彼らの正しい『世界観』に耳を傾け、それに従えというわけなのです」

しかも、今G7の首脳らが率先して行っていることは、世界の多くの国の期待には反している。

「現在のG7サミットが広島で開催されているのにはれっきとした理由があります。それはまさに今、NATOの軍事インフラの東アジア、東南アジアへの大規模な移転が準備されているからです。事実としては、この決定は2022年にマドリッドで開催されたNATOサミットで採択されていたもので、NATOが極東においても積極的に展開することをまず中国に、そしてロシアに警告したわけです。ですが、NATOの東進を除けば、G7サミットは何も重要なことを世界に伝えてはいません。なぜなら、G7首脳がサミットで採択したものは何にも値いしない内容であり、現在の地政学的、地理経済的展開を根本的に変えるポテンシャルは欠けているからです」

G7広島サミットは、米中対立をデモンストレーションするためだけに必要=専門家 - Sputnik 日本, 1920, 20.05.2023
G7広島サミット
G7広島サミットは、米中対立をデモンストレーションするためだけに必要=専門家
モシャコフ教授はこれにも明晰な理由があると説明している。

「中国の計画を、それが自分たちの目的に全く矛盾している、米国とそのG7同盟国はよしとしていません。なぜならこれらの国が目論んでいるのは、ウクライナと紛争するロシアを打ち負かし、最後はロシアの豊かな資源を使うことだけだからです。

このような幻想が今、西側諸国で非常にもてはやされているからこそ、ウクライナ紛争にこれほど巨額の資金が投入されているのです。つまり、全てはこの計画の実行のためであり、欧米のシナリオ通りに事が進まなければ、欧米の資金は実際にはすべて無に帰してしまうからです。だからこそ、欧米はウクライナに西側の軍事装備を供給し続けているのであり、交渉の席で和解するよりも、紛争をさらにエスカレートさせる方向に進んでいるわけです」

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