https://sputniknews.jp/20230822/16868252.html
【視点】コンバーチプレーンを甘く見るな
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Sputnik 日本
日本防衛省は、陸上自衛隊所属の「V-22(オスプレイ)」14機の飛行再開を決定した。このコンバーチプレーン(転換式航空機)は間もなく、自衛隊基地として整備が進められている佐賀空港に移される予定である。 2023年8月22日, Sputnik 日本
2023-08-22T16:55+0900
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だがここで、なぜこの軍用機を日本の最西端に配置するのかという疑問が生じる。オスプレイの飛行距離は、佐賀から沖縄、さらにその先の離島まで飛ぶのには十分だが、帰りは給油が必要である。ところが佐賀から北朝鮮の南の国境、と言うよりも「軍事境界線」の名称のほうがより馴染みがあるが、38度線までの距離は約600キロ。長江河口付近の中国沿岸部や上海までは約800キロで、これらはすべて、オスプレイで到達可能な地点である。これは、自衛隊司令部は韓国を助けるつもりか、あるいは1937年のように上海占領を再現する目論見なのだと理解せねばならない。ただし、現在の上海のような巨大都市を占領するには、448人の空挺部隊だけではおそらく不十分だろう。防衛省は、2022年にノルウェーで発生したオスプレイの墜落事故に関する米海兵隊の調査報告書を検討した結果、この決定を下したとしている。墜落事故の調査結果2022年3月18日、米海兵隊「VMM-261コンバーチプレーン飛行隊」のオスプレイの派生型「MV-22B(コールサイン:ゴースト31)」は、ノルウェーで実施されていた軍事演習「コールドレスポンス」に参加していた。演習には北極圏でロシアを威嚇するため、NATO加盟国27カ国から約3万人の兵士が集まっていた。演習の一環として、ノルウェー北部の困難な山岳地帯で超低空飛行が行われていたが、その飛行中にゴースト31が墜落。ナルヴィクから南に約130キロ離れたグラタダレン渓谷の斜面に墜落した。米海兵隊はこの墜落事故について調査を行い、ゴースト31とその飛行に関するすべての文書をまとめた。その報告書は現在、ほぼ完全に機密が解除され、公開されている。調査が徹底的に行われたのは、墜落原因が技術的な問題にあったのではないかと疑われたためで、設計上の欠陥、欠陥部品、あるいは不十分なメンテナンスが原因で起きた可能性があった。調査は同年6月29日に終了。当時の米第2海兵航空団司令官マイケル・セダーホルム少将が調査結果に署名した。その概要は以下の通りである。まず、ノルウェー北部は大雪が降る悪天候がよく起きる地域だが、事故当時は、ビデオ映像に見られるように、視界は非常に良好だった。視界不良が原因という説はこれで排除された。次に、MV-261飛行隊は、多くの命令や指令が出されていたにもかかわらず、約152メートルの低空飛行訓練を十分には行っていなかった。第三に、ゴースト31の修理点検に関する書類には空白があった。しかし、調査の結果、すべての作業は実施されており、問題なかったことが判明した。第四に、山岳飛行の経験が不足していた。簡単に言うと、ノースカロライナ州を拠点とするこの飛行隊のパイロットは大西洋の起伏のない沿岸を飛行することが普通で、山岳地帯での飛行経験を積まないまま、谷間飛行を伴う山岳飛行の演習に送り出された。第五に、演習での飛行でパイロットは、注意力を削ぐという理由で禁止されている非緊急用のインターホンを使用していた。そして、まさにそれが起きてしまった。パイロットは高度348メートルから地上162メートルまで降下し、谷に入り始めたのだが、どうやらこの時点で注意力が散漫になり、方向を見誤ったようだ。その後、時速480キロで45度以上のロールを伴う急旋回を数回行った。続いて68度のロールで左旋回した。だが、これはオスプレイの飛行能力を超えていた。ゴースト31は高度と速度を失い始め、谷の西側へ向かった。パイロットは89度のロールで右に急旋回し、あとわずか8メートルで衝突する寸前で岩から離れた。パイロットは機体の最大許容ロール角度を超えて下降を始め、間もなく谷の東側に墜落した。そんなに甘くないプレーン操作米第2海兵航空団司令官が承認した主な墜落原因は、パイロットの操作ミス。確かに、そのように操縦をすれば、どんな飛行機やヘリコプターでも墜落する。操縦がさらに難しいオスプレイのようなコンバーチプレーンは言うまでもない。しかし、この事件からいくつかの教訓が導き出せる。まず、コンバーチプレーンは米国でも他の国でも、また戦闘場面をも含めて使用される場所はほとんどが平地だ。日本はノルウェーと同じく山岳国であり、条件はまったく異なる。山岳飛行の訓練が不十分だと、大惨事につながりかねない。山や谷、海峡や島の上空、変わりやすい天候や視界といった日本の条件下での飛行は入念に研究され、テストパイロットによって開発された上でパイロットを養成しなければならない。標準的な訓練では明らかに不十分である。第二に、コンバーチプレーンは複雑な機体であり、パイロットからの敬意を必要とする。パイロットは、どこにその能力の限界があるのかを忘れずに、それに基づいてフライトを計画しなければならない。どうやら、墜落したゴースト31の右エンジンのギアボックスが故障していたのは、傾斜許容範囲の限界を超えたことが原因だったようだ。二つのエンジンはシャフトでつながっており、コンピューターによって制御されている。コンピューターはパイロットが機体を水平にするのを助けようとしていた。ゴースト31は、右に急傾斜したとき、右エンジンの回転をあげて機体を立て直そうとしたが失敗。この処理はギアボックスが壊れただけに終わった。つまり、オスプレイは複雑で手のかかる機体なのだ。しかし、それに乗って飛ぶことはできるし、しかも安全飛行だって可能だ。ただし、忘れてはならないのは、コンバーチプレーンのパイロットは、他のどんな飛行機やヘリコプターのパイロットよりもはるかに注意深く、慎重で、用心深く、先を見越して判断ができなければならないことだ。
https://sputniknews.jp/20230814/16798750.html
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2023年8月22日, 16:55 (更新: 2023年8月22日, 23:19) 日本防衛省は、陸上自衛隊所属の「V-22(オスプレイ)」14機の飛行再開を決定した。このコンバーチプレーン(転換式航空機)は間もなく、自衛隊基地として整備が進められている佐賀空港に移される予定である。
だがここで、なぜこの軍用機を日本の最西端に配置するのかという疑問が生じる。オスプレイの飛行距離は、佐賀から沖縄、さらにその先の離島まで飛ぶのには十分だが、帰りは給油が必要である。ところが佐賀から北朝鮮の南の国境、と言うよりも「軍事境界線」の名称のほうがより馴染みがあるが、38度線までの距離は約600キロ。長江河口付近の中国沿岸部や上海までは約800キロで、これらはすべて、オスプレイで到達可能な地点である。
これは、自衛隊司令部は韓国を助けるつもりか、あるいは1937年のように上海占領を再現する目論見なのだと理解せねばならない。ただし、現在の上海のような巨大都市を占領するには、448人の空挺部隊だけではおそらく不十分だろう。
防衛省は、2022年にノルウェーで発生した
オスプレイの墜落事故に関する米海兵隊の調査報告書を検討した結果、この決定を下したとしている。
2022年3月18日、米海兵隊「VMM-261コンバーチプレーン飛行隊」のオスプレイの派生型「MV-22B(コールサイン:ゴースト31)」は、ノルウェーで実施されていた軍事演習「コールドレスポンス」に参加していた。演習には北極圏でロシアを威嚇するため、NATO加盟国27カ国から約3万人の兵士が集まっていた。
演習の一環として、ノルウェー北部の困難な山岳地帯で超低空飛行が行われていたが、その飛行中にゴースト31が墜落。ナルヴィクから南に約130キロ離れたグラタダレン渓谷の斜面に墜落した。
米海兵隊はこの墜落事故について調査を行い、ゴースト31とその飛行に関するすべての文書をまとめた。その報告書は現在、ほぼ完全に機密が解除され、公開されている。調査が徹底的に行われたのは、墜落原因が技術的な問題にあったのではないかと疑われたためで、設計上の欠陥、欠陥部品、あるいは不十分なメンテナンスが原因で起きた可能性があった。
調査は同年6月29日に終了。当時の米第2海兵航空団司令官マイケル・セダーホルム少将が調査結果に署名した。その概要は以下の通りである。
まず、ノルウェー北部は大雪が降る悪天候がよく起きる地域だが、事故当時は、ビデオ映像に見られるように、視界は非常に良好だった。視界不良が原因という説はこれで排除された。
次に、MV-261飛行隊は、多くの命令や指令が出されていたにもかかわらず、約152メートルの低空飛行訓練を十分には行っていなかった。
第三に、ゴースト31の修理点検に関する書類には空白があった。しかし、調査の結果、すべての作業は実施されており、問題なかったことが判明した。
第四に、山岳飛行の経験が不足していた。簡単に言うと、ノースカロライナ州を拠点とするこの飛行隊のパイロットは大西洋の起伏のない沿岸を飛行することが普通で、山岳地帯での飛行経験を積まないまま、谷間飛行を伴う山岳飛行の演習に送り出された。
第五に、演習での飛行でパイロットは、注意力を削ぐという理由で禁止されている非緊急用のインターホンを使用していた。
そして、まさにそれが起きてしまった。パイロットは高度348メートルから地上162メートルまで降下し、谷に入り始めたのだが、どうやらこの時点で注意力が散漫になり、方向を見誤ったようだ。その後、時速480キロで45度以上のロールを伴う急旋回を数回行った。続いて68度のロールで左旋回した。だが、これはオスプレイの飛行能力を超えていた。ゴースト31は高度と速度を失い始め、谷の西側へ向かった。パイロットは89度のロールで右に急旋回し、あとわずか8メートルで衝突する寸前で岩から離れた。パイロットは機体の最大許容ロール角度を超えて下降を始め、間もなく谷の東側に墜落した。
米第2海兵航空団司令官が承認した主な墜落原因は、パイロットの操作ミス。確かに、そのように操縦をすれば、どんな飛行機やヘリコプターでも墜落する。操縦がさらに難しいオスプレイのようなコンバーチプレーンは言うまでもない。
まず、コンバーチプレーンは米国でも他の国でも、また戦闘場面をも含めて使用される場所はほとんどが平地だ。日本はノルウェーと同じく山岳国であり、条件はまったく異なる。山岳飛行の訓練が不十分だと、大惨事につながりかねない。山や谷、海峡や島の上空、変わりやすい天候や視界といった日本の条件下での飛行は入念に研究され、テストパイロットによって開発された上でパイロットを養成しなければならない。標準的な訓練では明らかに不十分である。
第二に、コンバーチプレーンは複雑な機体であり、パイロットからの敬意を必要とする。パイロットは、どこにその能力の限界があるのかを忘れずに、それに基づいてフライトを計画しなければならない。どうやら、墜落したゴースト31の右エンジンのギアボックスが故障していたのは、傾斜許容範囲の限界を超えたことが原因だったようだ。二つのエンジンはシャフトでつながっており、コンピューターによって制御されている。コンピューターはパイロットが機体を水平にするのを助けようとしていた。ゴースト31は、右に急傾斜したとき、右エンジンの回転をあげて機体を立て直そうとしたが失敗。この処理はギアボックスが壊れただけに終わった。
つまり、オスプレイは複雑で手のかかる機体なのだ。しかし、それに乗って飛ぶことはできるし、しかも安全飛行だって可能だ。ただし、忘れてはならないのは、コンバーチプレーンのパイロットは、他のどんな飛行機やヘリコプターのパイロットよりもはるかに注意深く、慎重で、用心深く、先を見越して判断ができなければならないことだ。