【解説】汚職それとも反攻失敗?ウクライナ国防相交代は何と関係しているのか 西側メディアの反応

© AFP 2023 / Andre Painウクライナのレズニコフ国防相
ウクライナのレズニコフ国防相 - Sputnik 日本, 1920, 04.09.2023
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ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、同国のレズニコフ国防相を交代させると発表した。ゼレンスキー氏は「国防省は新しいアプローチや軍、社会全体との別の協力形態を必要としている」と述べた。同氏は後任に国有財産基金のルステム・ウメロフ総裁を充てるとしている。
レズニコフ氏は3日、最高会議(議会)に辞表を提出したことを明らかにし、その写真を投稿した。
ウクライナ最高議会(議会)の複数の議員によると、レズニコフ氏は駐英大使に任命される可能性がある。なお、レズニコフ氏本人はこの情報を確認しておらず、予定については何も知らないと述べている。

犯人探し

西側メディアは国防相交代のニュースに反応した。米ニューヨーク・タイムズ(NYT)はウクライナ大統領府の関係筋を引用し、ロシアとの戦争が長引く中でウクライナには新しいアプローチが必要だと報じた。匿名の関係者によると、このような「変動」は軍事契約を巡る汚職スキャンダルと関係している可能性もあるという。NYTは、約10億ドル相当の兵器が契約で指定された期限までに納入されず、一部は何か月も納入が遅れたと報じている。
ドイツ紙フランクフルター・ノイエ・プレスに寄稿された記事では、レズニコフ氏の交代はずいぶん前から予想されていたとし、相次ぐスキャンダルにもかかわらずレズニコフ氏は辞任しようとしなかったと述べられている。記事の執筆者たちは、同氏はゼレンスキー氏に要求されなければ辞任するつもりはなかったが、ゼレンスキー氏は「反転攻勢の真っ最中により若い政治家をレズニコフ氏のポストに就かせる」ために同氏を交代させたと指摘している。

ウクライナ国防省は米国防総省ではない

英紙フィナンシャル・タイムズの評論家たちは、国防相を交代させて後任にウメロフ氏を起用することで西側諸国からの安定した兵器供与を維持しながらウクライナ国防省を「整理整頓」することが可能になるという見方を示している。これは軍への人員および装備品の提供を主な任務とする同省にとって重要だという。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、ウクライナ国防相は、特に戦時において、例えば米国防長官のような権限を有しておらず、ウクライナ国防相の権限は米国防長官のそれにははるかに及ばない。したがって同紙は、レズニコフ氏の交代が戦場に変化をもたらすことはおそらくないだろうという見方を示している。

ウクライナ国防相に起用されるルステム・ウメロフ氏とは誰なのか?

ルステム・ウメロフ氏は1982年生まれ。ウクライナで専門分野「金融と融資」に関する高等教育を受けた。軍事教育は受けておらず、兵役経験もない。

同氏は2013年に投資会社ASTEMとそのファンドASTEM Foundationを設立した。ASTEMは、投資家から集めた資金を通信、情報テクノロジー、インフラ分野で運用している。

ウメロフ氏は特別軍事作戦が始まった2022年2月にロシアと交渉を行うウクライナ側のグループに加わった。2022年9月7日からはウクライナの国家財産基金(国有財産の民営化、リース、使用、収用、接収の分野で国の政策を実行し、国有財産の管理を行っている)の総裁を務めている。

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