https://sputniknews.jp/20231017/17438564.html
【視点】米国はパレスチナとの交渉に興味なし
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Sputnik 日本
イスラエル・パレスチナの紛争において、米国はイスラエルの利益と自国の利益を守る必要があるため、パレスチナと交渉する用意はない。メキシコの首都メキシコシティにあるメトロポリタン自治大学(UAM)の国際専門家、イライス・フエンテス(Irais Fuentes)氏がスプートニク・ムンドに語った。 2023年10月17日, Sputnik 日本
2023-10-17T06:50+0900
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イスラエル・パレスチナの紛争激化
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パレスチナ
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イスラエル・パレスチナの紛争がエスカレートした後、国際社会の代表者たちはさまざまな立場に立たされたが、その中でも最も厳格な立場をとったのが米国だった。米国はこの地域で起きていることに関与してきた歴史があり、パレスチナ運動ハマスのメンバーによって人質に取られた同胞を救出するために特殊作戦部隊を派遣するなど、ある意味で現在の状況に参加している、とフエンテス氏は指摘する。イラン・マシュハドのフェルドウシ大学でも学んだフエンテス氏は「米国はパレスチナとの交渉には関心がない。彼らの主な任務は、法的、政治的、経済的、軍事的な手段を問わず、自国の利益とイスラエルの政治指導部の利益を守ることだ。彼らは、対ハマスだけでなく、パレスチナとその全領土に対する(イスラエルの)行動を真っ先に擁護した」と強調した。フエンテス氏の見方は、プーチン露大統領が最近イラクのスダニ首相と会談した際に表明した見解と一致している。プーチン大統領は「ウクライナ危機は続いており、残念ながら中東情勢は急激に悪化している。これは、中東における米国の政策が失敗したことの顕著な例である。米国は、和解を独占しようとしたが、残念ながら双方が受け入れられる妥協点の模索には関心がなく、逆に、どうあるべきかという自らの考えを前面に出し、両当事者に圧力をかけてきた」と述べた。米国の役割はどう変化してきたか?イスラエル・パレスチナの紛争への米国の関与は、パレスチナをユダヤ人とアラブ人の2つの独立国家に分割する1947年の国連決議にさかのぼることができるが、1967年の第三次中東戦争(6日戦争)以降、それはさらに顕著になった。「1967年以来、(米政府は)イスラエルに直接的な経済支援を行っている。加えて、両国は軍事、安全保障、さまざまな技術の使用、監視システムに関する問題でも協力している」とフエンテス氏は指摘する。こうした手段を用いて、イスラエルは国際舞台で卓越した地位を獲得した。メキシコ国立自治大学(UNAM)の国際関係専門家であるアダン・ミゲル・ロドリゲス・ペレス(Adán Miguel Rodríguez Pérez)氏は、1993年のオスロ合意(「暫定自治原則宣言」)も2020年に調印されたアブラハム合意も、この地域の問題を解決していないという事実は、同地域における米国の役割を理解する上で重要だと考えている。同氏は、こうした取り組みは「明確な境界線を持つ、パレスチナ人とイスラエル人双方のための国家の創設という根本的な解決策には役立たなかった」とスプートニク・ムンドに語った。ペレス氏は、モスクワで開催されたフォーラム「ロシア・エネルギー週間」でプーチン大統領が表明した考えに同意を示した。プーチン大統領はフォーラムで、米政府は根本的な政治問題の解決策を 「物質的な施し」に置き換えようとしていると指摘した。「アブラハム合意を用いて、彼ら(米国)は平和と安定を達成するつもりだったが、それはイスラエルにとってのみのものであり、パレスチナ人には投資が提案されただけで、2つの国家の創設につながる具体的な解決策は一切なかった。現在の目標は、パレスチナ人がイスラエルに加わることであり、2つの民族が1つの国家で暮らす状況が生じることだ」とペレス氏は言う。支援の欠如UNAM政治社会科学部のロドリゲス・ペレス准教授によれば、米国がイスラエル・パレスチナ紛争の解決策を事実上模索していないことは、米国がこの問題に関して現実的な対話を進めていないということからもわかるという。同氏は「米国はある時点で、パレスチナの占領を継続するよう促した。なぜなら、解決策を見つけるようイスラエルに圧力をかけなくなったからだ」と指摘する。また、何よりも悪いのは、国際社会もこの問題を避けて、例えば欧州連合(EU)のように経済援助だけにとどまっていることだと同氏は考えている。フエンテス氏はこの点について、パレスチナは、実情に耳を傾けてもらうために、あらゆる機会を利用してきたが、「助けを求める声は、この地域で続く紛争の連鎖にかき消されてしまった(中略)したがって、10月7日の攻撃は人命の損失を理由に正当化することはできないが、一方で、米国がパレスチナ人の組織的な根絶を支持している状況に対する反応と考えることができる」とフエンテス氏は強調した。短期的・中期的予想フエンテス氏は、イスラエル・パレスチナの紛争は、双方が満足する合意に達する試みがなされていないことや、「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を党首とするリクード党が、現在のところ与党であり続けている」ことなどにより、時間が経つにつれてさらに困難になるという確信を示している。これらの政治エリートの一派は、特にパレスチナに関して、交渉プロセスに対する厳格かつ断固としたアプローチで知られている。これは、ハマスに連れ去られた他国の市民権を持った人質を解放するための対話にも当てはまるという。フエンテス氏は「誰が譲歩し、何を交渉するのかをめぐって争いが起こることが予想される」と見ている。パレスチナのハマスが10月7日、ガザ地区から数千発のロケット弾を発射するという未曽有の大規模攻撃を行い、イスラエル南部の境界地域に多数の武装戦闘員を送り込んだことを受け、ネタニヤフ首相はイスラエルが「戦争状態」に入ったと宣言した。ハマスの奇襲攻撃への報復としてイスラエル軍は「鉄の剣」作戦を開始し、30万人の予備役を動員、ガザへの空爆を繰り返した。10月9日、イスラエルは早くもガザ地区の完全封鎖を発表し、電力、水、燃料、食料の供給を遮断した。武力行使の激化により、イスラエルでは約1300人が死亡、約3300人が負傷し、ガザでは1400人が死亡、およそ6200人が負傷した。さらに、軍人や民間人を含む約100人から150人が拉致され、ガザで人質となっている。国連人道問題調整事務所によると、この新たな紛争により、約34万人のガザ住民が自宅から避難した。
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米国, パレスチナ, イスラエル, 政治, 中東
【視点】米国はパレスチナとの交渉に興味なし
イスラエル・パレスチナの紛争において、米国はイスラエルの利益と自国の利益を守る必要があるため、パレスチナと交渉する用意はない。メキシコの首都メキシコシティにあるメトロポリタン自治大学(UAM)の国際専門家、イライス・フエンテス(Irais Fuentes)氏がスプートニク・ムンドに語った。
イスラエル・パレスチナの紛争がエスカレートした後、国際社会の代表者たちはさまざまな立場に立たされたが、その中でも最も厳格な立場をとったのが米国だった。米国はこの地域で起きていることに関与してきた歴史があり、パレスチナ運動ハマスのメンバーによって人質に取られた同胞を救出するために特殊作戦部隊を派遣するなど、ある意味で現在の状況に参加している、とフエンテス氏は指摘する。
イラン・マシュハドのフェルドウシ大学でも学んだフエンテス氏は「米国はパレスチナとの交渉には関心がない。彼らの主な任務は、法的、政治的、経済的、軍事的な手段を問わず、自国の利益とイスラエルの政治指導部の利益を守ることだ。彼らは、対ハマスだけでなく、パレスチナとその全領土に対する(イスラエルの)行動を真っ先に擁護した」と強調した。
フエンテス氏の見方は、プーチン露大統領が最近イラクのスダニ首相と会談した際に表明した見解と一致している。プーチン大統領は「ウクライナ危機は続いており、残念ながら中東情勢は急激に悪化している。これは、中東における米国の政策が失敗したことの顕著な例である。米国は、和解を独占しようとしたが、残念ながら双方が受け入れられる妥協点の模索には関心がなく、逆に、どうあるべきかという自らの考えを前面に出し、両当事者に圧力をかけてきた」と述べた。
イスラエル・パレスチナの紛争への米国の関与は、パレスチナをユダヤ人とアラブ人の2つの独立国家に分割する1947年の国連決議にさかのぼることができるが、1967年の
第三次中東戦争(6日戦争)以降、それはさらに顕著になった。
「1967年以来、(米政府は)イスラエルに直接的な経済支援を行っている。加えて、両国は軍事、安全保障、さまざまな技術の使用、監視システムに関する問題でも協力している」とフエンテス氏は指摘する。こうした手段を用いて、イスラエルは国際舞台で卓越した地位を獲得した。
メキシコ国立自治大学(UNAM)の国際関係専門家であるアダン・ミゲル・ロドリゲス・ペレス(Adán Miguel Rodríguez Pérez)氏は、1993年の
オスロ合意(「
暫定自治原則宣言」)も2020年に調印された
アブラハム合意も、この地域の問題を解決していないという事実は、同地域における米国の役割を理解する上で重要だと考えている。同氏は、こうした取り組みは「明確な境界線を持つ、パレスチナ人とイスラエル人双方のための国家の創設という根本的な解決策には役立たなかった」とスプートニク・ムンドに語った。
ペレス氏は、モスクワで開催されたフォーラム「ロシア・エネルギー週間」でプーチン大統領が表明した考えに同意を示した。プーチン大統領はフォーラムで、米政府は根本的な政治問題の解決策を 「物質的な施し」に置き換えようとしていると指摘した。
「アブラハム合意を用いて、彼ら(米国)は平和と安定を達成するつもりだったが、それはイスラエルにとってのみのものであり、パレスチナ人には投資が提案されただけで、2つの国家の創設につながる具体的な解決策は一切なかった。現在の目標は、パレスチナ人がイスラエルに加わることであり、2つの民族が1つの国家で暮らす状況が生じることだ」とペレス氏は言う。
UNAM政治社会科学部のロドリゲス・ペレス准教授によれば、米国がイスラエル・パレスチナ紛争の解決策を事実上模索していないことは、米国がこの問題に関して現実的な対話を進めていないということからもわかるという。
同氏は「米国はある時点で、パレスチナの占領を継続するよう促した。なぜなら、解決策を見つけるようイスラエルに圧力をかけなくなったからだ」と指摘する。また、何よりも悪いのは、国際社会もこの問題を避けて、例えば欧州連合(EU)のように経済援助だけにとどまっていることだと同氏は考えている。
「米国は、国連などの国際機関もそうだったように、この課題に対処できてなかった。国連は、そこでワシントンがイスラエル非難決議に拒否権を発動するなど、常にイスラエルを支援してきた組織だ。
一方、アラブにとっても、パレスチナ問題は後回しになったところがある(中略)とはいえ、現在の緊張状態によって、アラブ諸国がイスラエルとの関係正常化プロセスの停止を決定する可能性がある。しかしその間に、パレスチナ人は、生活必需品の不足、人道的危機、そして自分たちのための国家をつくることが不可能であるという現実に直面することになるだろう」
イライス・フエンテス
メキシコシティにあるメトロポリタン自治大学(UAM)の国際専門家
フエンテス氏はこの点について、パレスチナは、実情に耳を傾けてもらうために、あらゆる機会を利用してきたが、「助けを求める声は、この地域で続く紛争の連鎖にかき消されてしまった(中略)したがって、10月7日の攻撃は人命の損失を理由に正当化することはできないが、一方で、米国がパレスチナ人の組織的な根絶を支持している状況に対する反応と考えることができる」とフエンテス氏は強調した。
フエンテス氏は、イスラエル・パレスチナの紛争は、双方が満足する合意に達する試みがなされていないことや、「イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を党首とするリクード党が、現在のところ与党であり続けている」ことなどにより、時間が経つにつれてさらに困難になるという確信を示している。
これらの政治エリートの一派は、特にパレスチナに関して、交渉プロセスに対する厳格かつ断固としたアプローチで知られている。これは、ハマスに連れ去られた他国の市民権を持った人質を解放するための対話にも当てはまるという。フエンテス氏は「誰が譲歩し、何を交渉するのかをめぐって争いが起こることが予想される」と見ている。
パレスチナのハマスが10月7日、ガザ地区から数千発のロケット弾を発射するという未曽有の大規模攻撃を行い、イスラエル南部の境界地域に多数の武装戦闘員を送り込んだことを受け、ネタニヤフ首相はイスラエルが「戦争状態」に入ったと宣言した。ハマスの奇襲攻撃への報復としてイスラエル軍は「鉄の剣」作戦を開始し、30万人の予備役を動員、ガザへの空爆を繰り返した。10月9日、イスラエルは早くもガザ地区の完全封鎖を発表し、電力、水、燃料、食料の供給を遮断した。
武力行使の激化により、イスラエルでは約1300人が死亡、約3300人が負傷し、ガザでは1400人が死亡、およそ6200人が負傷した。さらに、軍人や民間人を含む約100人から150人が拉致され、ガザで人質となっている。国連人道問題調整事務所によると、この新たな紛争により、約34万人のガザ住民が自宅から避難した。