【視点】F-35搭載のフライトコンピューターは脆弱?

© AP Photo / Boris GrdanoskiF-35搭載のフライトコンピューターは脆弱?
F-35搭載のフライトコンピューターは脆弱? - Sputnik 日本, 1920, 22.06.2024
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2024年6月3日、航空自衛隊のF-35Aの2機が青森空港に緊急着陸した。1機目は何らかの不具合に遭遇し、現地時間8時46分に緊急着陸、2機目も8時56分に緊急着陸した。青森空港は一時閉鎖となったが、20分後には旅客便の発着が再開された。日本のパイロットはまだ幸運だった。
2024年5月28日、米ニューメキシコ州アルバカーキ近郊の空軍基地で、米最新鋭戦闘機F-35Bが離陸直後に墜落。パイロットはなんとか脱出したが、負傷した。2023年9月18日には、米海兵隊のF-35Bのパイロットが緊急事態に直面。パイロット自身は脱出したが、機体はさらに60キロ飛行し、サウスカロライナ州ウィリアムズバーグ群に墜落した。

故障ゼロは不可能 だが、この故障はあまりにも異常

故障や災難はどの航空機にも起こり得る。1989年7月4日、ソ連の戦闘機MiG-23M(第871戦闘航空連隊29番)がパイロット不在のままポーランド、西ドイツ、東ドイツの上空を900キロ飛行し、ベルギーのフランスとの国境に近い地域に墜落するという事態が起きた。パイロットのニコライ・スクリディン大佐は訓練飛行中にエンジントラブルに遭遇し、緊急脱出した。しかし、直後にエンジンは正常に稼働を始めた。MiG-23Mはオートパイロットのスイッチが入った状態であったため、高度を上げ、燃料がなくなるまで西に向かって飛行した。調査の結果、エンジンに欠陥があり、修理の際にこの問題が未解決のまま残されていたことが判明した。
しかし、米国、日本、韓国で起きたF-35の事故や墜落のケースはやはり異常としか言いようがない。事故の状況から判断すると、もっと深刻な事態や問題があったのではないかと思わせる。また、こうした不可思議な事故や災難について、信憑性のない情報が流布されている疑いもある。

パイロットの空間識失調か、コンピューターの不具合か?

2019年4月9日、細見彰里3等空佐がF-35Aで突然墜落した。41歳の細見氏は約3200時間の飛行経験をもつ、誰が見ても経験豊富なパイロットだった。墜落の15秒前、細見空佐は地上管制官と冷静に無線で交信していたが、同時に機体は実際には落下し、時速約1000キロで高度9000メートルまで降下していた。ところがパイロットは救難信号を発さず、水面衝突を避ける試みも、緊急脱出も行われていなかった。
捜査の結果、防衛省は、墜落原因をパイロットの空間識失調と説明した。空間識失調は確かに起きることがある。ただし、それは特定の条件下で、機体の飛行の姿勢が見えない時であり、多くの場合は、陸や海が見えない夜間に起こる。パイロットは飛行中に海面が見えていたのだろうか? 気象情報によると、2019年4月9日、東京の日の入りは18時34分に開始し、19時37分に日没は完了していた。航空機が姿を消したのは19時30分過ぎで、すでに暗くなっていたことになる。パイロットは海面が見えず、計器を頼りに飛行していた。
パイロットであれば、高度計を見ながら高度をコントロールすることは、ごく自然に身についている動作だ。このためF-35では、パイロットの右膝の位置に、地面に対する航空機の機首方位、高度、位置を示すインジケーターが装備されている。このインジケーターで航空機の位置、傾きをコックピット内のディスプレイに表示することもできる。もし細見空佐が暗闇の中で海面に向かって飛んでいることに気づかなかったとしたら、それは航空機のコンピューターが水平線のデータを間違って伝えていた可能性が高い。結局のところ、機体の重大な技術的欠陥を認めるよりも、パイロットの責任にする方が簡単なのだ。

鳥のせい? それともコンピューターが故障?

2022年1月4日、韓国第17戦闘航空団所属のF-35Aが、清州空軍基地から88キロ離れた瑞山空軍基地に緊急胴体着陸した。同機は着陸準備中に3つのすべてのランディングギア(着陸装置)に不具合が生じた。そのため特殊な泡が撒かれた滑走路に、機体下部から着陸せざるを得なかった。
当初、韓国空軍はこの緊急着陸をアビオニクス(電子機器)の故障によるものと説明していた。しかし、その後、説明が変更された。航空機に鳥が衝突し、その鳥が吸入口と武装積載室の間にあった機体の遮断壁まで通り抜けて戦闘機内部に吸い込まれた。その為、油圧システムと電気ケーブルが損傷し、ランディングギアが稼動しなかったという主張に変わったのだ。この説明はもっともらしく聞こえるが、無理がある。第一に、F-35Aには右と左に2つの武装積載室がある。第二に、コンパートメント内部には、フラップ(高揚力装置) を開いたり、ミサイルを発射したり、爆弾を投下したりするシステムがある。第三に、鳥が武装積載室のひとつに衝突するには、航空機は少なくとも45度の角度で急激に高度を上げていなければならない。言い換えれば、3つのランディングギアすべてが未作動となるような損傷を鳥が与えることはほぼ不可能であり、この説明は明らかに間違っている。
そうなると、アビオニクスの故障という選択肢が残る。コックピットのスクリーンが消え、パイロットにはバックアップのための基本的な制御機能だけが残された。パイロットはなんとか着陸に成功したが、胴体からの着陸となり、機体は深刻なダメージを負った。
不思議なことに、F-35には着陸装置の油圧システムのバックアップがなく、ランディングギアを手動で操作する事態が想定されていない。ソ連の航空機では、ランディングギアを「振り出す」ことができる。これを行うには、パイロットがコックピットでレバーを引き、フラップとランディングギアのロックを解除し、「スライディング」する。つまり急上昇と急降下を行う。この操作で、ランディングギアの脚柱が出て、定位置に設置される。これは戦闘経験に基づいた方策で、油圧システムが壊れた場合でも、パイロットには着陸のチャンスが残される。ランディングギアにバックアップシステムと手動操作を設置しなかったのは、F-35の設計者の無謀と言える。

コンピューターシステムにウイルス?

F-35に関するこれらの事件や他の事例を見ると、航空機に搭載されたコンピューターシステムに脆弱な部分があり、それが多くの飛行事故や災難の原因になっていると考えることができる。
青森空港で2機のF-35Aが緊急着陸となったケースは、搭載コンピューターの故障が原因だったようだ。もし最初の機体が機械の故障で緊急着陸を余儀なくされたのなら、なぜ機械的な故障のない2機目も1機目の10分後に緊急着陸したのだろうか? 機体は離陸した三沢基地に向かったはずだ。原因を搭載コンピューターの故障とすれば、この奇妙な事件は簡単に説明される。まず1機が故障し、しばらくして2機目が故障した。両機とも、緊急着陸後、青森空港の滑走路から素早く離陸したことから判断して、大きな機械的故障はなかった。
搭載コンピュータの故障は、ソフトウェアの不具合、ウイルスの混入、電子戦システムなど外部からの電子機器への電磁干渉によって生じる。
故障がソフトウェアの不具合によって起きたのであれば、原因は数年のうちには解明され、解決されているだろう。また日本領土内には敵の電子戦の手段はおそらく存在しないだろうが、これは念のため防衛省に確認したほうがよい。
となると、考えられる原因としては、コンピューターへのウイルスの侵入である。衛星や中継器を使って何らかのコマンドを送信し、遠隔操作でウイルスを送り込む。搭載されたコンピューターを使って航空機を撃墜するというのは、実にそそるアイデアだ。だが、もしそれが本当なら、F-35のパイロットにとっては非常にまずい。F-35は通常の飛行でも、戦闘でも信頼性に欠けることになる。いざ攻撃という瞬間に、システムがフリーズし、シャットダウンしてしまう。高価な航空機とそのパイロットが攻撃の的となる。
もちろん、これは推測にすぎない。しかし、奇妙な事故、沈黙、そしてそれを取巻く明らかな誤情報があるからこそ、こうした推測も成り立つ。
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