盲導犬連れのスーパーで客から怒号 投稿が呼んだ大反響

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Amiさん提供 - Sputnik 日本, 1920, 10.09.2024
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日本のスーパーマーケットに #盲導犬 と共に入った視覚障がいのある女性が、高齢の男性客からいきなり怒鳴られた。男性は「連れて入れる犬などない、早く出ていけ」と指図。しかも、店側からは何の助けもなかった。
このエピソードを怒鳴られた本人、AmiさんがX上に投稿したところ、予期せぬ大反響を呼んだ。スプートニクはAmiさんに当時の状況について話を聞いた。
Amiさんはその日、普段利用しないスーパーに友人と2人で入った。すると背後から「犬を連れて入るなど非常識だ」と怒鳴り声が聞こえた。盲導犬への無理解に遭遇することはあっても、見知らぬ人から怒鳴られたことは一度もなかった。そのため最初、それが自分に向けられたものだとは分からなかったという。

「盲導犬を知らない人がいるんだな、分からないのかなと思ったんですよね。今時、日本国内でハーネス(盲導犬がつける胴輪)をつけてお店の中に入ったら、大体は盲導犬だなって思うんじゃないかなと」

男性はAmiさんが視覚障がい者で、犬が彼女の盲導犬と分かるまで怒鳴り続け、理解にしばしの時間を要した。そして分かったとたん、詫びもなくどこかに消え去った。こうした場面に遭遇したことのなかったAmiさんは、咄嗟に機転の利くセリフは見つからなかった。加えて友人の話では、店員が一部始終を見ていたにもかかわらず、一切関与しようとしなかった。これが二重のショックを呼んだ。
この出来事をつづったAmiさんのポストは、本人も驚くほどの「異様な拡散」をみせた。その背景には、盲導犬への無理解に対する驚きと憤慨だけでなく、盲導犬を連れた視覚障がい者に粗野な言動をとったこの男性を例に、「社会ズレ」している一部の高齢者への批判が噴出した感もある。
Amiさん自身、「『お年寄りってそういうことする人いるのよね』みたいのが結構あったので、なんか感じることがあったんですかね」と感想をもらしている。それにしても、これだけ多くの人が憤慨したのは、程度はどうであれ、盲導犬の認知度は上がっている証拠ではないだろうか。

「やっぱり盲導犬が今ちょっと知られてきている、逆に。世の中に知られてきていることもあって、それもあるのかな」

日本では20年以上前の2002年に「身体障害者補助犬法」 (2007年第一次改正)が公布された。法律は、身体障がい者が盲導犬を伴って店舗、レストランなど、多数の市民が利用する施設を訪問する場合、管理者は「身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない」と定めている。また、盲導犬を連れた飼い主の義務は、「犬が他人に迷惑を及ぼすことはないようその行動を十分管理しなければならない」とある。
Amiさんのケースで店側は、客が盲導犬を連れた別の客を困らせているのに、遠巻きに傍観しているのみで助けてくれなかった。Amiさんは、「明らかに困ってるので、男性客の方に説明してくれたらよかったな」と話している。
Amiさんは盲導犬を持ち始めて20年以上。「身体障害者補助犬法」も制定され、過去約15年の間に日本人の考え方に変化があり、「盲導犬を受け入れやすい方向へは向かっていると思う」という。それでも、歴史的に動物との生活様式を形成してきた欧米と比べると、盲導犬を受け入れる素地がないことは否めない。こればかりは法律で規定しようが、「人の心が変わらない限りは無理」だというのがAmiさんの素直な感想だ。
もうひとつ、世論形成に影響する要因としてAmiさんが指摘するのは日本のメディアの盲導犬の取り上げ方だ。「感動物語」のように取り上げるか、「犬が頑張ってお仕事して可哀想」という風潮に仕立てる傾向があるため、動物愛護団体からでさえ「動物が哀れだ」「盲導犬反対だ」と言われることがあるという。Amiさんは「犬の実生活ってそんなんじゃない。本当に犬は楽しんでるので、その辺をもうちょっと伝えてほしいな」と語っている。
AmiさんがX上でつぶやいているのは、盲導犬との普段の生活で気づいたこと、考えたことだ。投稿を読むと視覚障がい者と盲導犬が感じていることと、それを見ている周りの人の理解に時に「大きなズレ」があることがわかる。ある意味でAmiさんの投稿はそのズレを埋め、気付きを促す役割も果たしている。

「正しく理解して、正しく受け入れていただけると、お互いに過ごしやすいと思うんです」

これが、周りからの理解や誤解、曲解も日々感じながら、犬との生活を楽しんでいるAmiさんの正直な気持ちだ。
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