「ヒズボラ」のポケベル爆破の新事実 イスラエルは2022年に作戦を開始=米紙
ポケットベル(ポケベル)
サイン
レバノンで9月中旬に爆発したポケットベル(ポケベル)は、イスラエルの諜報特務庁(モサド)がその開発をコントロールしていた。米ワシントン・ポスト紙は米国、イスラエル、中東の情報源を引用して報じた。暗号化されたメッセージを読むためには、両手で一度にボタンを押さねばならない。この動作を行うと、装置内の爆発物が作動する仕掛けになっていた。
WP紙の記事の主な内容
WP紙によると、モサドは2015年、レバノンに爆破物入りの無線機を導入しはじめた。これにより、イスラエルは「ヒズボラ」の通信に全面的にアクセスできるようになった。
無線機は最初の9年間はもっぱら盗聴のために利用されていたが、危機が悪化した場合、爆発させることも想定されていた。その後、2022年、モサドはこの目的で加工する機器をより小型のポケベルに切り替えた。
「ヒズボラ」には 2023年、「ゴールド・アポロ」の商標で製造された AR924の大量購入のオファーがなされた。「ゴールド・アポロ」はブランド商標の使用許可のみを渡したため、「ヒズボラ」が入手したポケベルがイスラエル諜報特務庁の監視下でイスラエルで製造されていた事実を知らなかった。
ポケベル内部には、分解してもほとんど検出されないほど少量の爆薬が入念に隠されていた。機器へのリモートアクセスも検出不可能だった。
ネタニヤフ首相が9月12日の会議で明らかにするまで、イスラエル指導部の多くはこうした作戦が準備されていた事実を知らなかった。米国も、事前まで知らされていなかったという立場をとっている。
9月17、18日の両日、レバノンでポケベルや無線機などの通信機器が爆発した。犠牲者数は公式発表では、死者が37人、負傷者3000人以上に上った。
なぜ、数千台もの機器の同時爆発が起きたのか、原因は未だに明らかにされていない。「ヒズボラ」、レバノン、イランはイスラエルの仕業だと非難したが、イスラエル当局は現段階では事件への関与の有無について沈黙を守っている。
ロシア外務省のマリア・ザハロワ公式報道官は、レバノンでの事件を惨たらしいテロ行為であり、大紛争を焚きつける試みだと非難した。